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第65話「うわきものーっ!」

む~!

ポン太とポン吉、コンちゃんやシロちゃんと顔見知りだったんです。

今までわたしだけ知らないでいたんでしょうか?

む…ポン太とポン吉が帰れるように応援してくれてたのって…

もしかしてわたしよりコンちゃんやシロちゃんの方がいいって事?ズーン。


「あの~、村長さんのお宅はどちらで……」

 む、聞きなれた声。

「ちょ、長老っ!」

 やってきた軽トラックは長老のだったんです。

 助手席にはポン太とポン吉も笑ってますよ。

 ここここれは一体どうした事ですかっ!

 軽トラックの助手席ドアが開いて、ポン太とポン吉降りてきます。

「二人ともっ!」

 駆け出すポン太とポン吉。

 わたしも店長さんの腕を飛び降りて駆けて来る二人に腕を広げますよ。

「ポン太! ポン吉!」

「コン姉!」

「シロ姉!」

「え?」

 二人はわたしの横を駆け抜けて、いつの間にか後ろにいたコンちゃんとシロちゃんへ。

 ポン太はコンちゃんに抱きつきました。

「コン姉、お久しぶりです」

「うむ、ポン太よ、やってきたかの」

「はい、コン姉に会えるのを楽しみにしてました」

「ふふ、そうかのう」

 ポン吉はシロちゃんに抱きつきました。

「シロ姉、オレ、来たぜ」

「元気にしてたでありますか」

「ふふふ、元気げんき、約束通り遊んでくれよ」

「いいであります」

 ちょ……なんですか、顔見知りっぽい会話です。

「ちょ……ちょっとコンちゃん」

「なんじゃポン、よく帰って来たのう」

「コンちゃん、ポン太達知ってるんですか?」

「うむ、遠足の下見はわらわ達だったからのう」

「い、いつ来たんですか!」

「いいではないか」

 むー、ポン太、コンちゃんに抱かれてご機嫌です。

 ポン吉ももうシロちゃんと一緒に行っちゃいました。

「もしかしたら……店長さん知ってました?」

 にらんだら、店長さん首をブンブン横に振ってます。

 やっぱりコンちゃんに聞くしかないですね。

「一体いつの間に……」

「おぬしがさらわれてすぐに探しに行ったのじゃ」

「え……探しに来てくれたんですが!」

「当たり前じゃ、仲間、先輩じゃ」

「コンちゃん!」

 わたし、ちょっとウルウルしちゃいました。

「ポンがおらんと、わらわが仕事をせんといかんのでな」

「そ、それですか……それならなんで早く助けて……」

「ポン太やポン吉と仲良くやっておるようじゃったからの」

「……」

「ぽんた王国の女王さまに収まるというなら、それもしょうがないと思ったのじゃ」

 まぁ、いいでしょう。

「ポンちゃん」

「なんですか、長老……ここに来るの、黙ってましたね?」

「聞かれなかっただけです」

「言ってくれればいいのに」

「だから乗って行くかと聞きました」

「そ、そうでしたね……」

「ポンちゃん、村長さんの家まで案内してください」

「いいですよ……って、もしかしたら雇われたおそば屋さんって!」

「ここのそば屋です」

「あ、あれですか……」

 って、長老が目を「カッ」と見開いてなにかを見てます。

 えーっと、視線の先はパン屋さんです。

 あ、ミコちゃんがエプロン姿で出てきました。

 夕飯の時間だから呼びに来たんでしょう。

「みんな~、ごはんですよ~」

 長老、肩をプルプルさせながら車を降りると、

「卑弥呼さまーっ!」

 うわ、すごいダッシュです。

 ミコちゃん目掛けて一直線。

 そんな長老にミコちゃん硬直してますよ。

「卑弥呼さま、私です、いつも一緒だったタヌキです」

「?」

「山頂でいつもお話ししていた」

「!」

 あ、ミコちゃんの顔色、一気に真っ青。

「卑弥呼さま!」

「わたしミコちゃんだから、人違いでは?」

 愛想笑いして、すごい勢いでお店に戻っちゃいました。

 ドアが閉まる音と、ご丁寧にカギの音もしましたね。

「卑弥呼さまーっ!」

 長老も負けてません、お店のドアに取り付いてノックしまくりなの。

 二人の事は、まだしばらく尾を引きそうです。

「!!」

 車のクラクションに振り向きます。

 軽トラックのせいで先に進めないボンネットバス。

 ドアが開いてたまおちゃんが降りてきました。

「ただいま~、ポンちゃん帰って来たんだ」

「たまおちゃんおかえり……うん、わたし帰って来たよ」

「なんだかにぎやか」

「うん、ぽんた王国のみんなも、この村にお引越し」

 たまおちゃんがわたしの隣に立って見回します。

「コンお姉さまは……この子とカップル?」

 そう、コンちゃんとポン太が一緒にいます。

「シロちゃんは……あの子とカップル?」

 ポン吉とシロちゃん、追っ掛けっこ中でしょうか。

「ミコお姉さまは……そば打ちタヌキとカップル?」

 うーん、ミコちゃんなんだか嫌そうですけど、ね。

「ポンちゃんよかったね、店長さん独り占め」

「!!」

 なんてステキな言葉「独り占め」。

 そう、コンちゃんとポン太がひっつきました。

 もう邪魔者はいないんです。

 わたし、一人ポカンとしている店長さんに飛びついて、

「ててて店長さんっ!」

「な、なに、ポンちゃん?」

「店長さん、コンちゃんと結婚したんですか?」

「な……俺結婚なんてしてないよっ!」

「そ、そうですか……やっぱりコンちゃんのウソだったんですね」

 わたし、店長さんの腕に腕を絡めて揺すりまくり。

「だ、だったら早く結婚しましょう!」

「え! 何で!」

「店長さんがハッキリしないから、いつももめるんです」

「え……俺のせい?」

「そーです、店長さんのせいです」

「……」

「さ、今すぐ結婚です、絶対なんだから」

 わたし、店長さんの腕にすがりつき。

 店長さん、わたしの頭をグイグイ押し戻し。

「さぁ、結婚です、強い家族の絆なんです」

「いいい妹から始めて」

「妹だったら結婚できないでしょ!」

「ば、バレたか」

「て・ん・ちょ・う・さ~ん!」

 ふふ、こんだけアタックしてもコンちゃんの妨害入りません。

 ポン吉の援護に感謝です。

 わたし、たまおちゃんに目で合図。

 たまおちゃん微笑ながら、

「店長さん、結婚の時は私がお手伝いします、巫女として」

「た、たまおちゃん、裏切り者~」

「ポンちゃんと店長さんが引っ付いたら、コンお姉さまとミコお姉さまはわたしのもの」

 ああ、なんかたまおちゃんのバックにどんよりピンクオーラが揺れてます。

「ほら、店長さん、もう準備万端です」

「ポンちゃん、今晩ダンボールで……」

 店長さん、そこで口篭もっちゃいました。

 ピクリともしません。

「あの日、俺がダンボールの刑にしなければ……」

 なんだかわからないけど、今の店長さんは落とせそうです。

「じゃ、わたしと結婚してくれますね?」

「う……」

「店長さんのせいでわたしがどーなってたと思うんですかっ!」

「う……」

「せめてキスの一つもしてください!」

「この間したじゃん」

「あれはわたしからしたの! 店長さんからやってもらってない!」

「わたしが変身はっぱで変身したのは、この日のためなんです」

「おおお恩返しじゃなかったの?」

「いいから黙って……」

 わたしと店長さん、動きが止まります。

 動きを止めたのは、店長さんの持っていたリードのせい。

 リードが動いて、繋がれたタヌキが動いてます。

「え?」

 わたしと店長さん、同時に声。

 目の前でタヌキが頭にはっぱ乗せました。

 そしてクルンと宙返り。

 ドカンと爆発音がして白い煙。

 ここここれは……!

 現れたのは緑のワンピの女の子。

 眼鏡をした……タヌキのしっぽの……女の子です。

「ワタシも変身できた!」

 女の子、自分の体を確かめてからピョンピョン跳ねてます。

 すごい嬉しそうですね。

 緑のワンピの女の子、店長さんの手を握ると、

「わわわワタシ、別に店長の事なんか好きでもなんでもないんだから!」

 店長さんもわたしもポカーン。

 でも、女の子、黙りません。

「ててて店長がワタシの体にイタズラしたんだから!」

「え?」

「ててて店長からキスしてきたんだから!」

「え……」

「ててて店長から無理やりお風呂入れられたんだから!」

「……」

「ワタシはなんでもないけど、しょうがないから店長と一緒にいてあげるんだから!」

 店長さんがイタズラ?

 店長さんからキス?

 店長さんとお風呂?

 わたし、店長さんの手首をぎゅっと握ります。

 もちろん力いっぱいでね。

 今ならりんごだって握りつぶせる気がします。

「て・ん・ちょ・う・さ~ん!」

「ぽぽぽポンちゃん!」

「詳しく話、聞きましょうか……この子にやった事を!」


 また、パン屋さんの朝を迎える事が出来ました。

 ポン太やポン吉、長老も一緒です。

 それに高飛車なタヌキ娘もいますけどね。

 にぎやかな朝ごはんの後で、バンソウコウまみれの店長さんが言います。

「ポンちゃん、朝イチで老人ホームに配達ね」

 ふふ、昨日はケンカになっちゃったけど……

 いつも通りに戻って、なんだかルンルンなの。

「ぼくもいっしょ~」

 レッドがしっぽにしがみついてきます。

「振り落とされないようにね~」

「モフモ~フ」

「モフモフ、今日だけですよ~」

 わたし、レッドをしっぽにぶら下げたまま配達です。

 学校の前を通過……あれれ、あのタヌキの焼き物、もう置いてありますよ。

「……」

 これが事件の原因・発端。

 長老が盗んだの。

「……」

 長老はわたしをさらいに来て、間違ってこれを持って行ったんです。

「!!」

 なんでこれをわたしと間違うんですかー!

 まったくモウっ!


ポン「ただいま~」

コン「うむ、帰って来たかの、ポンよ」

ポン「うふふ、わたしが主人公だから当然なんです」

コン「うむ、では、働くのじゃ」

ポン「コンちゃん、帰ってきていきなりそれですか?」

コン「わらわはそのために、おぬしを探しに行ったのじゃ」

ポン「む~」

コン「それにおぬし、『ぽんた王国』では遊んでばかりではないか!」

ポン「ちゃんと働いてました~」

コン「本当かのう」


ポン「表紙絵でちゃんとおそば運んでるじゃないですか!」

コン「うむ……」


コン「ほれ、水着じゃ、遊んでおる」

ポン「くっ……最後に思い出なんです~」

コン「本当かのう、たまに働いてほとんど遊んでおったのではないかの?」

ポン「む……見てたかのような言い方ですね!」

コン「ポンの事じゃ、きっと遊んでおったのじゃ」

ポン「働いてたも~ん!」


コン「ふふ~ん、釣りは楽しかったかのう」

ポン「どーしてそーゆー絵ばっかり拾ってくるんですかモウ!」


ポン「あ、でもでも」

コン「なんじゃ?」

ポン「コンちゃんいつから来てたんですか?」

コン「うむ……いつじゃったかのう」

ポン「わたし、ショックなんです」

コン「?」


ポン「最初の頃はポン太もポン吉も……」

コン「?」

ポン「わたしに『ベッタリ』だったんです」

コン「それがどうかしたのかの?」

ポン「わたしがぽんた王国復興で頑張るって言ったら」

コン「ふむ」

ポン「二人はわたしに帰っていい……って感じなんですよ」

コン「で?」

ポン「今になって気付いたんですよ」

コン「?」

ポン「ポン太もポン吉も、コンちゃんやシロちゃんに会ったから……」

コン「ふむ?」

ポン「わたしなんかよりも、コンちゃんやシロちゃんが好きになったんです」

コン「まぁ、わらわとシロ、ポンと比べればのう」

ポン「最初は優しい事言ってくれるって思ったのに……」

ポン「今度会ったら二人とも……どうしてくれよう!」

コン「ポン……女を磨いた方がよくないかの?」


ポン「でもでも、コンちゃん来てくれた時は嬉しかったよ~」


コン「まぁ、ポンはここでは一応先輩ゆえ、のう」

ポン「仲間ってやつですね」

コン「まぁ、ポンがおらねば、わらわ店番ゆえ」

ポン「コンちゃん、本当はわたしが好きなんですよね」

コン「……」

ポン「それに、やっぱり主役がいないとですね」

コン「ポン、本気で言っておるのかの?」

ポン「え?」

コン「わらわ一人でも主役はできるのじゃ!」

ポン「えー、本当かなぁ~」

コン「いつも『コンと村おこし』あるのじゃ!」

ポン「オマケですよね~」

コン「む! 言うたの!」

ポン「13話で1話ですよね、ククク」

コン「むー!『コンと村おこし』の方が面白いのじゃ!」

ポン「コンちゃん! コンちゃん!」

コン「なんじゃ!」

ポン「ほらほら『コンと村おこし』反応しませんよ!」

コン「な、なぬっ!」

ポン「ほらほら~『コンと村おこし』」

コン「うう……本当じゃ、反応せんのじゃっ!」

コン「わ……わらわの時代は終ってしまったのかの……」


コン「『コン村』はサイトで掲載してるなのじゃ!」

ポン「みなさんの応援で『コンと村おこし』も掲載されるかも!」

コン「しかし『ポン村』の人気次第かの……とほほじゃの」

ポン「むむむ……みなさん応援してね!」

コン「そうなのじゃ、さすればポン村も続くのじゃ!」

ポン「じゃぁね~」


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