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邂逅(かいこう)

――――――ジャリッ。

捧げなければ…………どこか、どこか、…………どこかいないか………?

それは供え物を探していた…………。


「!」


いいな、………最近はちょいと裏路地に入ればどこにでもこういう輩がいる。


「あん?なんだオッサン?なんか用かよ?こっち見んな!」

活きのいい奴もいるようだ。

ニタリッ、とそれは笑う。


しかし、こんな深夜に裏路地に溜っているような連中に対してその態度は悪かった。

連中はカチンときたのだろう。

「・・あ~ん?殺すよ?」

とこれ見よがしにナイフを取り出すチンピラ3人組。


武器を持った彼らにたった一人の、どこにでもいそうなサラリーマンが敵うはずがなかった。




ソレが普通のモノならば――――だ。


ソレは軽くしゃがんだかと思うと、チンピラ達の目の前から消えた。

3人で囲んでいたはずなのに獲物が消えた事にチンピラはギョッとする。


―この時、狼狽などせずにさっさと逃げ出せば一人ぐらいは助かったかもしれなかったのに。



―――――ゴシャ―――――



一人目の頭が砕ける。

それに気づく二人。

しかし、理解が出来ない。

それもそうだろう。

先程まで獲物だったモノが手にしているのは仲間の頭なのだ。


ソレの拳が仲間の頭に刺さっている。



「イカン、イカン。力加減が難しいなぁ?崩れてしまったよ。」


淡々とつむがれるれる言葉。

それはあまりにも自然で、不自然な光景。

知り合いに語りかけるように話すソレは人の目をしてはいなかった。


赤く腫れた瞳と目があう。


「お、お前っ、なにやってくれてんだよぉ!?」


狂気に当てられた一人がパニックになりながらソレに襲いかかる。

だが、拳が当たったかと思った瞬間、チンピラは腹を蹴られ壁に叩きつけられる。

先程、人間離れした跳躍をしてみせたその足によって。


当然のごとく動けなくなる。

まだかろうじて生きているのは奇跡だ。


「よしよし、偉いぞ?死体では駄目なんだ。」


生きている事を確認したソレは、先程立場が入れ替わった残りの獲物を探す。

動転しているのか、路地奥に入っていったようだ。


「愚かな。」


後を追っていくソレ。

裏路地のさらに奥の角を曲がると獲物が増えていた。

「おい、なにやらかしてんだくれてんだ?アンタ?」


どうやらボス格の男らしい人物がそこには居た。

白髪の髪に黄緑のカーゴパンツ、Tシャツに赤いジャケを羽尾っている。



…コレの魂はいい。

活きている。

人目を避け、裏路地を選んでいたが、こんな所にも居るのだな……。


「お前を捧げるとしよう。」



「はぁ?なんだ?つか、アンタ誰よ?」

キョトンしている青年、肝が据わっている、に向かって蹴りを放つ。


そしてこの獲物も蹴られたことにも気づかず壁に叩きつけられる―――――


――――ハズだった。



「オイオイ、なかなか激しい親父だな?」


蹴りは腹部を外れていた。


「!?」

何故だ?こいつは何をした!?


一瞬驚愕の表情をしたソレだが、すぐに冷静さを取り戻す。

何をされたかはわからないが、人外の技をかわすのは人外のみだ。

冷静さを失っては足元をすくわれる。


油断は禁物と判断し、全力で潰しにかかると決断。

一発ではなく、雨霰(あめあられ)と蹴りを放つ。

狭い裏路地、逃げる場所はなかった。


―――しかし…


「うわわっ、あぶねってマジで!」


当たらない。

否、届かない。


青年は完全に射程に入っているのにかかわらず………だ。


「――何者だお前?」


ありえない。

何か障害があって阻まれるならまだしも、なんの手応えもないのだ。


「俺かい?」


獲物は不敵に笑う。


「んなこた自分で考えな?こっちだってアンタがわからないんだから。………しかし、まぁ………」


「ちょいとやり過ぎだよ、お前」


青年が腕を振り―――――


―――――ソレには唐突に終わりが訪れた。

力無く、まるで糸が切れた操り人形のように潰れる。


「お…わった……………んスか?」


三人組の生き残りがやっと声を発する。


「…………あー、終わったよ。まだ生きてるけどな。………んなことよりよー、早く救急車呼んでやれ。アイツら、まだ生きてっかもしんねーだろ?」


「はっ、ハイ!」

慌てて携帯を取り出す。


「―きゅっ、救急車を早く………えっ?!場所?!場所は―――――――」


「………あー、やっぱり、連絡しとかねーとなー。」

フゥーっとため息を吐きながら携帯を取り出す。

カチカチッと携帯をイジリ、目的の名前を探す。


プルルルルッ。

―――ガチャ


「あ、俺です。鷹です。実は―――――――――――――――」




一通りの説明を相手にし終えて携帯を切る。


「やれやれ、一騒ぎ起きそうだ………」


たった今倒した相手を見ながら、鷹は誰ともなしに呟いた――――。




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