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「紅と灰の光」

森の静寂の中で目覚めたグリディス。

片方の目には「緑の波」、もう片方にはいつもの世界。

追いかけた光の先で、彼はシャドウの胸から溢れる紅と灰の流れを見てしまう。

それは彼女自身も知らない「真実」だった。

グリディスは静寂から目を覚ました。

叫び声でも、揺さぶりでもない。ただ触れられるほど濃密な静寂。

手のひらの下には濡れた苔があり、冷たく、弾むようだった。

空気は湿っていて、どこか甘い匂いがした。まるで草が燃え尽きて、煙だけを残したように。


瞬きをすると、世界が裂けていることに気づいた。

右目はいつも通り、木の幹、影、くすんだ朝を映していた。

だが左目は奇妙なものを見ていた。緑の波。地面から空へとゆっくりと呼吸のように昇っていく。

瞬きをするたび、その波は外ではなく、自分の頭の内側で動いているように思えた。


「これは夢…だよな?」

彼は自分に囁いた。声があまりにも大きく響き、森に聞かれたのではないかと怯えた。


片方の目を手で覆うと、すべては普通に戻った。灰色の森、濡れた葉。

手を離すと、再び波が立ち上がり、逆さまの根のように空へと伸びていった。


「俺…壊れたのか?」

考えは自分のものではなく、妙に大人びていた。だが心の中は本当に十二歳のままだった。

今にも誰かが現れて、「元に戻せ」と言い出すのではと怖くなった。


彼は腰を下ろした。苔が手のひらに張り付き、冷たい模様を描いた。

指をこすると、一瞬、透き通って見えた。皮膚の下に流れているのは血ではなく、光のように。


思わず拳を握りしめた。幻は消えた。

残ったのは土と爪の下の泥だけ。

だが心臓はすでに禁じられたものを見たかのように早鐘を打っていた。


肺に入る空気は湿っていた。吸うたびに酸素ではなく水を飲んでいるようで、その水が体の中でさざめいていた。

「森が…俺を飲んでいる?」

その考えに自分自身で怯えた。


左手側の枝が、風もないのに揺れた。

彼の新しい目はそこから緑色の細い糸が震えながら地面へと伸びているのを捉えた。

普通の目に映るのはただの節くれ、暗く剥がれかけた枝だった。

「つまり…世界は二重なんだ?」

唇がかすかに動いた。


立ち上がると、靴が泥に沈み、派手な音を立てた。

今や森は一歩ごとに答える。歩みそのものが言葉のようで、大地に文を刻んでいる気がした。


右目には道、ぬかるみ、根。

左目には脈動、紋様、呼吸。

二つの世界が並び、彼はその境に立っていた。


枝が顔を叩いたが、止まらなかった。

ミリアリの波――生きた熱――が前へと導いていた。

それを見失うのが怖かった。

片方は普通の世界、もう片方は光で満ちた世界。


やがて波は暗い茂みの中へと逸れた。

彼は迷わず飛び込んだ。


森が顔に打ちつけ――次の瞬間、彼は茂みから飛び出した。

地面でも、木でもない。柔らかくて温かいもの。

彼は胸から――シャドウに倒れ込んだ。


「ちょっ…!」

彼女は思わず罵りかけ、腕で彼を支えた。

「ガキ、何の癖よ!いきなり胸に突っ込むなんて!」


彼女は、彼が赤面して目を逸らし、口ごもると思った。

だがグリディスは動かなかった。


彼は見ていた。


彼女ではない。光を。


しかもそれは初めて緑色ではなかった。

紅と灰。焚き火の後の煙のように濃く、傷口から滴る鮮血のように鮮やか。

その波は彼女の胸――トレスディルから溢れ、夜の吐息のように彼女の体を包んで流れていた。


「…流れてる」彼は囁いた。「君から、直接」


彼女の笑みが揺らいだ。

「なに…?」


彼は震える指を胸に伸ばしかけた。

「ここから…内側から。光が…呼んでる」


いつもなら彼女は笑って突き放しただろう。

だが胸の奥、トレスディルが熱を帯びて脈打っていた。

いつもは重く、呪印のようだった。

だが今は――彼の呼吸に合わせて燃えるように熱かった。


彼女には見えなかった。だが感じていた。

その温もりはまるで傷が癒えようとするように広がっていく。

それが恐ろしかった。


「おかしな子」彼女は視線を逸らしながら言った。「光なんて、ない」


だが声は震えていた。

トレスディルは心臓のように打ち続けていた。

彼女の体は勝手に一歩近づいていた。

まるで光に惹かれる蛾のように。


彼はようやく一歩退いた。だが視線はまだ彼女を離さなかった。

体でも顔でもなく、彼女から溢れる紅と灰の流れを。

彼は見た。彼女は感じた。


二人の視線が重なった。

その瞬間、彼は彼女の真実に触れたのだと悟った。


シャドウは顔を背け、声の震えを隠した。

「二度と…するな」


だが内心は彼に引き寄せられていた。

そして彼女は初めて、自分が憎むべきなのは彼なのか、自分なのか分からなくなった。


グリディスは荒い息を吐きながら立ち尽くしていた。

「見たんだ。確かに。生きていた」

初めて彼は、自分が壊れているのではなく、大人の言葉よりも真実に近づいているのだと恐れた。


喉が渇き、言葉が絡まった。

「…呼んでる。温かい…生きてる…どう言えばいいか分からない…」


彼は空中に言葉を掴もうと手を伸ばしたが、掴めたのは空虚だけだった。


シャドウはいつもより長く沈黙していた。

一秒、二秒――そして肩をすくめ、いつもの口調に戻した。

「女の子に“光ってる”なんて言って喜ぶと思う?まだ子供ね、どこが“燃えてる”のかも分からないくせに」


笑みを浮かべたが、その笑みは薄氷のように割れていた。


森がざわめき、どこかで枝が落ちた。

グリディスは身をすくめた。

緑の波が彼らの会話を聞いて濃くなったように思えた。


「行くわよ」彼女は不自然に強く言った。「立ち止まってるのは馬鹿らしい」


彼は頷いた。だが目を合わせることはできなかった。

それでも左目には映っていた。紅と灰の流れが、彼女の胸からまだ溢れ、彼を捕まえていた。


まるで唯一の灯火のように。


そして彼は思った。

もし目を逸らしたら、この光も、彼女も消えてしまうのだと。

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