夢の呼び声と恥ずかしい朝!
今回の話は「夢」と「現実」が交差する不思議な回です。
ちょっとシリアス……と思いきや、最後は弟くんがまさかの大失態!?
読み終えたら、ぜひ感想や★、レビューで応援してくれると嬉しいです!
反応ひとつひとつが、本当に励みになります!
眠りはすぐには来なかった。
森を長く彷徨いすぎて、大地そのものが「寝ろ」と頭を押さえつけてくるようだった。
グリディスは疲れたからじゃない。隣の温もりに抗えず、静寂に負けて――落ちた。
焚き火は火花になり、星になり、そして――真っ白な空白へ。
……気づけば、彼は白い野に立っていた。
雪じゃない。忘却の塵。空気は重いのに羽のように軽く、足元は濡れた石のように冷たい。
頭上には三つの半透明の月――まるで目玉みたいに、灰の瞼でじろじろ見下ろしてくる。
「……どこだ、ここ」
声を出しても、反響すらなく飲み込まれる。
振り返った瞬間、「女」がいた。
いや、像。
歩いてるんじゃない。流れていた。
煙みたいに、露みたいに。
その髪は光と闇の間で揺れて、服は風もないのにざわついて、古代の文字がぞわぞわ蠢いていた。
顔は見えない。覚えられない。
瞬きしたら消えるか――あるいはもっと近づくか。
「お、お前は……誰だ?」
答えはない。
だが胸の奥に声が刺さった。自分の喉から出てるのに、自分じゃない声。
『本質を求めるか? だがそれは痛みだ。
真実を求めるか? だがそれは耐えられない。』
彼女の半分は光――触れれば溶けそうな優しさ。
もう半分は闇――光すら飲み込む虚無。
両手が彼の頬に触れた。
冷たくも熱くもない。ただ――母の温もりのように。
『体は子供。だが魂は嵐に震える木だ。
呼び声はすでに聞いた。だが理解していない。』
そして、名前が落ちてきた。
『……プサイレン。
彼女を救え。
失われ、砕かれ、捨てられた。
だが――お前なら。』
――その瞬間、彼女は灰のように砕け、光と闇が爆ぜた。
……目を開けると。
「――ちょっと!? 何してんのよアンタ!!」
シャドウの怒声。
気づけばグリディスは彼女の上に倒れ込み――
……手は、しっかり胸の上に。
柔らかくて、熱くて、めちゃくちゃ「現実的」だった。
「ち、違う! 俺じゃない! 夢だ! あの女が! 抱きしめられて、それから……!」
「はぁぁ? アンタねぇ……」
シャドウの顔は「人生全部台無し」って書いてあるみたいだった。
「寝てただけだって!? 胸触りながら!?」
「無意識だ! 本当だ! プサイレンが『彼女を救え』って言って、それで……!」
「で、私を“救った”のね? 胸で! 英雄様だこと!!」
グリディスは真っ赤になり、地面に埋まりそうだった。
「……夢じゃなかった。リアルに感じたんだ。あの女は俺を知ってた。俺以上に!」
シャドウの目が一瞬だけ鋭くなる。
古い影、痛みの記憶。
「……プサイレン、だって?」
「うん。確かにそう言った。知ってるのか?」
「……いいえ。何も。
――でも、覚えておきなさい。
夢には時々、現実より真実があるから」
一呼吸置いて、彼女はいつもの調子に戻る。
「胸は無事。夢も覚えた。今日の任務は三つ!
一、勝手に触るな!
二、そのプサイレンを探せ!
三、木の根っこで転ばないこと!
――以上! 行くわよ、バカ弟!」
ここまで読んでくれてありがとうございます!
今回は「プサイレン」という名前が初登場しました。
この存在が物語にどう関わっていくのか……お楽しみに!
面白いと思ったら★や♡で反応してくれると、とても嬉しいです




