第一話 起動。アルティマ。
前回のあらすじ
大学でいい感じに進展した女の子とご飯に行くことになったタクマ
ルンルンで夜の街へと向かう。
そこでは撃沈という言葉がぴったりなほどの振られ方をしたタクマが泣いていた。
そのあと一人で安い居酒屋に入り記憶が無くなるまで飲み続けた。
フラフラと帰り道を歩くタクマ。道を間違えて裏路地に入ってしまう。
そこには大量の血を流して倒れている二人の男と一つのスーツケース。
タクマはそんな二人に気づかずスーツケースを家に持ち帰ってしまう。
ひどい二日酔いだ。頭がいたい。サイアクの寝起きだ。あの子にも思いっきり振られて。振られたとき以外の記憶がほとんど無い。
俺は本当にどうしようもない人間だな。
顔洗いに行くか。
授業まではまだ時間があるな。
ん?なにこれ。
こんなスーツケース俺は持ってないぞ。昨日か?
「中身はなんだ?」
スーツケースを開けると中には見たことも無い装置が入っていた。
「なんだこれ。ベルトか?」
取って見た感じベルトだった。どこかのバイク乗りが腰につけている様な形のものだった。仮面〇イダーって現実の話なのか?あ、撮影のやつか。ちょっとぐらい触ってもいいよね。
腰に巻いてみたが、かなりずっしり重く若干鉄臭い。妙にリアルだな。この辺とかの塗装が凄い。
「ぽちっとな」
特に何か起こるはずが無かった。
はずだった。
「アルティマ起動。ユーザー確認、ゲノム登録。ナノ粒子形状記憶完了。システム動作テスト終了。オールクリア。電磁バッテリー100%。擬似ニュークリアシステム動作テスト終了。オールクリア。アルティメットスーツシステム動作テスト。」
ベルトが喋った。
「わぁぁ!!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
俺の身体に変なつぶが!!!!!!!なんだこれ!!!
「なんだよ!!これ!!」
鏡を見たとき、俺は某ライダーのコスプレイヤーになっていた。
全く似ているというわけではないが、こんなのいてもおかしくないよね。と思われるぐらい近い形をしている。しかし、バッタ感が全くない。どちらかというと、最近の某ライダーシリーズのスーツの様な感じだ。何がコンセプトなのだろうか。わかんないな。これどうやってしまうんだろ。脱ぐんだろうか。
そんなことより、これさ、もしかして、たぶん、
本物なんじゃね?
こんな技術見たことも聞いたことも無いぞ。
「テスト完了。オールクリア。スーツシステム解除。安全装置常時展開。」
あ、脱げた。
といっても脱げたというよりも、収まったの方が近いのかもしれない。身体にまとわりついていた粒子が崩れてベルトの中に収まっていった。
そんなことより
なんかすごいことになってしまった。どうしよう。そもそもどこでこんなもん拾ってきたんだ?全く覚えてないけれど。こういう時って警察に届けるべきだよな?でも酔った勢いで拾ってきたなんて言えないよなぁ。ほんとどうしようかなぁ。悪の組織とかに狙われるんだろうか。
ヒーローになっちゃうのかなぁ!!!チヤホヤされちゃうなぁ!!
ヒーローになるなら名前決めないとな。考えとこ。顔バレとかしちゃうのかなぁ!!
あ、時間やばい。
授業始まる!!!名前考えてないのに!!!
仕方ない、とりあえず学校行くか。
ベルトは持って行こーっと。