10歳になったミリアの日常!3
【エリシオン】艦内の広々としたキッチンルーム。そこにはヤシャスィーンとミリアが立ち、笑顔で楽しそうにお菓子作りに勤しんでいた。ヤシャスィーンは今日、ミリアにさまざまなスイーツの作り方を教えるため、早朝から準備を整えていた。テーブルにはティラミス、マドレーヌ、チーズケーキ、チョコレートフォンデュ、ショートケーキ、アップルパイの材料が並び、その隣にはパフェ用のトッピングが美しく配置されている。
「ねえ、ヤシャスィーン。今日は何を作るの?」と、興味津々のミリア。
「まずは~、ティラミスを作りましょう~。」ヤシャスィーンが笑顔で答えた。「簡単そうに見えて~、実は層を作るのに~ちょっとしたコツが必要なのよ~。」
「コツ?」ミリアが小首をかしげる。
「そう~。クリームを滑らかに塗って、スポンジを丁寧に重ねるの~。急がず丁寧にね~。」
ヤシャスィーンの指導のもと、ミリアはマスカルポーネチーズと生クリームを混ぜるところから始めた。「これ、ちゃんと混ざってる?」
「うん、いい感じよ~。でも、もっと空気を含ませて~、ふんわり仕上げるの~。」ヤシャスィーンが手本を見せると、ミリアもすぐに要領をつかみ始めた。
ティラミスが冷蔵庫で冷やされている間、2人はマドレーヌ作りに移る。ヤシャスィーンがまず言ったのは、「何より大事なのは~正確に分量を量ることよ~。」ということだった。
「ミリア、バターはこれくらい~、ちゃんと測って~。」ヤシャスィーンがスケールを差し出す。
「はい!これでいい?」ミリアが測り終えると、ヤシャスィーンが頷く。「うん、ばっちり~。」
「でもどうして分量をきっちりしないといけないの?」と、ミリアが尋ねると、ヤシャスィーンは微笑んで答えた。
「お菓子作りは科学みたいなものなの~。ほんの少しの違いが仕上がりに大きく影響するの~。」
続いてアップルパイ作り。ヤシャスィーンがリンゴを薄くスライスしながら説明する。「リンゴは薄く切るほど焼いたときに柔らかくなるわ~。でも薄すぎてもダメなのよ~。」
「ちょうどいい厚さにするんだね!」ミリアが慎重にスライスを始めた。
チーズケーキを作りながら、ミリアがふと尋ねた。「ヤシャスィーン、お菓子作りで一番大事なことって何?」
「うーん~、もちろん正確さも大事だけど~、それ以上に楽しむことが大事ね~。」ヤシャスィーンはにっこりと答えた。「自分で作ったものは~、一段と美味しく感じるのよ~。」
その言葉にミリアも笑顔で頷く。「じゃあ、もっと楽しみながら作る!」
チョコレートフォンデュを準備する際には、2人で果物を選んだ。「いちごがいい!」「私はバナナが好き~。」と盛り上がりながら、小さなフォークに果物を刺し、溶かしたチョコレートに浸す。
最後に2人はパフェを作ることにした。ヤシャスィーンが笑顔で言う。「パフェはね~、自分の好きなものを自由に入れるのが一番楽しいのよ~。」
テーブルにはアイスクリーム、フルーツ、チョコレート、ナッツ、ホイップクリームが所狭しと並んでいた。
「私はこれとこれと…」ミリアは慎重に選びながら、自分好みのパフェを作り始めた。
「うんうん~。いい感じ~。盛り付けも綺麗よ~。」ヤシャスィーンが褒めると、ミリアは嬉しそうに微笑んだ。
「ヤシャスィーンのパフェも見せて!」ミリアが覗き込むと、ヤシャスィーンのパフェは芸術作品のように美しく整えられていた。
「すごい!私のはちょっとゴチャゴチャしてるかも…」と、ミリアが笑うと、ヤシャスィーンは優しく答えた。「いいのよ~。パフェは自分が美味しいと思えばそれで完成なの~。」
全てのお菓子が完成し、2人はテーブルに並べた。ティラミス、マドレーヌ、アップルパイ、チーズケーキ、そして自作のパフェ。それぞれ一口ずつ味見していく。
「これ、美味しい!自分で作ったから特別!」ミリアが嬉しそうに言う。
「でしょ~?それが手作りの醍醐味よ~。」ヤシャスィーンも笑顔で答えた。
最後に2人は作ったお菓子を少しずつシンやクルーに持っていくことにした。「みんな喜ぶわ~。」とヤシャスィーンが言い、ミリアも「また一緒に作りたい!」と声を弾ませた。
艦内キッチンルームに響く笑い声と、美味しい香りに包まれた楽しいひとときだった。
【エリシオン】艦内の一室、シグの部屋は他のクルーの部屋とは少し趣が違っていた。床から天井まで埋め尽くすモニター、散らばるコードとツール、そして大きな電子パネルが並んでいる。中心には大きなソファがあり、その上に寝転がっているのはシグ。彼女は電子頭脳特化型ホムンクルスで、普段から情報処理やプログラムの構築に長けているが、趣味ともいえる睡眠に多くの時間を割いている。
「また寝てる!」部屋に飛び込んできたミリアが叫ぶ。
「シグ、起きて!今日は色々教えてもらう約束だったでしょー!」ミリアがシグの肩を揺さぶるが、反応は薄い。
「…う~…ウチ、眠い~…また今度…ね…」と、もぞもぞ体を動かすだけのシグ。
「また今度って、いつもじゃない!」と呆れながらも、ミリアはシグの肩を押さえたまま続ける。「もう、起きないなら無理やり教えてもらうからね!」
「むぅ~…わかった、わかったから…」シグが渋々起き上がり、寝ぼけた目をこすりながら椅子に腰掛ける。
シグがモニターの一つを起動させると、複雑な電子戦のシミュレーション画面が広がった。
「これが電子戦の基礎ね。敵の通信を妨害したり、逆にデータを盗み取ったりする技術。ジャミングとか、欺瞞とか、いろいろやることがあるわ!」
「わあ…面白そう!どうやるの?」ミリアが目を輝かせて質問する。
「まずは簡単なところから。敵が発信する信号を拾って、それを無効化する方法ね。この画面にある敵機の動きを見て、ジャミングを適用してみて?」
シグの説明を受けて、ミリアが端末を操作する。「えーっと…これをこうして…」
数分後、敵の信号が完全に遮断され、画面上の敵機が混乱する様子が見て取れた。
「できた!」ミリアが嬉しそうに振り返る。
「早っ!…普通、もっと手こずるんだけど…」と、シグは目を丸くする。「ミリア、もしかしてこれ初めて?」
「うん、初めて!でもシグの説明が分かりやすかったから!」ミリアがにこっと笑う。
「うーん、そうかなぁ…」とシグは首をかしげつつも、少しだけ得意げだった。
次にシミュレーション室へ移動し、さらに複雑な状況での訓練に入る。今回はジャミングとデコイの使い分けを教えることに。
「敵が複数いて、そのうちの一つだけを妨害したいときはどうする?」とシグが問いかける。
「うーん…全部じゃなくて、一つだけだから…特定の周波数だけを狙うのかな?」ミリアが考えながら答える。
「正解!」シグが指を鳴らす。「でも、それだけじゃ不十分な場合もあるわ。例えば、この場合…」
シグが設定した状況では、敵がこちらの妨害を感知して対策を打ってくるようになっていた。そこでデコイを放ち、敵を欺く戦術が求められる。
「デコイって、偽物をばらまくやつだよね?」とミリア。
「そうそう。その偽物を使って、敵を別の場所に誘導するの。」シグが操作方法を説明する。「ほら、このボタンを押して…」
ミリアは指示通りに操作し、見事に敵を欺くことに成功した。「できた!」
「…マジで?」シグが口をぽかんと開けている。「いつも思うけど、ミリアすごすぎない?」
「そんなことないよ。シグが教え方上手だから!」と笑顔で答えるミリア。
「いやいや、ウチの教え方って超適当なんだけど…」シグが首をかしげる。
さらにプログラミングの基礎を教えると、ミリアはそれも瞬く間に理解していく。
「こうやってコードを書いて…」とシグが端末を操作しながら解説すると、ミリアは「あ、わかった!」とすぐに自分で試し始める。
「え、もうわかったの?」シグが驚きながらミリアの画面を見ると、彼女のプログラムは既に完成していた。
「うん、できたよ!どうかな?」とミリア。
「…これ、ウチより早いじゃん!」とシグが半ば呆然としながら言う。「やっぱミリア、天才じゃない?」
「そんなことないよ。シグが優秀だからだよ!」とミリアが笑うと、シグは「まぁ、それは認めるけどね~。」と得意げに頷いた。
訓練が終わり、シグは部屋に戻って再びソファに横たわる。「はぁ~、疲れた~。でも、ミリアがあんなに飲み込み早いなんて…正直すごすぎてウチ、ちょっとだけ怖いわ…」
その一方で、ミリアの成長を見て嬉しそうに笑うシグの姿があった。彼女にとってミリアはただの生徒ではなく、未来の可能性そのものだったのかもしれない。




