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11 パーティー結成

「私とパーティーを組みませんか?」


 いきなりそんなことを言われてしまって、俺は戸惑っていた。



 ミラさんは騎士団所属だろ?なんでまた…。



「…クレイグさんは嫌…でしたか…?」


 戸惑っている俺にそう聞いてくる。


「え、いや、別に嫌ってことは無いんですけど…。ミラさんは騎士団のはずじゃ?」


 俺は素直に思ったことを聞いた。


「え?私、話していませんでしたっけ?私も冒険者になる予定だったんです」


 初耳だ…。聞いては…いなかったと思うんだが。


「それじゃ、騎士団は辞めるつもりなんですか?」


「ええ、その予定です。話すと少し長くなってしまうので、まずは登録をしてしまいましょう」

 そう言いミラさんはギルドの中へと入っていった。俺もミラさんについて入っていく。



 中に入ると冒険者らしき人がそこそこいた。大体は三~六人で固まっている。パーティーだろうか?結構な人がいるもんだな。俺みたいに大剣を持っている人、ミラさんみたいに剣と盾を持っている人。その他にも、槍や杖、槌や斧を持っている人もいる。持っている武器も大小様々だ。


 そんな風に見ているとミラさんが呼んでくる。


「こっちですよー」


 ミラさんは手を振りながらアピールしている。俺はミラさんが呼んでいる方へ向かった。



 ミラさんに呼ばれて向かった先は新規登録が出来るカウンターだった。


「新規登録の方ですね。それではこちらの紙に必要事項をご記入ください」


 俺は言われるがままに受付の人の指示に従う。ミラさんは俺の次に書くみたいだ。

 必要事項を書き、受付の人に渡すと色々と説明される。ついでにミラさんも一緒に説明を受けていた。



 内容はこうだ。

 

 1 ・冒険者には等級がある。

   ・白、青、黄、緑、紫、赤、金があり、白が一番等級が低く、金が一番高い。

   ・基本的に、白青は初級者。黄緑紫は中級者。赤金は上級者と呼ばれる。

   ・実力が認められると昇級できる。


 2 ・依頼はクエストと言い、朝に専用のボードに張り出される。

   ・基本的に自分の等級以上のクエストは受けられないが、自分より下のクエストは受けることが出来る。

   ・例外として、ギルドに認められたり、他の冒険者の推薦があれば、特別にクエストを受けさせて貰える事もある。


 3 ・身分証として自分の等級の色に合ったタグが貰える。

   ・死亡時の身分証として使うので無くさないようにすること。

   ・ギルドにお金を預けたり、引き出したりする時にも使える。


 4 ・危険な地域や、ダンジョンと呼ばれる場所には基本的には中級者以上でないと入れない。入る場合は、事前に申請すること。

   ・未発見のダンジョンを見つけた場合はすぐに探索をせず、ギルドに報告すること。



 といった感じらしい。

 

 補足として、

 ギルドの等級は、基本的には一段階ずつ上がっていくが、特例として二段階上がったりする事もあるらしい。黄等級までは割とすぐに上がることが出来るらしい…が、赤に上がるのは大変なようだ。災害級の魔物を討伐したり、人類の発展に大きく貢献するような発見をしたり…。俺にはまだまだ先の話だな。


 クエストは、自分の等級の色と同じ色の紙で張り出される。ボードも初級、中級、上級と分けられているから、すぐに見つけることが出来るはずだ。


 ダンジョンに関してが一番複雑みたいだ。

 ダンジョンというのは、魔物が多く棲みついていて、お宝が眠っていると言われている遺跡みたいなものだ。

 一番最初に見つけると、最初の探索は任せてもらえるって話で、破った場合は降格、最悪の場合は除名処分らしい。もし見つけた場合はまず報告だな。

 細かい話はまだあるみたいだが、その時にまた教えてくれるみたいだ。

 


 説明を聞いた後、ミラさんが記入する番だったので、ギルド内にある酒場のテーブルへ移動した。


 登録は済またが、今はタグが出来るのを待っている。何やら特殊な魔道具らしく、専門の魔道具師が作っているらしい。そんなに時間はかからないみたいだけどな。

 クエストが張り出されるボードの方を見て見るが、今は何も張り出されていないみたいだ。時間が遅いから張り出されていないのかな?


 そんな風に時間を潰していると、ミラさんも記入が終わったのか、こちらへ歩いてきていた。


「お待たせしました」


「いいえ、待ってませんよ」


 そうやり取りをして、ミラさんは向かいの席に座る。そして、まじめな顔つきになり口を開く。


「それで、先ほどのパーティーの件なんですけど、どうお考えですか?突拍子のない提案だと分かってはいるのですが…」



 俺だっていきなりの提案で驚きはしたが…。俺は…全く問題ない。昨日の件でミラさんの実力も見れたし、頼もしいとすら思った。一緒にいて変に気を使うこともなかったし、なりより楽しかった。…だけど…。


「ミラさんの騎士団の方は、本当に大丈夫なんですか?」


 辞めるとは言っていたけど、純粋に疑問だ。


「はい。今回のタスクボアの件は、私が騎士団を辞めて冒険者になる為の試験だったので。あまり詳しいことまでは今はまだ話せませんが、クオルに着いたら全てお話しします」

 そういう事だったのか。…ミラさんには申し訳ないが…一応()()みるか。


 ……………()()()()な。


 本当のことを言っている…。疑ってしまった自分が恥ずかしい。


「わかりました。そういう事でしたら、俺も問題ないです」


 そう告げると、緊張が解けたのか、ミラさんの表情が一気に明るくなった。


「本当ですか!?ありがとうございます!」


 俺もつられて笑顔になる。


「クレイグさんとパーティーが組めて嬉しいです!やっぱりパーティーを組むなら背中を預けられる人でないと!」


 そんな風に思っていてくれたのか…。騎士団所属の人に言われると素直に嬉しいな。



 これから危険なところにも行くことになるだろうし、冒険者の死亡の話は聞かない話ではない。

 パーティーを組むにしても、頼りになる人と…ってのは誰もがそうだろう。俺だってそうだった。



「ミラさんと過ごした時間はまだ短いですけど、俺も同じように思ってました」


 俺は思っていたことを素直に告げた。


「本当ですか!嬉しいです!鍛錬していた甲斐がありました」


 ミラさんも同じように思っていてくれたようだ。



「でも、クレイグさんはいつも私の話を信じてくれますよね?いくら私が騎士団所属だとしても、普通なら疑ったりするはずなのに…」


 普通ならそうなるだろうな。

 パーティーを組むんだし、いつかは話さないといけないだろう…が、


「俺も話してないことはあるので、ミラさんが全部言えるようになるまで隠しておくことにします」


 と、ちょっと意地悪気味に言ってみた。

 するとミラさんは少しむくれた表情になり、


「えー、わかりました…。でも、その時には話してくださいね」


 と言った。

 意地悪をしたいわけじゃないが、情報を出し合っていない状態で言うのは少し気が引けた。


「パーティーを組むのでパーティー名を決めないといけないですね。何が良いでしょうか…」


 パーティーだったら名前が必要なのか。何が良いんだろうか…。


「クレイグさんは世界中を旅するんですよね?」


「ええ、そうですね。自由に旅をするって感じです」


「それじゃあ…【ワンダラー】なんてどうですか?」



 ワンダラーか。放浪者って意味だ。確かにこの旅には合っているな。



「いいですね。ワンダラーにしましょう」


 俺がそう言うと、ミラさんは嬉しそうにしている。



 名前一つだけだが、決まってみると確かに嬉しいし、実感もわいてくる。



「リーダーはクレイグさんで良いですよね」 


 ん?そうなのか?


「え?俺で良いんですか?ミラさんから誘ってもらったのに…」


「私がクレイグさんの旅に同行するかたちになるので、パーティーリーダーはクレイグさんですよ」


 ミラさんは笑顔でそう答える。

 この笑顔言われてしまうと断れないな。それじゃ気合入れてやるか!


「わかりました。それじゃあ俺がリーダーをします。これからよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


 そう言って、二人とも頭を下げた。

 


 するとミラさんがこう言う。


「でも、パーティーなのに敬語っておかしいですね。敬語は無しにしませんか?」


 そう言われてみればそうだな。俺もいつまでも堅苦しいのは苦手だ。ミラさんから提案されるのは願ってもないことだった。


「そうしましょうか」


 俺は提案を受け入れることにした。


「それじゃあ…よろしくね、クレイグ!」


 ミラさんから改めて挨拶をされる。これはこちらもちゃんと返さないとな。


「ああ、よろしくな、ミラ!」




 俺たちはパーティーを結成した。

 これからどんな旅になるのか楽しみだ。

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