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大剣使いの放浪記  作者: 秋凪勇輝
プロローグ ペルナ村
1/24

01 旅立ちの日 1

初作品、初投稿です。

拙い文章ではありますが、温かい目で見てもらえると幸いです。

「行ってくるよ」


 親父の墓の前でそう告げる。

 

 親父と言っても本当の父親じゃなく、孤児だった俺を拾ってくれた育ての親だ。

 生きる術や心得、戦い方を学ばせてもらった。

 昔は傭兵団の団長をやっていて、それは強かったらしい。

 実際、剣で打ち合っても勝てたことがなかった。


 親父が死んだのは1週間前だった。


 後天性のマナ……ああ、すまん。マナってのは魔術を使うときに使う力の事な。

 マナってのは体に元々あるもので、全ての人にあるものらしい。それによって全ての人が魔術を使うことが出来る、とされている。

 普通に使う分には問題もなく、時間が経ったり、寝たりすることで回復するんだが……何らかの形によって過剰な量を体内に取り入れてしまうと、人体にとっては有毒になってしまうものだ。

 何でかは知らないが、俺の体には無いみたいだ。俺は魔術を使えないからな。

 話がそれてしまったな。


 親父は昔、事故に会って、後天性のマナの過多症になってしまった。その話はまた追々することにしよう。

 2年前までは元気だったんだ。そこから段々と調子が悪くなっていき、1年前からは寝た切り状態だった。

 拾ってくれた恩を返すことも出来ず、いろいろと教えてもらった恩も返せず‥

 その言葉を言うと、病床に伏せていた親父が


「俺に付き合わせてすまなかった。これからはお前の好きなようにしろ。ガキの頃、毎日言ってた冒険者になるって夢を叶えて楽しくやれ。お前が幸せなのが一番の親孝行だ」


 と言ってくれた。

 俺はその言葉を実現することにしたんだ。

 それで今日が出発の日ってわけだ。


 さて、準備も出来てるし、そろそろ出発するか。

 


 山道を下りて村の方へ向かう。


「この村ともお別れか…」


 10年前、俺と親父が流れ着いた時に快く迎えてくれたのが、この村【ペルナ村】だ。

 大陸の西端にある山あいの小さな農村で、観光客もあまり来ないド田舎。

 村の皆で協力し合っていて、俺と親父は、狩人や木こりのような事をしていた。

 

 初めて獲物を仕留めたときは、村の皆で祝ってくれたっけ。

 今となってはいい思い出だ。


 少し感傷的になってしまったな。

 せっかくの出発の日だってのにこれじゃダメだな。気持ちを切り替えていこう。 


 そうこう考えている間に村に着いてしまった。

「とりあえず挨拶回りかな」


 一通り村の皆に挨拶して回る。


「応援してるよ!」

「頑張れよ!」

「あんたがいないと寂しくなるねぇ」

「たまには戻って来いよ」


 皆、応援してくれたり、別れを惜しんでくれる人達ばかりだった。



 思ったより時間が掛かってしまったな…

 みんな野菜やら何やら持っていけと言っていたけれど、使いきれないからと断るのに時間が掛かってしまった。飴ちゃんだけは貰っておいた。


 最後にあいつの工房へ行くか。

 頼んでいたアレも受け取らないといけないし。


 気持ち足早に工房へと向かう。

 途中、幌馬車の行商人の人へ挨拶をしたりしながら向かった。


 工房に着きドアを開ける。


「おーい。ルークいるかー?」


 ――――――。


 返事はない。

 作業場の方か?


 奥にある作業場の方へ向かう。


 奥に向かうと目的の人物を発見した。


「いたいた。ルーク来たぞー」


「おークレイグ、やっと来たか。もう少しで終わるから、ちょっとだけ待っててくれ」


 こいつはルーク。

 年齢は10歳離れてるけど、昔からよくしてくれている友人で兄のような存在だ。

 鍛冶の腕前は一流だ…と思う。他の職人の腕がどれだけかは分からないが、狩りに使ってる道具どれをとってみても質が良い。


 ルークの手元を見てみると、研ぎ作業の最中のようだった。


「邪魔してしまったな」


「気にすんな。このくらいで集中力は途切れないさ」


 そう言い目線を落として作業を再開する。


「んじゃ、カウンターの方で待ってるよ」


「あいよー」



 カウンターの方へ戻り適当な椅子に腰かける。

 少し待っていると一仕事終えたルークが来た。


「すまんすまん、もう少しで終わる仕事があったからさ」


 そう言いながらお茶の準備をしているようだ。

 お茶の一杯くらいは時間もあるし、頂いていこうか。


 お茶を淹れたルークがやってくる。香ばしい、いい香りが立ち込める。

 カップを二人の前に置き、自分もドカッと椅子に座る。

 

 「しっかしまあ、村に来たときはこんなに小さかったのに、今じゃ俺の身長より高いんだもんなー。俺だって身長低くはないんだぞ?」


 ルークは胸のあたりに手を当てて言う。

 俺の身長は、今ではルークの頭の先が俺の口元くらいにある。


「俺だってこんなにでかくなるとは思わなかったさ」 


 まあそうだろうな。という顔でこちらを見てくる。


「あの時は親父さんの後ろに隠れてチラチラこっちみてたっけか」


「あまり恥ずかしいことを思い出すなよ」


「いや、可愛かったぞ。今と違ってな」


 昔からこういう風にからかわれるのがいつもの風景だ。

 まあ、それが心地良くもあるんだけどな。


「それがこうやって独り立ちするってなると‥感慨深いもんだなぁ」


「ジジくさいな」


「うるせぇよ!」


 なんて話をしているうちに、カップの中は両方空になっていた。

 するとルークは立ち上がって言った。


「んじゃアレ持ってくるから、ちょっと待っててくれ」

書きたいことを書いていたら長くなってしまいました。

2つに分けて投稿します


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