酔っ払ったお隣さん
「そろそろ寝ましょうか。
希望さんはベッド使ってください。
俺はそこのソファーで寝ますから」
「そんな、わたしがソファーでねます。
これいじょう、めいわくをかけるわけには」
呂律が回ってない。
「女性をソファーで寝かせて、自分はベッドでなんて罪悪感半端ないので。
人助けと思ってベッド使ってください。」
「ありがとうございます。
のぞむさんはやさしいですね。
このまえなくなったちちみたいです」
希望さんの話では、つい最近父親を事故で亡くし、天涯孤独になったそうだ。
で、一緒に過ごした家ではイヤでも父親の事を思い出してしまうから引っ越すことにしたそうだ。
出来るだけ早く引っ越したかったから、一人暮らしには広めだけど、会社から近いこのマンションに決めたらしい。
「わたしはちちのおもいでからにげたんです」
そう言って、また泣き始めてしまった。
泣かせてしまった。
罪悪感。
いや俺、何も悪くないよね?
あ、醉うまで呑ませた俺が悪いのか。
やっぱり罪悪感。
「えっと・・・
逃げて良いと思いますよ。
お父さんの事ホントに好きだったんですね。
だからこそ、急な死を受け入れられなかったんです。
逃げたと言うより、少し距離を置いて、少しずつ受け入れれば良いと思いますよ、
さ、今日はもう寝ましょう」
そう言って俺は希望さんの手を取りベッドのある部屋へと連れて行った。
(うわぁ〜。
ドサクサ紛れに手触ってしまった。
手触ってる、触ってる!
柔らかいし、すべすべしてる!)
頭の中はパニック状態。
それでも頑張って寝室に連れていき、ベッドに寝かし布団をかける。
「明日は土曜日で、会社休みでしょうから、ゆっくり寝ててくださいね。
おやすみなさい」
そう言って電気を消す、。
部屋を出る頃には寝息が聞こえてきた。
色々あって疲れたのだろう。
大きな音を立てないようにドアを閉め、俺はリビングへと戻る。
部屋を出る時に、
「お父さん」
と言う寝言?が聞こえた気がした。