ついに夏休み Side瑠璃華
ようやく明日から待ちに待った夏休み。
お兄ちゃんの所にしばらくお泊まりに行ける♪
服とか身の回りの物も送ったし、明日は最低限持って行けば大丈夫。
早く寝ないとなのに興奮して寝れない。
バイトしてお金稼いで、お兄ちゃん好みの服を買って、デートして。
旅行とかも行きたいな♪
服を買うと言えば、あの女をお兄ちゃんから遠ざけないと。
そう言えば、一緒に服を買いに行くことになったんだっけ。
お兄ちゃんとのお出掛け用の服を買いに行くって事だけど、果たしてちゃんとしたモノを選んでくるのか、それとも・・・。
そんな事を考えてたら、ますます眠れなくなってきた。
いっそこのまま起きてて、お兄ちゃんの所に行ってから、お兄ちゃんのベッドで寝た方が良いかも?
よしそうしよう。
朝、台所に行くと、結構な量のタッパーが置いてあった。
今日の晩ごはんに食べてと、お母さんが大量に用意したみたいだ。
でも、2人分にしては多い気がする。
まさか、あの女の分も??
と思ったけど、お母さんは存在を知らないはずだ。
疑問に思って聞いてみると、日持ちするものだから多めに作ったらしい。
でも、これ持っていくの私だよね・・・。
大きめのバッグにタッパーを詰め電車に乗る。
お兄ちゃんに、最寄り駅の到着予定時刻を送ると、迎えに来てくれるみたいだ。
やっぱりお兄ちゃんは優しいな。
お昼ごはんは、帰りに食べて行こうと言われた。
そう言えば最近、あの駅の近くに新しい店がオープンしたって話を聞いた。
パンケーキのお店で、今さら?って思ったけど評判はすこぶる良いらしい。
都会からは少し離れた地域だからか、地元の学生カップルなんかも多いみたいだ。
お兄ちゃんと2人分で行ったら、私たちもカップルに見えるかな?
そんな事を考えてるうちに、目的の駅に到着した。
人混みに紛れると、お兄ちゃんを見つけにくいし、見つけてもらうのも大変だろうから、人が減ってきたタイミングで改札へと向かった。
改札近くまで行くと、遠目にお兄ちゃんが見えた。
「お兄ちゃ〜ん♪」
思わず、少し大きめの声を出して手を振る。
気付いてくれたらしく、手を振り返してくれた。
改札を出て、お兄ちゃんに近づくと、もう1人見知った顔があった。
「あっ」
恋敵(仮)がいた。
何故お兄ちゃんと一緒に来てるんだろうか?
たまたま駅で会ったのだろうか?
「早く瑠璃華ちゃんに逢いたくて、お願いして一緒に迎えに来ちゃいました♪」
「あ、はい、そうなんですね。
わざわざどうも」
わざわざ来たらしい。
私に会いたかったと言ってるが、お兄ちゃんと一緒にここまで来るのが目的だったのか、それとも私とお兄ちゃんの間に入って邪魔する事が目的だったのだろうか?
いったい何を考えてるのか。
お昼ごはんもついてきた。
まぁ、あの状況で帰れとは言えないから仕方ない。
お昼を食べ終え、希望…さんの部屋の前に着いたとき、お兄ちゃんが晩ごはんに誘う。
正直、余計な事を言わないでと思ったけど、意外なことに辞退した。
『これ以上、お邪魔して恨まれたくない』
と言っていた。
私の本当の気持ちに気づいてるのだろうか、それともただのブラコンくらいに思っているのだろうか。
お兄ちゃんちに入ると、部屋を一室私用にしてくれると言われた。
明日ベッドとか一緒に買いに行くことになった♪
さらに合鍵までくれた。
まるで同棲してるみたいだ。
名字が同じだから新婚カップルかな?
と言ったら苦笑いされた。
でも、夏休みの間とは言え、お兄ちゃんと2人暮らしだ。
嬉しくないはずがない。
思わず抱きつく。
そのまま、バイトの面接の事や、お兄ちゃんの仕事の事なんかの話をした。
お兄ちゃんに抱きついてると居心地が良く、だんだん眠くなってきた。
結局、昨日は一睡も出来なかったから当たり前と言えば当たり前。
今日はお兄ちゃんのベッドで寝て良いことになったから、部屋に戻って少し休むことにした。
ベッドにうつ伏せになり、枕に顔をうずめて思い切り匂いを嗅ぐ。
お兄ちゃんの匂い♪
そのまま深呼吸をしていたら、だんだんと意識が遠くなっていった。




