表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/65

我が家の風呂に入るお隣さん

「ちょっと待っててくださいね」


 俺は先に靴と濡れた靴下を脱ぎ脱衣所に駆け込んだ。

風呂の給湯ボタンを押し、タオルを取り玄関へと戻る。


「取り敢えずタオルをどうぞ。

今給湯してますので、貯まるまでシャワー浴びてください。

入って少ししたら、着替え用に大きめのシャツ持っていきますので。

ただ、さすがに女性用下着持ってないので、入ってる間に洗濯してもらっていいですか?

乾燥機能ついてますので、ゆっくりお風呂入ってもらえれば出る頃には乾くと思いますので。」


 早くしないと風邪引いてしまうので、渡したタオルで髪と顔を拭いてるお隣さんに早口で説明する。


「ありがとうございます・・・」


 小さい声。

引っ越しの挨拶しに来てくれた時とは違うけど、それだけ大変だったのだろう。


(あんなずぶ濡れになって、鍵までなくしたら仕方無いよね)


 脱衣所に入っていくお隣さんを見送り、すぐに着替えを持っていくわけにもいかないので、1度外に出て散乱してたバッグと中身を回収する。


(取り敢えず、除湿機の上にでも干しておくかな

この呑みかけのビールは・・・捨てていいよね

でも・・・)


 頭の中に間接キスと言う言葉が、ほんの少しよぎる。

いや、実際は拾ってから捨てるまでの間よぎっていた。

ほんの少しとはいったい。

童貞が童貞たる所以。

我ながらキモい。


 それから服とバスタオルを用意し、声をかけてから脱衣所に入る。

洗濯機は回ってるので大丈夫だろう。

バスタオルに大きめのシャツと、無段階で止められるベルトを置いておく。


 (惣菜買ってあったみたいだから、晩御飯はまだみたいだな。

何か簡単なものでも作るかな。

ビール呑んでたし、オツマミにもなるのにするか)


 料理は好きだ。

何も考えずに手を動かしてると、たまに良いアイデアが浮かぶ。

1度、料理中にアイデアが浮かび、メモを取ってたら焦がして、フライパンを駄目にしたことがあるのは秘密だ。


 ホントのことを言うと、何かして頭を空っぽにしないと妄想が膨らんでしまう。

それはそうだろう。

一目惚れした相手が、隣に住んでると言うだけで接点の欠片も無かった相手が、うちの風呂に入ってる。

着替えを持っていった時、扉1枚を隔てた所に裸でシャワーを浴びるお隣さんが・・・。

そんな状況でイケナイ妄想をしないほど、俺は不健全な男ではない。


「あ、やべ」


 全然頭の中が空っぽにならず、ちょっと焦がしてしまった。

焦がした所は証拠隠滅に食べてしまおう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ