お見舞い
玄関ドアを開けると希望さんがいた。
両手で袋を下げている。
「こんにちは。
瑠璃華ちゃんのお見舞いに来ました。
買物行けないだろうと思って、色々差し入れ持ってきました」
そう言って、袋を上げ見せてくる。
「ありがとうございます。
助かります。
どうぞ上がってください」
「お邪魔します。
瑠璃華ちゃんの様子はどうですか?」
「今さっき起きて、お昼ごはん食べたところですよ」
トントン
「瑠璃華入るぞ」
ノックをしてからドアを開ける。
「瑠璃華、希望さんがお見舞いに来てくれたよ」
「こんにちは、プリンとかスポーツドリンクとか持ってきたんだけど食べるかな?」
俺の後ろから顔をのぞかせ希望さんが瑠璃華に話しかける。
「どうも、わざわざ有難うございます。
でも、今から桃缶食べるので大丈夫です」
さっきまでの甘えモードから一変、相変わらず希望さんには塩対応だ。
「そう?
じゃぁ、後で食べてね」
意に介さない風の希望さん。
「熱はまだあるのかな?」
妹に出なく俺に聞いてくる。
「えぇ、さっき計ったら、まだ38℃ありました」
それを聞いた希望さんは何かを考えてるようだ。
「瑠璃華ちゃん、汗かいてるんじゃない?
お風呂入れないだろうし、私が背中とか拭いてあげようか?」
確かに、寝汗かいてもおかしくない。
そして、いくら妹とは言え、さすがに拭いてあげるのは気が引ける。
「そうですね。
お願いしても良いですか?」
「ちょ、ちょっと勝手に決めないでよ」
拒否する妹に近づいて、耳元で何かコソコソ話をする希望さん。
話を聞いた後、一瞬目を大きく開いて俺の事をチラッと見る。
「わかりました・・・。
お願いします」
「お願いされるよ♪」
声を絞り出すように返事する瑠璃華と、ご機嫌な希望さん。
いったい何を言ったのだろうか?
「では、お湯とタオルを用意してきますね。
それとも桃缶を先に食べるか?」
存在を忘れかけてた桃缶を思い出し聞いてみる。
「身体拭いてからで大丈夫」
実は汗が気持ち悪かったのかもしれない。
気の利かない兄でスマン。
「そうか。
じゃあ用意してくるよ」
俺は部屋を出ようとして、ふと思う。
「希望さん、お昼ごはん食べましたか?
まだでしたら、簡単なもので良ければ一緒にどうですか?」
「良いんですか?
是非ご一緒させてください」
「わかりました。
では色々用意してきますね」
まずはお湯とタオルを用意しに部屋を出た。




