希望さんと瑠璃華
「スミマセン。
何かお手伝い出来ることないかと思って、少し早く来てしまいました。
お客さん来てたみたいですけど、大丈夫でしたか?」
優しい。
「実は、連絡も無しに急に妹が遊びに来まして。
取り敢えず、立ち話もなんですし、お上がり下さい」
「お邪魔します。
妹さんて、確か瑠璃華ちゃんって名前でしたよね?」
「そうです。
よく覚えてますね」
先週の食事会の時に、1度しか名前を言ってない気がする。
リビングに戻ると、瑠璃華がこっちを睨むように立っていた。
「瑠璃華、この人は隣に住んでる、望月希望さん」
希望さんを紹介すると、
「なんでお隣さんが、兄貴の部屋に来るの?」
「少し前に、望さんに助けてもらって、それから色々と良くしてもらってるんです」
俺の代わりに希望さんが答える。
「瑠璃華ちゃんの事は、望さんから聞いてて、会えて嬉しいです。」
希望さんの言葉に、瑠璃華は俺を睨みむ。
「望さん、瑠璃華ちゃんの事、凄く可愛い、妹だって言ってて。」
希望さんの言葉に、眉尻がピクリとする。
「会ってみると、本当に凄く可愛くてビックリしました。
私、妹欲しかったんですよね。
ね、瑠璃華ちゃん。
試しに私のこと、お姉ちゃんって呼んでみてくれないかな?」
「別に、私はお姉ちゃん欲しくないので呼びません」
歩み寄る希望さんに、突き放す瑠璃華。
「残念。
でも、その気になったら、何時でも希望お姉ちゃんって呼んでね」
その言葉に、無言で顔をそらすことで意思表示をする瑠璃華。
この雰囲気、居づらい。
「えっと、取り敢えず、晩ごはんの準備するから、2人ともゆっくりしてて」
そう言い残し、俺はキッチンへと逃げようとした。
が、その前に、
「望月さん、飲み物何が良いですか?
瑠璃華は、さっき飲んでたお茶の残りで良いのかな?
それとも、別なの用意するか?」
俺の問いに、瑠璃華は飲みかけのグラスを持ってソファーに座る。
「私もお茶もらって良いですか?
それと、望月じゃなくて、良かったら下の名前で呼んでください。
私も妹ちゃんと一緒にならないように、望さんって呼ばせてもらうので」
「わかりました。
えっと、それじゃあ希望さんって呼ばせてもらいますね」
言い慣れない名前呼びにドキドキしながら、希望さんにお茶を出す。
「希望と、呼び捨てでも良いんですよ。
でもそう呼ばれると、何だか望さんの妹になったみたいですね。
お兄ちゃん♪」
ドンッ!
大きな音がする。
見ると瑠璃華がこちらを睨んでる。
「お腹空いた!
ご飯まだ!?」
希望さんと話に夢中になってた。
「ごめんごめん。
すぐに作るから」
機嫌悪そうなのは、お腹すいてたからか。
そう思い、急いで作り始めた。
作ってると、視線を感じる。
希望さんが、こちらを微笑みながら見ている。
この前の希望さんの話ではないが、なかなか恥ずかしい。
その後ろから、瑠璃華も見ている。
こっちは睨んでる気がするが。
きっと俺がサボらないか見張ってるのだろう。




