突然の訪問者
今回、AIイラスト作成してみました。
背景変えようとすると、おかしくなってしまうので、背景話に合ってませんが、あくまでイメージって事で。
希望さんの部屋で、カレーをご馳走になってから1週間ほど経ち、梅雨も終わり、段々と暑い季節になり始めていた。
今年の夏も酷暑になるそうだ。
今日もすでに暑い。
夏日を超え、真夏日になるそうだ。
ちなみに希望さんとは今日の夜、今度はうちで一緒に食事をする約束をしている。
ちょっと子供っぽいかもしれないが、ハンバーグにする予定だ。
昔妹がまだ俺に懐いていた頃、俺の作るハンバーグが、好きと言ってくれていた。
なので、味的には間違いないだろう。
午前中に、種を仕込んで冷蔵庫で寝かせておく。
スープとサラダは夕方から作れば大丈夫だろう。
ケーキも買ってきたし準備万端だ。
そして約束の時間まで、2時間ちょっとになった今、部屋を念入りに掃除していた。
ピンポ〜ン
チャイムが鳴る。
誰だ?
宅配の予定はないし、希望さんとの約束までは、まだまだ時間がある。
「は〜い、今出ますよ〜」
俺は外に向け大きめの声で話しかけながら、玄関に向かいドアを開ける。
「遅い!
バカ兄貴、いつまで待たせるの!?
熱中症で倒れたらどうしてくれるの?!」
妹の瑠璃華が立っていた。
手には保冷バッグ?と、大きめのエコバッグ?を持っている。
何故ここに?
なにをしに来たんだ?
そして相変わらず口が悪い。
久しぶりに会う兄に向かって、バカとは失礼な。
「ほら、暑いんだから早く入れて」
そう言って瑠璃華は、勝手に中に入ってくる。
俺はため息をつきながら、リビングへと向かう妹の後をついて行く。
「で?
連絡もなしに急に何しに来たんだ?」
リビングのエアコン前で涼んでる妹に尋ねる。
「なによ。
可愛い妹がサプライズで遊びに来て嬉しくないわけ?」
「嬉しくなくはないが」
可愛い妹は、俺の事を睨んだりしないと思う。
なんか殺気がこもってる気がするし。
「まぁ良いわ。
お母さんが、兄貴に色々持ってけって」
そう言って、バッグの中身を取り出し始める。
「ホント重かったんだからね。
『休みでゴロゴロしてるんだったら、ちょっとコレお兄ちゃんの所まで届けてちょうだい』
とか言ってさ。
私だって色々用事あったのに」
似てないオフクロの真似をしながら、ブツブツと文句を言う。
保冷バッグからは肉や野菜、エコバッグからは缶やビンが出てくる。
確かに重そうだ。
「勝手に冷蔵庫に入れるからね。
ついでに何か飲物もらうよ。
喉渇いちゃった」
そう言って、冷蔵庫を開け麦茶を取り出す。
シンクに置いてあるコップをゆすぎ、よほど喉が渇いていたのか、コップ1杯分を一気で飲み干し、もう1杯注ぐ。
その麦茶には手を付けずに、持ってきた食材を冷蔵庫に詰め始める。
「何このボウル?
あっ、今晩ハンバーグ?
ご馳走様♪」
とんでもない事を言い出す。
「いやいや、瑠璃華の分は無いぞ。
来るの知らなかったし。
それに晩飯食べてったら、家に帰り着くの遅くなるだろ。
あんまり遅いと帰り道色々心配だよ」
「あ、言い忘れたけど、今日泊めてもらうから。
せっかく交通費出してもらったんだし、明日帰りに渋谷で買い物して帰るから。」
またもとんでも発言が飛び出す。
普段なら泊まりに来ようが構わない。
が、何故今日なんだ?!
今夜は、希望さんとの食事会なのに。
と言うか、言い忘れたなんて絶対嘘に決まってる。
「いやいや、俺にも予定ってもんがあるんだから。
第一、着替えとかないんじゃないか?」
冷蔵庫にしまい終わった妹は、飲物片手にリビングのソファーに移動する。
「着替えなら、そのエコバッグの下の方に、別のバッグに入れて持ってきたから大丈夫。
それにどうせ、彼女も友達も居ないんだろうし、予定が〜とか言ってもホントは何も無いんでしょ?」
言葉の暴力が俺に襲いかかる。
「いや、彼女は確かにいないけど、友達なら高校時代にだな・・・」
「で?
その友達とは、高校卒業してから何回くらい遊んだの?」
妹の言葉が、フルスイングで殴りかかってくる。
心が砕け散りそうだ。
「ま、そう言うわけで宜しく〜。
明日、買物したら1度ここに戻ってくるから、荷物は置かせてね〜」
泊めるのは良いとしよう。
しかし、希望さんとの食事会は邪魔されたくない。
その間だけでも、どこか他所に行っていて欲しい。
時計を見ると、約束の時間まで残り1時間半。
どうする。
問題は、なんと言って、どこで時間をつぶさせるか・・・だが。
ピンポ〜ン
チャイムが鳴る。
また誰か来たのか。
今日の来客予定は希望さんだけのはずなのに。
「はぁ〜い」
妹が応対しに玄関に向かう。
希望さんでは無いだろうから、書留とかの郵便か?
取り敢えず対応は任せて、妹をどうするか考えよう。
トタトタトタッ。
小走りに来る音が聞こえる。
なんだろ。
妹じゃ対応出来ない客なのか?
「ちょっと兄貴!
なんかスゴイ可愛い人が兄貴に用があるって来たんだけど!」
スゴイ可愛い人・・・。
俺の知り合いに該当するのは、希望さんしかいない。
時計を見直す。
約束の時間まで、あと1時間。
でもまだ約束の時間まであるぞ?
何かあったのだろうか?
てか、妹とエンカウントしてしまった。
これじゃあ、もう2人きりの食事会は無理だろう。
少し泣きたくなった。
泣いてる場合じゃないし、待たせるわけにはいかないので、玄関に向かう。
そこには、やはりスゴイ可愛い人が居た。




