表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/65

突然の訪問者

 今回、AIイラスト作成してみました。

背景変えようとすると、おかしくなってしまうので、背景話に合ってませんが、あくまでイメージって事で。

 希望(のぞみ)さんの部屋で、カレーをご馳走になってから1週間ほど経ち、梅雨も終わり、段々と暑い季節になり始めていた。

今年の夏も酷暑になるそうだ。

今日もすでに暑い。

夏日を超え、真夏日になるそうだ。


 ちなみに希望(のぞみ)さんとは今日の夜、今度はうちで一緒に食事をする約束をしている。

ちょっと子供っぽいかもしれないが、ハンバーグにする予定だ。

昔妹がまだ俺に懐いていた頃、俺の作るハンバーグが、好きと言ってくれていた。

なので、味的には間違いないだろう。


 午前中に、種を仕込んで冷蔵庫で寝かせておく。

スープとサラダは夕方から作れば大丈夫だろう。

ケーキも買ってきたし準備万端だ。


 そして約束の時間まで、2時間ちょっとになった今、部屋を念入りに掃除していた。


 ピンポ〜ン


 チャイムが鳴る。

誰だ?

宅配の予定はないし、希望(のぞみ)さんとの約束までは、まだまだ時間がある。


「は〜い、今出ますよ〜」


 俺は外に向け大きめの声で話しかけながら、玄関に向かいドアを開ける。


「遅い!

バカ兄貴、いつまで待たせるの!?

熱中症で倒れたらどうしてくれるの?!」


 妹の瑠璃華(るりか)が立っていた。

手には保冷バッグ?と、大きめのエコバッグ?を持っている。

何故ここに?

なにをしに来たんだ?

そして相変わらず口が悪い。

久しぶりに会う兄に向かって、バカとは失礼な。


「ほら、暑いんだから早く入れて」


 そう言って瑠璃華(るりか)は、勝手に中に入ってくる。

俺はため息をつきながら、リビングへと向かう妹の後をついて行く。


「で?

連絡もなしに急に何しに来たんだ?」


 リビングのエアコン前で涼んでる妹に尋ねる。


「なによ。

可愛い妹がサプライズで遊びに来て嬉しくないわけ?」


「嬉しくなくはないが」


 可愛い妹は、俺の事を睨んだりしないと思う。

なんか殺気がこもってる気がするし。


挿絵(By みてみん)


「まぁ良いわ。

お母さんが、兄貴に色々持ってけって」


 そう言って、バッグの中身を取り出し始める。


「ホント重かったんだからね。


『休みでゴロゴロしてるんだったら、ちょっとコレお兄ちゃんの所まで届けてちょうだい』


とか言ってさ。

私だって色々用事あったのに」


 似てないオフクロの真似をしながら、ブツブツと文句を言う。

保冷バッグからは肉や野菜、エコバッグからは缶やビンが出てくる。

確かに重そうだ。


「勝手に冷蔵庫に入れるからね。

ついでに何か飲物もらうよ。

喉渇いちゃった」


 そう言って、冷蔵庫を開け麦茶を取り出す。

シンクに置いてあるコップをゆすぎ、よほど喉が渇いていたのか、コップ1杯分を一気で飲み干し、もう1杯注ぐ。

その麦茶には手を付けずに、持ってきた食材を冷蔵庫に詰め始める。


「何このボウル?

あっ、今晩ハンバーグ?

ご馳走様♪」


 とんでもない事を言い出す。


「いやいや、瑠璃華(るりか)の分は無いぞ。

来るの知らなかったし。

それに晩飯食べてったら、家に帰り着くの遅くなるだろ。

あんまり遅いと帰り道色々心配だよ」


「あ、言い忘れたけど、今日泊めてもらうから。

せっかく交通費出してもらったんだし、明日帰りに渋谷で買い物して帰るから。」


 またもとんでも発言が飛び出す。

普段なら泊まりに来ようが構わない。

が、何故今日なんだ?!

今夜は、希望(のぞみ)さんとの食事会なのに。

と言うか、言い忘れたなんて絶対嘘に決まってる。


「いやいや、俺にも予定ってもんがあるんだから。

第一、着替えとかないんじゃないか?」


 冷蔵庫にしまい終わった妹は、飲物片手にリビングのソファーに移動する。


「着替えなら、そのエコバッグの下の方に、別のバッグに入れて持ってきたから大丈夫。

それにどうせ、彼女も友達も居ないんだろうし、予定が〜とか言ってもホントは何も無いんでしょ?」


 言葉の暴力が俺に襲いかかる。


「いや、彼女は確かにいないけど、友達なら高校時代にだな・・・」


「で?

その友達とは、高校卒業してから何回くらい遊んだの?」


 妹の言葉が、フルスイングで殴りかかってくる。

心が砕け散りそうだ。


「ま、そう言うわけで宜しく〜。

明日、買物したら1度ここに戻ってくるから、荷物は置かせてね〜」


 泊めるのは良いとしよう。

しかし、希望(のぞみ)さんとの食事会は邪魔されたくない。

その間だけでも、どこか他所に行っていて欲しい。


 時計を見ると、約束の時間まで残り1時間半。

どうする。

問題は、なんと言って、どこで時間をつぶさせるか・・・だが。


 ピンポ〜ン


 チャイムが鳴る。

また誰か来たのか。

今日の来客予定は希望(のぞみ)さんだけのはずなのに。


「はぁ〜い」


 妹が応対しに玄関に向かう。

希望(のぞみ)さんでは無いだろうから、書留とかの郵便か?

取り敢えず対応は任せて、妹をどうするか考えよう。


 トタトタトタッ。


 小走りに来る音が聞こえる。

なんだろ。

妹じゃ対応出来ない客なのか?


「ちょっと兄貴!

なんかスゴイ可愛い人が兄貴に用があるって来たんだけど!」


 スゴイ可愛い人・・・。

俺の知り合いに該当するのは、希望(のぞみ)さんしかいない。

時計を見直す。

約束の時間まで、あと1時間。

でもまだ約束の時間まであるぞ?

何かあったのだろうか?

てか、妹とエンカウントしてしまった。

これじゃあ、もう2人きりの食事会は無理だろう。

少し泣きたくなった。


 泣いてる場合じゃないし、待たせるわけにはいかないので、玄関に向かう。

そこには、やはりスゴイ可愛い(希望さん)が居た。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ