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逢いに行く口実 Side瑠璃華

 季節はもう7月。

お兄ちゃんが居なくなって半年近く過ぎた。

時間が経てば経つほど、逢いたくて仕方ない。


 お兄ちゃんからは、たまにメッセージが来る。 


『ごめん、ゴールデンウイークは帰れない。』


『そろそろ学校には慣れたかな?』


『みんな元気にしてるか?』


 そんな他愛のない内容だ。

それに対する返事は、我ながら素っ気ない。


 ホントは、遭いたいって伝えたい。

逢って話がしたいと言いたい。

せめて電話で話をしたいと伝えたい。

でも言えない。

言って拒絶されたら耐えられない。


 もし、私の本心が知られたら・・・。

兄妹の関係が終わる。

両親に知られでもしたら・・・、最悪もう二度とお兄ちゃんと逢えなくなる。

だったら辛くても、今のままの方が良い。


 そんなある日。

母親が段ボールに荷物を詰めていた。

聞けばお兄ちゃんに送るものを入れていたらしい。

箱の中を見ると、量は大したことがない。

これくらいなら直接持って行けば良いのに。

・・・直接?

そうだ!

これを私が持っていこう!

そうすれば、お兄ちゃんに逢う理由が出来る。


 私は母を説得することにした。

渋谷に買い物に行きたいから、途中でお兄ちゃんの所へ寄って届ける。

土曜日にお兄ちゃんの所に泊めてもらって、日曜日に買い物してから帰ってくると。


 母は、お兄ちゃんが許可すれば良いと言われた。

だから私は、お兄ちゃんには私から連絡しておくと伝え、OKを貰ったと嘘をついた。

そしてついに私は、今度の土曜日に逢いに行けることになったのだ。


 それから土曜日まで、私はドキドキしっぱなしだった。

なにせ半年ぶりの、生お兄ちゃんなのだ。

あぁ。

早く土曜日にならないかな・・・。

このままだと、土曜日まで心臓がもたない。


 お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・・。

早く逢いたい、逢いたい、逢いたい、逢いたい、逢いたいよ・・・・。

苦しい、苦しい、苦しい、苦しい、苦しいよ・・・お兄ちゃん・・・。


 そして待ちに待った土曜日。

本当は始発で行きたいくらいだったけど、親にはお兄ちゃんが来て良いよと言ってくれたと嘘をついてる。

だから、お兄ちゃんが帰れと言えなくなるように、夕方に着くように行くことにしたのだ。


 はぁ・・・。

土曜日まで長く感じたけど、この出るまでの半日はもっと長く感じる。

早く・・・、早く逢いたいよ。

お兄ちゃん♪

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