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私のお兄ちゃん Side瑠璃華

 新章始まります。


 前話で1度だけ名前出てきましたが、瑠璃華ちゃんは、望くんの妹ちゃんです。

 お兄ちゃんは、凄く優しい。

私は物心ついた頃から、お兄ちゃんが大好きだった。

いつもお兄ちゃんの後ろをついて歩いてた。

後ろから、ちょこちょこついてくる私を見て、お兄ちゃんは手を繋いでゆっくり歩いてくれた。

正直、父親よりもお兄ちゃんと手を繋いだ時間の方が多いだろう。

お兄ちゃんも子供だったが、私にとっては大きいと感じた手。

頭を優しく撫でてくれる、優しくて温かい手。


 やがて、私は小学生になり、高学年になってもお兄ちゃんが大好きだった。

隙さえあれば、お兄ちゃんの近くに座ってた。

お風呂も一緒に入ってたが、小学校5年生の時に生理が始まってからは、両親に禁止された。

でも、わがままを言って小学生までは一緒に寝てた。

よくお兄ちゃんのお嫁さんになると言ってた記憶もある。

法律さえ許せば今でも・・・。


 私も大きくなったが、お兄ちゃんはもっと大きくなった。

優しくて温かい手も、さらに大きくなった。


 中学に入り、しばらくした頃事件がおきる。

友達数人と話をしてた時、どういった流れかは忘れたけれど、話が恋バナになったのだ。

みんな、何組の誰が好き〜、先輩の〇〇さんが〜、とか言ってた。

そんな中、私の好きな人の話になった時、私は正直にお兄ちゃんが好きと言ったのだ。

周りは一瞬静まり返り、すぐに、


『えぇ〜』


 とか言う声があがり、誰かが


 『家族としてじゃなくて、恋人にしたい、とかの好きな人だよ?』


 と言ってきた。

ここで、何も言わなければ、まだ良かったのかもしれない。

でも、お兄ちゃんの事をバカにされた気がして、


『私はお兄ちゃんの事、兄妹としてではなく、恋人になりたいくらい大好き』


 と言ったのだ。

これが1つ目の間違い。


友達からは、


『うちも兄居るけどありえない』


『きっとキモいかも』


『恥ずかしくないの?』


 とか、言われた。

そんなに言われるほど、恥ずかしく気持ち悪がられる事なのだろうか。

もしかしたらお兄ちゃんも、私の気持ちを知ったら、気持ち悪いと思うのだろうか。

そんな事もないと思ったが、万が一と考えると怖かった。


 家に帰ってからも、ずっと考えてた。

答えの出ない問題。

いや、お兄ちゃんに聞けば答えは出る。

でも、それは怖いから出来ない。

ずっとずっとグルグル思考が巡る。


 不意に声をかけられた。

お兄ちゃんだ。

いつの間にか帰って来てたみたいだ。

リビングの電気をつけ入ってきたお兄ちゃんは、ビックリした顔をしている。

それはそうだろう。

真っ暗なリビングのソファーにポツンと座ってたんだから。


 何かあったのかと、お兄ちゃんが私の頭に手を置き聞いてくる。


私の大好きな手。

優しいお兄ちゃん。

大好きなお兄ちゃん。

いつまでも妹扱い。

私の気持ち。

気持ち悪がられるかも?

恥ずかしい事?


 パニックになる。

その結果、


『触らないで!

いつまでも子供扱いしないでよ!

バカ兄貴!』


 思わず、お兄ちゃんの手を払い、悪態をついてしまう。

ビックリした顔したあと、寂しそうな悲しそうな、今まで見たことのない表情。

完全に八つ当たりだ。

謝らなきゃ。

でも先にお兄ちゃんに謝られた。


『ごめんな。

瑠璃華ももう中学生だもんな。

子供扱いしてたわけじゃないけど、兄とは言え気軽に頭触られるのは嫌だよな』


 悲しそうに微笑むお兄ちゃん。


 違う!

お兄ちゃんに頭撫でられるのは大好き!

お兄ちゃんも大好き!

ごめんなさい!

ちょっと友達に嫌なこと言われただけなの!

八つ当たりしちゃったの!


 言わなきゃダメだった。

でも言えなかった。

これが2つ目の間違い。


 そのまま私は逃げるように部屋へと戻った。

ベッドに飛び込み、枕に顔を埋めて泣いた。

私に泣く資格はない。

泣きたいのは、きっとお兄ちゃんだろう。


 その日は、ご飯も食べず部屋にこもった。

お兄ちゃんが晩御飯だからと呼びに来てくれた。

いつも通りの優しい声。

でも、その優しい声が辛かった。


 次の日も、お兄ちゃんは普段通りだった。

謝らなきゃ、謝らなきゃ。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

ホントはお兄ちゃんの事が大好きなの。

でも、みんなが否定してくるの。

お兄ちゃんにも、否定されるのが怖いの。

言えない。

怖くて言えない。


 あとはもう謝るタイミングを失った。

取り返しのつかない過ち。


 それから私は、お兄ちゃんを避けるようになった。

それでも、お兄ちゃんは優しくしてくれた。

優しくしてくれるたびに私は辛くなった。

苦しい、苦しい、苦しい。


 お兄ちゃんは、私に避けられて寂しく思ってくれてるのかな?

何とも思われてなかったら悲しい。

わがままな話だ。


 それでも私はお兄ちゃんを避け続けた。

いや、避けてたというのは違うかな。

当たりが強いと言ったほうが正しいかも。

兄貴呼びしたり、お兄ちゃんだけに口悪く話したり。

それでも、お兄ちゃんは嫌な顔せずに、いつも通りに話してくれる。

さすがにスキンシップは無くなったけど・・・。

大好きだからこそ、兄離れをしないといけないと頭ではわかってる。

でも、また頭を撫でて欲しい。

いっそ、お兄ちゃんが私を嫌って無視とかしてくれると良いのに。

そうすれば諦められると思う。

いや、無理だろう。

そんな事されたら悲しくて死んでしまう。

好きなのに言えない。

大好きだから言えない。

私達は兄妹だから、いつか兄は私の知らない女と結婚するだろう。

そして、家を出ていくかもしれない。

その相手が私だったら良いのに。

でも、許されない。

親が、世間が、法律が・・・。

私とお兄ちゃんを兄妹以上の関係にはしてくれない。


 うぅっ・・・。

また頭撫でて欲しい。

小さい頃の用に、ギュってして欲しい。

そんな事されたら、もう気持ちが止まらないと思うけど。

思ったより長くなるので、いくつかに分けます。

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