今度こそデザートタイム Side望月希望
彼はすぐに戻ってきた。
まだお湯が沸かないので、座って待っててもらうことに。
何だか視線を感じる。
座ってる彼を見ると、笑顔でこっちを見ていた。
恥ずかしい。
恥ずかしいと伝えると、すぐに顔をそらした。
ちょっと可愛いかも?
紅茶を用意し、冷蔵庫からケーキの箱を取り出す。
テーブルに置き、開けてみるとチョコとベリー系のケーキがあった。
彼は、私が食べたい方を取ってと言ってくれた。
やっぱり優しい。
でも、どちらも美味しそうで迷ってしまう。
迷ったあげく、ラズベリームースケーキを選んだ。
チョコケーキも小皿に取って彼の前に置く。
「「いただきます」」
一口食べる。
その様子を彼はジッと見つめていた。
恥ずかしい。
きっとさっきの、カレーを食べるのを見られてた彼も同じように恥ずかしかったのかもしれない。
私が食べるのを見てから彼も一口食べる。
ケーキは甘酸っぱくて美味しかった。
私は恥ずかしさを隠すように、ケーキを一口分フォークに取り、彼の口の前に差し出す。
「そうなんですね♪
あ、良かったらムースも一口どうぞ
はい、あ〜ん」
彼はビックリした顔をした。
目も少し泳いでた。
ふふっ、可愛い。
意を決したのか、目をギュッとつぶり口を開ける。
その口にフォークをゆっくり入れ食べさせる。
ゆっくり味わってから、
「美味しいです」
顔を真っ赤にしてそう言った。
「ふふっ、真っ赤になって可愛いですね♪」
思わず言ってしまう。
言ってから、男性に可愛いだなんて失礼だったかな? と思ったが、彼は仕返しとばかりに、チョコケーキを一口分フォークにのせ、私の方へ差し出してきた。
余裕のふりをして、差し出されたケーキを口にする。
が、耳が熱くなってるのがわかる。
赤くなっているのだろうか?
バレてないと良いけど。
そして、これは間接キスというやつではないかと気付き、余計恥ずかしくなった。
おかげで、残りのケーキの味がわからなかった。
ケーキを食べ終わったあと、いろいろな話をした。
彼の趣味や家族について。
アニメは、子どもの頃から見せてもらえなかったので今も見ないが、ラノベに関しては高校時代の友人に薦められて色々借りて読んでいた。
彼の好きなのも読んだことがあったので結構盛り上がった。
そして彼には妹が居るみたいだ。
名前は瑠璃華ちゃん。
まだ高校二年生で、彼より4つ歳下の16歳。
彼はまだハタチだったみたいだ。
もう少し上だと思っていた。
私と違ってしっかりしているから。
尊敬する。
妹さんは、彼に対して当たりが厳しいみたいだ。
中学に入る前くらいまでは、お兄ちゃん娘だったみたいだが、中1のある時を境に当たりが強くなったらしい。
彼自身には原因がわからないみたいで、きっと反抗期何だと思います?と言っていた。
こんな優しいお兄ちゃん居たら、私なら反抗期なんか迎えずに、ずっとベッタリだったろう。
うちの兄とは大違い。
爪の垢でも煎じて飲ませたい。
でも、早川さんがお兄ちゃんか・・・。
ふふっ、お父さんも良いけど、お兄ちゃんも捨てがたい♪
早川さんが嫌いなら、私が妹さんに変わっても良いよね?
ふふふっ。
ふふっ。
気がつけばもう、21時近くになっていた。
今日はお開きになった。
もう少し一緒でも良かったのだけど、早川さんに気を使わせてしまうかな?
彼は今度またご馳走してくれるらしい。
何時でも良いみたいな事は言ってくれたけど・・・。
そんな事言われたら、毎日でも行ってしまいそう♪
でも、さすがの私も我慢我慢。
仕事が忙しい時だけお願いすることに。
ふふふっ♪
彼なら私の側で一緒に居てくれるかな?♪
優しかった父みたいに♪
お父さん・・・。
兄みたいに私を邪険にしない、優しいお兄ちゃんに♪
お兄ちゃん・・・。
ふふふふふっ♪
ここで、取り敢えず話は一区切りになります。
章分けしてないですが、1章完です。
次から新章始まります。
引き続き宜しくお願いします。




