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アクシデント発生 Side望月希望

「ご馳走様でした」


 凄い。

あんなにあったのに食べちゃった。


「美味しかったから、食べ過ぎちゃいました」


 お世辞でも嬉しい。


「やっぱり男の人は、いっぱい食べますね」


 私の4倍くらいは食べたかも?


「いやはや、がっつくような食べ方でスミマセン」


 確かに凄い勢いだった。

見てて爽快だったよ。


「お昼抜いたって言ってたし、よっぽどお腹空いてたんだね〜」


「お腹空いてるのもあるかもしれないですが、1番の理由は、また食べたいくらい美味しかったからですよ」


 また食べたい・・・。

父と同じ事を言ってくれる。

やはり、父に似ているかも。


 お腹いっぱいだからと、デザートは少し時間を空けてから食べることになった。

彼は私に2個とも食べてと言ってくれたけど、せっかくなので一緒に食べたい。

苦しそうな彼には少し食休みをしてもらって、先に後片付けをしてしまう事にした。


 洗い物をしながら、父の事を思い出して、少しボーッとしてたのだろう。

泡だらけのコップが手の中から滑り落ちる。

あっ

と思うまもなく、お皿の上に落下。


 ガチャ〜ン!!


 大きな音をたて、グラスとお皿が割れた。

その音で我に返り、割れたグラスを片付けようと手を伸ばしたその時、


「ストップ! 動かないで!!」


 大声で怒鳴られる。

その声に思わず、ビクッとなり手を引っ込める。

大声は怖い。

母を思い出す。


「スミマセン。

いきなり大声出してしまって。

食器が割れたみたいな音がしたので。

怪我とかは大丈夫ですか?」


 彼は今度は優しい声で話かけてくる。

私を心配してくれての大声だったが、まだ少し固まってしまう。


「え? あぁ、怪我は無いと思います。

ただ、ちょっとビックリしました」


 我に返り、手のひらをくるくる回しながら、怪我がない事を確認する。

どこもケガはしてないようだ。


「ホントごめんなさい。

望月さんが怪我するかも!? って思ったら、つい大声になってしまいました」


 何度も謝ってくる。

ホントに私の事を心配してくれてるみたいだ。

ふふっ、嬉しい。


「取り敢えずこれに座って、そのまま動かないで待っててくださいね

すぐに戻ってきますから」


 そう言って、部屋から出て行き、ものの数分で何だか色々持って戻ってきた。


「お待たせしました」


「お帰りなさい」


 『お帰りなさい』なんて久しぶりの言葉だ。


 そ彼は、私のスリッパを丁寧にコロコロかけて、履かせ直してくれた。

ガラスの靴ではないが、ちょっとしたお姫様気分だ。

それから床やシンク内も、破片がなくなるようキレイにしてくれたし、ゴミも自分で処分すると言ってくれたのだ。

ホント優しい。


 彼のお腹が落ち着いたみたいなので、部屋に荷物を置いてくる間に、お茶の準備をして待ってることに。


 私のカレーをいっぱい食べてくれた。

嬉しい。


 また食べたいと言ってくれた。

嬉しい。


 壊した食器を、私がケガしないようにと代わりに片付けてくれた。

優しい。


 今日はこの間のお詫びなのに、ケーキまで買ってきてくれた。

ホント優しい。


 多分、私より年下だろうに私よりしっかりしている。

そして、言動が父と重なることが多い。


 (ふふっ、ホントお父さんみたい。

甘えてみても大丈夫かな?

お父さんみたいに、応えてくれるかな?

ふふふっ、ふふっ)

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