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ついに来てしまった土曜日 Side望月希望

 その日は朝から戦争だった。

普段使わないキッチンに立ち、肉と野菜を睨みつけていた。


 カレーとサラダを作る予定だ。

理由は色々ある。


1つ、大抵の人はカレーが好き。

 この前聞いた、好きな食べ物にもカレーが入っていた。


2つ、失敗する可能性が低い。

 箱の裏に書いてある通りに作れば、まず失敗する事はないだろう。


3つ、一応過去に1度独りで作ったことがある。

 小学生の頃だが、林間学校でカレーを作るから、家で保護者と一緒に1度作って来ると言う宿題が出たのだ。

だが、母は手伝ってくれなかった。

仕方ないから材料費を貰い(それすら嫌がっていたが、宿題なら仕方ないと渋々渡してきた)、独りで買い物に行き作ったのだ。


そして最後に4つ目、そのカレーを父が褒めてくれたから。

 その日は父が家に帰ってくる日だった。

父は私が1人で作ったたことを知り、希望(のぞみ)はスゴイなぁと、優しく頭を撫でてくれたのだ。

そして、具の大きさもバラバラ、形も不格好、そんなカレーを、美味しい美味しいと言って、おかわりまでしてくれた。

食べ終わった後も、


 スゴイ美味しかったよ。

また食べたいな。


 と笑顔で言ってくれた。

だが、母は私が料理するのを嫌い、残念ながら次は無かった。


 今になって思うと、母は私に嫉妬してたのだろう。

父は母の作った料理を、滅多に褒めなかった。

たまに母が、美味しいか聞いた時だけ、美味しいよ。と、一言返すだけだった。

だから、父が何も聞かないでも、美味しい美味しいと言って食べてたのが気に入らなかったのだろう。

なんて器の小さい人なんだろう。


 いけない、いけない。

母の事なんて思い出しながら作ったら、カレーか美味しくなくなってしまう。

父が、美味しい美味しいと食べてくれた時の笑顔を思い出しながら、今回は具の大きさがバラバラにならないように、ゆっくり丁寧に野菜を切っていった。



 それから2時間後、ようやくカレーが完成した。

慣れない作業で思いの外時間がかかってしまった。

でも、前より上手く作れたと思う。

父にも食べて欲しかった。


 あとはサラダを作るだけ。

サラダは簡単に、野菜洗って、レタスをちぎり、キュウリをスライス、プチトマトのヘタを取って、ゆで卵を切るだけ。

ゆで卵が上手く剥けませんでした。

簡単そうで難しいです。


 サラダを盛り付け冷蔵庫にしまう。

作り終わってしまった。

作ってる時も緊張したけど、作り終わると余計に緊張してしまう。

約束の時間まではまだあるし、緊張で心臓が痛い。

もう一度部屋の掃除でもしようかな。

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