第09話『海で一番カッコいい生物って何だと思いますか?』
『岩砕機銃』
リックスは剣を振り、飛び跳ねたエメラを岩の連続射撃で怯ませ湖に返す。
バシャァン――――
俺は、エメラが怯んだ隙に水中へ潜り辺りを見回す。
しかし、姿は見当たらない。
――――アイツどこ行った?
とその時、物凄いスピードで横を何かが通り過ぎる。
水圧に押されよろけるアシュリー。
折り返してこちらに戻ってくる。エメラだ。
尾ヒレをスクリューの様に回転させて泳いでいる。そのスピードはまるでロケットだ。
大口を開けて襲ってくるエメラを太刀でガードする。が、押しに負け岩に激突する。
――――くっそ。俺じゃどうにもならねぇ。アレを使ってみるか。まだ特訓中だけど......
エメラのスピードに追いつけないと確信し、目を瞑って集中する。
アシュリーには今、何も聞こえない。エメラの威嚇、泳ぐ音、波の音。そして持っていた太刀から手を離す。
落ちていく太刀に周りの水が集まってくる。
『水流義創・海シャチ』
刀に纏った水はシャチの姿に変化し、物凄いスピードで泳いでいく。
シャチは一瞬にしてエメラの腹部に噛みつく。
ギャアァァァァァ――――
もがき苦しむエメラを容赦なく連れ回し、水上まで一気に持っていく。
バシャァァァァァン――――
釣竿で釣り上げられた様に飛び上がるシャチ。その口はエメラをしっかりと噛み付いている。
大量の水しぶきが上がる中、水中からアシュリーも飛び上がってきた。海シャチの太刀を持ち、そのまま上に振り上げる。
『水流居合・大滝登り』
真っ二つになったエメラと切ったアシュリー、シャチは太陽に照らされ影だけが見える。まるでラッセンの絵画のイルカの様に美しい......シャチだけど。(+1体)
開いた口が塞がらないリックスと隙を逃さないジュリア。
すかさずヘビちゃんがパクりっ。
俺は着地したところで、ジュリアとグッドポーズをする。
これが連携プレイだ!
海シャチが決まってホッとした。
「あんなシャチ、いつの間に創れるようになったんですか?」
「ヘビちゃんを見て思ったんだよ。私にもできるんじゃないかなって」
ヘビちゃんにピースをすると、それに応えるように野太い声ビィと鳴く。ヘビちゃんのお腹は膨れ、満足そうだ。
やり取りを見ていたリックスは2人の連携プレイにまだ開いた口は塞がらない。
それからしばらく歩いた3人は、洞窟の入り口にたどり着いていた。
魔王討伐数ー1体
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
初投稿作品になりますが毎日投稿を頑張りますので、
続きが気になる方、バトル系・異世界系がお好きな方はぜひ明日の投稿をお楽しみに!