第44話『閻魔大王のイメージって何ですか?』
アシュリーは国王の間の扉の前に立っていた。
深く深呼吸をする。
――――今の俺は違う。冬美のお陰でさらに強くなった。見てろよ冬美。お前の仇打ってやるからな!
「アシュリー」
ジュリアと国王様もやって来た。国王はリックスに肩を貸している。
「美亜!大丈夫か!」
「うん、なんとかね......」
リックスは力を振り絞った笑顔で答える。
「治療はしたんじゃが、かなりの重症でここまでしか回復しなかった」
「いや、ありがとうございます。国王様。あとは私が」
リックスを引き取ろうとするが、リックスに拒否される。
「パパは今からこの世界を救うの。私は大丈夫だから戦いに全力を注いで」
リックスは壁にもたれながらエールを送った。
そこへミルアとカルアもやって来た。
「うわ、リックス大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。もうそのくだりやった」
「そうじゃなくて!」
「ミルア、カルア、リックスのこと頼んだ」
「え?こっちはコータもいるんだけど......」
「まぁ、大丈夫でしょ」
俺の知らない間にコータもいた。なんで?
改めて......
「扉、開けるよ」
「アシュリー。父ちゃんが『アシュリーなら絶対勝てる。この世界を変えられる』って言ってたよ、ガンバ」
ミルアの言葉を胸に扉を開けた。
部屋には禍々しいオーラがあちらこちらから湧き出ていた。
扉から王の座まで黒い絨毯が敷かれ、隣にはリーアが立っていた。
王の座に座っていたのは......麦わら帽子に作業着のおじさん。
「よく来たな!待ちわびたぞ。我が名は『ウォマード・アメン』この世界を支配する閻魔大王なり。フリーグンも久しいな、やっと呪いも解けてザコを連れて復讐ってか?」
――――どこかで見た気がする。
どこかで見たことあるような作業着のおじさん。だが、あと一歩のところで思い出せない。
「あの人会ったことある?」
「スーヴェ村にいたおじさんです」
みんなは覚えているだろうか。村に入った瞬間にジュリアを刺したあのおじさんを。
「あ!ジュリアを刺した人!?」
「そうです。彼です」
「え?あの人が閻魔大王なの?」
「そうです。彼が閻魔大王です」
「本当の本当に?」
「本当です」
「そうは見えないけど......」
あまりにも普通の村人感に恐怖を感じない。
「もういいだろ!!」
「だって、国王様の格好してた方が良かったよ、大物感あったし。今じゃただの農家のおっさんだよ」
「ああ!うるせぇな、どいつもこいつも!それだよ、それ!俺が閻魔大王に見えないからって、ザコの人間共が舐めやがって!だから、俺のことをバカにした人間共は俺の下でこき使ってやってんだ!」
「......それが理由?」
「そうだ!この国を乗っ取ってやった理由だ!」
「しょーもな......」
俺達は呆れてため息がでる。
「もういい!こっちにはリーアもいるんだ!リーアやっちゃえ!」
「リーア!私の体返してください」
ジュリアが一歩前で立ち向かう。
「いいよ。私もそっちの体の方が良いし、これはパパのワガママに付き合ってただけだし......この体ちょっと動き辛いんだよねぇ」
「なっ!お前ワガママって、相変わらず生意気な娘だ」
「ちょっと来て......」リーアはジュリアを近くへ呼んだ。
ジュリアの胸に手を当てると魂が入れ替わる。
「素直に応じてくれてありがとうございますっ!」
カキンッ――――
ジュリアはお礼を言うと同時にリーアに斬りかかった。
「ちょっとぉ、不意打ちは卑怯じゃない?」
だが、リーアは余裕の表情で受け止める。
「もう、元の身体に戻ったんだからあなたが私に勝てる訳ないでしょ」
「それはどうでしょうか。私だってずっと修行してきたんです。昔の私とは違いますよ」
「それは楽しみだねぇ。私も久しぶりのこの身体だし準備運動くらいにはなるかな?」
魔王討伐数ー0体




