第43話『会えてよかったです』
カルアは横になったまま目を覚ました。
「あっ。カルア!よかった......」
首元に抱きつくミルア。その顔は涙と鼻水でぐちょぐちょだ。
「僕は一体......?」
「魔王になってたんだよ。白衣のジジイのせいで」
――――そうか......僕は変な液体を浴びて......そっから記憶ないや。
「僕はどうやって元の姿に?」
「それはよくわからないんだけど、たぶんこれのお陰」
ミルアは2つに割れたピンク色の石を出した。
「それって、母ちゃんの......」
「うん、国王様から貰ったやつ。母ちゃんの形見」
「そっか。じゃあ母ちゃんが僕たちを守ってくれたのかな?」
「そうかもね」
「ミルア、カルア、よく頑張ったわね」
「凄く強くなったじゃないか」
カルアはミルアの後ろに薄らとおじさんとおばさんが見えるのに気付いた。
ミルアも突然の声に驚きつつ振り向く。どうやらミルアにも見えているようだ。
「あなた達のお母さんとお父さんよ」
「まぁ、会ったことないから仕方ないか」
「え?母ちゃん!」
「父ちゃん!」
突然の登場に戸惑う......どころか素直に受け入れ、胸に抱きつく。両親は2人の頭を撫でる。
2人はすぐに両親だとわかった。なんでかはわからないけど安心している気がした。僕達と似ていたからだろうか?
「父ちゃんと母ちゃんは魔王になったって......」
「あら、聞いたのね。そうよ、私達も聖剣士をしていたんだけど閻魔大王に負けて魔王になっちゃって......この間まで魔王として生きてたんだけど、やられちゃったわ」
「じゃあなんで今......」
母親は割れた宝石を見た。
「それはその宝石のお陰かもね。それはね、『パパラチアサファイア』って言って、サファイアの中でも一番綺麗な宝石なんだって。おばあちゃんから貰ってね、私もずっと付けてたの」
「ごめん。せっかくの大事な物を......」
「ううん、いいのよ。こうして2人に合わせてくれたし、2人を守ってくれたし、十分役目を果たしたんじゃないかしら」
その時、奥から小さい男の子が部屋に入って来た。
「ママ」
「あら、ここまで追いかけて来たの?危ないから来ちゃダメって言ったのに......ほらお兄ちゃん達に挨拶して」
「弟のコータです。初めまして、お兄ちゃん」
礼儀正しく挨拶する男の子はコータだった。
「弟!?」当然2人は驚く。
「そう。カルア達が産まれてだいぶ経ってから産まれたから会えなかったのよね。その頃はもうあなた達聖剣士だったし忙しかったでしょ?」
コータも人見知りはせず、すぐに近寄って来た。
「コータのこと頼んだわよ」
「これからは3人で仲良くやるんだ。大丈夫、父ちゃん達もずっと見てるから......」
父ちゃんと母ちゃんは徐々に薄れて消えていく。
「あ、あのアシュリーって子。あの子なら閻魔に勝てる、この世界を変えられるぞ。父ちゃん達の仇取ってくれよな、絶対!」
父ちゃんの最後の言葉アシュリーに伝えてあげなきゃ。
ミルアとカルアはコータの手を強く握り部屋を出る。
魔王討伐数ー0体




