第37話『最大の決断。閻魔に絶対勝つ!』
「はっ?お、お前、冬美......?」
まだ目の前の光景が信じられない。
「そうよ。私はあなたの妻、冬美......いいえ、本当の名前は『アシュル・カナナリア』アシュリーの母親なの」
冬美はフードを取り長い髪を見せた。その髪は綺麗な水色。
「なんでこんな所にいるんだよ!俺、見たんだぞ。ずぶ濡れになって、橋から上げられて、救急隊員の人が一生懸命助けようとしてくれて......ずっと会いたかった。急にいなくなりやがって......」
涙がこぼれ落ち、膝から崩れる。
「今まで騙していてごめんなさい。あの橋から落ちたのはこちらに来るためで、私は本当はこちらの世界の人なの......ジュリア様と一緒よ」
「どういうことだよ!なんで騙してまで......」
「私はヘルドラン国王と同じ時代に聖剣士をしていたの。聞いていると思うけど、その時にみんな閻魔大王にやられてしまって魔王に変えられたりしたの。それで私もシガマニュウボウとして閻魔大王の配下にされてしまったの」
「じゃあ、俺達と暮らしていたのは?」
「あなたならこの世界を救えると思ったから。私はシガマニュウボウとして配下にいつつこの世界の救世主を探しにそちらの世界に行ったの。そして、あなたと結婚し美亜を授かった」
「何で俺が.....」
冬美はうつむいた俺の顔を持ち目を合わせた。
「あなたは困っている人を放っておけないからよ。あなたの世界だって、こっちに来てからだって、今までたくさんの人を助けてきたじゃない。それが今、あなたに聖剣士達がついてきてくれている理由よ。あなたはこの国の未来を変えることができる。そう思うわ......なんたって私はあなたの妻だからね」
冬美の笑顔を久しぶりに見た。
――――やっぱりこの笑顔が俺は好きなんだ。この笑顔の為に俺が頑張らなきゃ!
俺は覚悟を決めた。
「だから、あなたに頼みがあるの」
冬美は氷の腕を触る。
「この氷の能力を受け取ってほしいの。この能力があればあなたはもっと強くなるし、閻魔大王に勝てると思う」
「そんなことができるのか?」
「えぇ。私の魂があなたと同化すればこの能力が使えるようになるわ」
――――それって......
「ただ、私はもういなくなることになる......でも、私も閻魔大王に仇を撃つためにこの時を待っていたの。あなたが閻魔大王に立ち向かってくれる日を。その思いはわかってほしい」
――――冬美がいなくなるのは悲しいけど、これも冬美の思い。一生懸命考えてくれたんだろう。俺が受け継がないと無駄になるよな......
「わかった。どうすれば良い?」
「ありがとう。実はこの太刀元々は私の物なの。だから、この太刀でこうすれば――――」
冬美は俺が持っていた太刀で自分の腹部を刺した。
持っていた太刀は凍り、徐々に冬美の身体も凍り付く。
俺は冬美の魂が身体に入ってくるのがわかった。
いつもの温かく優しい気持ち。そして、俺の大好きな気持ち。
太刀の凍りを砕き閻魔大王の元へ向かう後ろ姿はどこか冬美に似ている。
――――美亜にも合わせてやりたかったな......
私は......ずっとあなたの手離さないわよ。
......凍次郎さん
魔王討伐数ー0体
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
初投稿作品になりますが毎日投稿を頑張りますので、
続きが気になる方、バトル系・異世界系がお好きな方はぜひ明日の投稿をお楽しみに!




