第02話『ピンチを助けてくれた少女が可愛すぎます』
――――おいおい、あんなにたくさん魔王が来てどうなってんだよ。この世界は!!
村の奥の方から魔王達が物凄いスピードでこちらに迫ってくる。
「仕方がない。またさっきみたいにやれば......」
――――ちょっと待てよ?さっきみたいにやったら、この村も吹き飛ぶのでは?
ヤバいっ!!早速ピンチ!!?
村人達は、また倒してくれっという目でこちらを見ている......
――――いやいや、そんな目で見られても、無理なんだよ。あんたらの村も吹き飛ばしちゃうんだよ。遠くに引きつけてから倒せばいいのか?っていってもあんなスピードのやつら相手じゃ、おじさんは追いつかれてしまうよ......
魔王はドンドンと近づいて来る。村を襲い村人はやられていく。
――――どうしよう......俺がやらなきゃいけない、けど残ってる村の人まで巻き込んじゃう......
シュンッッッッ――――
動揺して動けない俺の上空を何かが通る。
近くまで迫っていた魔王が一刀両断されている。
(+10体)
「部長、能力の制御ができてないっすねぇ」
どこからか声がする。辺りを見まわし声の方を見ると、剣を魔王の腹部に突き刺し仁王立ちしている赤い髪の少女がいる。
「えっと......どちら様??」
「俺っすよ、俺。潮田です。営業部の。今はジュリアって名前です」
「いや、美少女やないかい!」
少女の言っていることに思わずツッコミを入れてしまった。
「部長だって今はそうじゃないっすか......」
あっ、確かにそうだ。
「君っ!!本当に潮田くんなのかっ!!?」
「だから、そう言ってるじゃないっすか。あと、ジュリアですっ」と少女は呆れ顔だ。
「なんで、潮田くんまでこんな所にいるんだ!会社は!仕事は!昨日言った資料はまとめたのか!?」
――ジュリアです。
「そんなこと言ってもこの世界にいたら無理じゃないっすか。部長も一緒ですよ。川に落とされたんでしょ?」
――――そうだ、俺はフードの男に急に橋から落とされてこっちに来た。これからはこの世界で生きていくのか......美少女として。しかもめちゃくちゃ強い。
凍次郎はニヤニヤしていた......
それを見た潮田は引いている......
「でも、君が潮田くんっていうのがまだ信じられん。
何か、俺について知っていることはあるか?」
――ジュリアです!
えぇっと、と考える潮田。「太陽フーズの営業部の部長で、いつも怒ってて、ガミガミうるさくて、娘さんが反抗期で――――」
あぁ、もうわかった。かわった。と止めようとした時、会心の一撃を喰らう。
「バツ1ッ!!」
「ちげぇよっ!!」
ついいつもの癖でツッコミがでてしまった......
本当に潮田くんなのか......この美少女が!?
――――なんだ、このロングヘアにクリクリした目。髪は赤と紫のメッシュなのか.....珍しっ!黒い服にスカート、袖はフリフリしてて、小悪魔メイドか!?可愛いなっ!
手には細長く白い剣を持ち、鍔と剣身が縄の様なもので縛られている。
俺はジュリアを舐めまわす様に見た。
「そんな見ないでくださいっ」ジュリアは苦い顔をしている。
「ところで、部長はこっちでの自分の名前は知ってますか?」
「名前?俺は近藤凍次郎だけど?」
「違くて、その見た目と声で凍次郎はおかしいでしょ。俺もこっちでは、潮田じゃなくてジュリアって名前なんっすから」
――――確かに、この見た目で凍次郎はおかしい。
「知らない」
「部長は、アシュリー。『アシュリー・カナナリア』です」
「それで、俺はこの世界でなにをしたら良いんだ?」
アシュリーの疑問に、じゃあ話しますね。とジュリアは倒れた魔王の上に座り込み語り出した。
ジュリアの話によれば、この世界は『ミラガイア王国』。王国軍には『ミラタージュ』という聖剣士がいて、1000年間魔王軍と戦っているらしい。
この世界を平和にするには魔王軍のボス『閻魔大王』を倒す必要があるという。
「それで、魔王城はどこにあるんだ?」
「『トスカル』という街の近くにあります」
さらにジュリアは話を続ける。
聖剣士は王家の血を引き、特殊能力を代々受け継いでいる者達。水、木、土、風、光、の属性があるという。
アシュリーは水属性らしい。アシュリーのお母さんが氷らしいが、アシュリーがお父さんの水を受け継いだので氷はもう母親だけなのだとか......
――――水属性か......って俺、王家の血を引く少女様に転生してしまったのか!?めちゃくちゃ重要人物じゃん!こんなおっさんに任せて大丈夫かよ。
良く聞くととんでもないことを知らされている。
「あっ。あと、その見た目と声でその話し方、変えてください。部長にしか思えないんで......」
「私もこっちに来てからは、美少女らしく、聖剣士らしく振る舞っているんですから」
きゃぴっと少女らしくピースをしたジュリア。
――――これが、潮田くんかっ!!どうも信じられん......
魔王討伐数ー10体
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
初投稿作品になりますが毎日投稿を頑張りますので、
続きが気になる方、バトル系・異世界系がお好きな方はぜひ明日の投稿をお楽しみに!