第11話『親子の絆って良いものですね』
『岩化大装』
リックスは大剣に周囲の岩を纏わせる。最初から本気だ。
ガギィン――――
リックスが振る大剣と大王の鋭い爪が交わるが、
あまりの勢いに大剣は弾かれる。
これでは体力を消耗していくだけだ。
それに、アシュリーが気になって集中できない。
リックスはついに、不意を突かれ壁に叩き付けられる。
――――このままじゃ、私もパパもやられちゃう。 ママもいないのに、パパまでいなくなったら......
根性で立ち上がり、涙がこぼれ落ちるリックスは覚悟を決める。
「おい魔王!よく聞け!俺は貴様を倒すまでここから逃げねぇ。アシュリーは俺が守る!親子の絆は切っても切れねぇから!そういうもんだから!もう家族が消えるのは嫌なんだよ!!」
グアアアアァァァァァ――――
それに応えるように大王は叫ぶ。
『岩化大装』
再び剣に岩を纏わせたリックスは、先程よりも大きく頑丈な大剣を作り、大王の右腕に斬りかかる。だが、先程とは変わらず弾かれる。
何度も、何度も斬りかかっていると、一撃が腕に深く刺さる。――――しめたっ。
リックスはこのチャンスを狙っていた。
腕に刺さった大剣を踏み台にして、大王の顔まで飛び上がる。
『岩化龍撃拳』
岩を纏った拳を龍のように素早く力強く、大王の顔面に撃つ。
一撃を喰らった大王はよろけ壁にもたれる。
リックスは大王の腕に刺さった大剣を抜くと、勢いよく大きく振り上げた。
『鉄爪上烈』
大王の胴体に深い傷を負わせる。
ガアアァァァァァ――――
大王の様子が変化していく。全身の毛は黒く、目は赤くなり、黒く禍々しいオーラを放つ。
それに合わせて周りにいた魔王達も変化する。
大王はその場に座り込み、代わりに周囲の魔王達が攻めてきた。
今まで戦ってきた魔王達とは明らかにレベルが違う。スピード、パワーともに数十倍は増しているだろう。
魔王達の攻撃を避けきれず滅多撃ちにされたリックスは、その場に倒れ込んだ。
リックスは意識が薄れゆく中、アシュリーの手を握ろうとする。
――――――――
「ねぇ。ママ、もう行っちゃうの?一緒にご飯食べようよ」
女の子がパジャマ姿で聞く。幼少期の美亜だ。
「ごめんね。今日もお仕事だからまた今度ね。あ、そうだ、明日はパパと遊園地に行こうか!」
「え!?遊園地ぃ!?ヤッター!絶対だよ!!」
スーツ姿の母親、冬美は喜ぶ美亜と指切りをする。
冬美は真剣な顔に切り替えて話す。
「ねぇ。美亜はパパのこと好き?」
「うん。大好き!」
「ママがパパと結婚したのは、パパを守ってあげたいからなんだ。おっちょこちょいで、何もできなくて、でもそれが面白くて、そんな所がママは好き。だから、ママがいない所でも美亜がパパを守ってあげてね。あなたがパパを守るお姫様よ」
冬美は美亜の頬を撫でる。
美亜はポカンとしている。幼少期の美亜にはまだ理解できなかった。
「ふあぁ。もう行くのか?まだ6時だぞ?」
美亜の後ろからパジャマ姿の凍次郎が来た。
「うん。会議の準備しなくちゃ行けないから......あなた、美亜の送り迎えお願いね」
わかったよ。と少し面倒くさそうに返事を返す。
「いってらっしゃ〜い」美亜は元気よく見送った。
「ねぇ。パパ、ママいなくなっちゃうの?」
「ん?何言ってんだ?仕事行っただけだよ。俺も後で行くけど夜には帰ってくるから」凍次郎は頭を掻きながら答えた。
母親を見送った2人はいつもと変わらない朝食の時間を過ごした。
だがその日以降、母親が帰ってくることは無かった。
魔王討伐数ー0体
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
初投稿作品になりますが毎日投稿を頑張りますので、
続きが気になる方、バトル系・異世界系がお好きな方はぜひ明日の投稿をお楽しみに!




