ゲームと現実の違い
がんばります!
「私の名前はアリスです。この国の第一王女をしております」
第一王女だと!?しかも同い年?そんなキャラクターはゲームでは一人もいなかったぞ?しかもゲームでは王族キャラは自分が2年生になってからでないと入学してこず、スカウトもできなかったはず。スカウトできてもそれは第二王女という設定のキャラクターだった。
どういうことだ?なぜ第一王女がここにいるんだ?
「あの?どうかなされましたか?」
「え?あ、いや、何でもない。王女様と聞いて少し驚いただけだ」
「いえいえ、そんな。私は出来損ないですから緊張することはないですよ」
俺の発言に王女様がうつむきながら答えてくれた
「出来損ない?どういうことだ?」
「私はお兄様や妹のように優れている訳ではなく、平凡すぎるのです。そのため使用人からはぞんざいに扱われる始末です。こうして馬車もなく旅をしているのが証拠でしょうか?」
「だがしかし、家族と一部の使用人は違ったのだろう?」
「え?」
俺がそう聞き返すと彼女は驚いたようにこちらを向いた
「そこにいるメイドはお前を守ろうと身を挺していた。その装備も十分なものが与えられているようだし家族はお前のことが大好きみたいだな」
「あ、ありがとうございます…」
そのままうつむき少しの時間がたち、彼女は顔を上げた。その顔に先ほどまでの暗い感じはない
「さ、早く行こうかこのあたりでぐずぐずしているとまたモンスターが来るかもしれないしな」
そうして俺たちは道まで戻ったのであった
道に戻りすぐに寝泊りの準備をして、遅めのご飯にすることにした
「すまんな、王女様に食べさせれるようなものじゃないが今日はこれで勘弁してくれ」
「い、いえいえ!助けていただいた上にご飯まで用意してくださるなんて感謝してもしきれません!」
「メイドさんもいいか?」
「はい、ありがとうございます」
「あ、あと、私たちのことは名前で呼んでください!」
「いいのか?」
「はい!私はアリスと」
「私はシズとお呼びください」
「じゃあ俺も好きなように呼んでくれアリス、シズ」
「「はい!」」
そのまま食事を始めて二人にいろいろなことを聞いていった
「二人も学園に向かっているんだよな?」
「はい、今年で16歳になりますから学園に入学すますが…『も』?」
「ああ、俺も今年から学園に入るから二人とは同級生になるな」
「「え、えええ!?」」
「? どうした?」
「カゲトラ様はまだジョブに就いてらっしゃらないのですか?私はてっきりもうジョブに就いて帰省から帰っている学生だと思っておりましたわ」
「私もです」
「なんでだ?」
「だってあんなに勇敢に、勇ましくモンスターに挑んでいってらっしゃったので、てっきり」
「はははwww目の前で女の子が襲われてるのにジョブなんて関係ない。見捨てるなんてことできないさ」
「「///」」
「ところで二人は就きたいジョブなんかあるのか?」
「え、あ、え~と私は王族なので支援することのできるジョブがいいなと思っておりますが本当は『聖女』になりたいと思っておりますの」
「私はアリス様をお守りできるように『近衛騎士』や『聖騎士』のようなジョブをめざしております」
「ん?『聖女』になりたいのならばなる条件を教えてやってもいいし、騎士系統の最高のジョブに就けばいいじゃないか。わざわざそんな弱いジョブを取らなくても大丈夫だぞ?二人とも装備がいいし、案外すぐになれるぞ?」
「「え?」」
「ん?どうした?」
「い、いえ…私は才能が有りませんから『聖女』なんておこがましいですよ」
「才能?そんなのいらん。条件さえ満たせばいいんだ。アリスは王女だろう?」
「は、はい」
「なら①クリアだな次、神に祈ったことはあるか?」
「はい、教会で何度か…」
「②クリアだな。次、タリスマンかロザリオは持っているか?」
「はい、ここに」
そう言ってロザリオを見せてくれた
見せてくれたのは『祈りのロザリオ』だった。聖職者系統のジョブでとても役に立つ装備だ
「よし、③クリアだな。あとは3日以上いっそな生活を続けるのと、ジョブに就いてなかったら大丈夫だ」
「あ、でしたら、私、一時期お父様が外国に行っている時に質素な生活が5日間続いたことがあります!」
「おお!なら大丈夫だな!お前なら完全職の『聖女』になれるぞ!」
「え?ほ、本当ですの?王家の中でも選ばれた女性にしかなれないといわれている『聖女』になれるんですの?」
「おう!俺を信じろ!大丈夫だ!次はシズのほうだな」
「私は何にされるんですか?」
「大丈夫だ。シズには『騎士姫』になってもらうだけだからな」
「へ?」
「シズ、馬には乗れるな?ドレスアーマーは持ってるし、ジョブにも就いてないだろう?剣は振ったことはあるか?」
「しょ、少々お待ちください。理解が追い付いてませんので……ふぅ、申し訳ありません。それで質問のほうなのですが、馬には乗れますし剣も振ったことがあります。」
「よし、最後にさっき襲われたときに死の覚悟をしたか?」
「…はい」
「よろしい、シズも完全職になれるな」
うんうん、二人ともとてもいい人材だな
「なあ、二人とも、俺と組んでダンジョンを攻略しないか?」
「「へ?」」
「二人ともとてもいいジョブに就いてくれるし俺としても二人がいてくれたほうが助かるんだが?」
「ま、待ってください!」
アリスが大きな声を出して止めに入ってきた
「どうした?嫌か?」
「違います!一緒なのはむしろ…ってそうじゃなくてなぜあなたは国でも知らないことを知っていらっしゃるのですか?」
「ん?秘密、安心しろ。これからもっとお前らの常識をぶっ壊してやるからな」
「はぁ~」
「アリス様、諦めたほうがいいかと。この方はすごい方と認識したほうがとても楽です」
「それもそうね」
「そうだぞ、さ!今日はもう遅い。お前たちは寝なさい。俺が見張りをしておいてやるからな」
「「ありがとうございます」」
そうして二人は眠りについた
「第一王女…か」
多分ゲームではあのときに死んでいて妹の第二王女しかスカウトできなかったんだろうな。回避するためのクエストなんてなかったんだろうしこれはリアルになって面白いことだらけだな
さて、今日を乗り切れば俺も完全職になれるしここは頑張りどころだな
楽しんでね