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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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繋がり

 講義の終わりの鐘が鳴ると、ユリア達はいつもの小教室に集まった。資料は十分揃えてたので意見を出し合うことにする。


「土魔法士が如何に領地に貢献できるかだよね…。今まで習った事といえば、果樹の栽培、石の加工、根菜の育成だけど…」

 パトリックはうーんと唸った。土魔法士の仕事内容はマックスの父親だって知っている事なので、改めて教科書通りのことを並べても説得はできそうにない。テトはもっと具体的に魔法士が貢献しているかを書くべきだといった。


「この課題ってさ、どこの領地っては書かれてないから自由だよな?」

 マックスが課題文を指さす。ユリア達は確かにそうだと頷き、オーレン家と公爵家どちらにも利のある貢献方法を探そうという結論に至った。


「オーレン様、ご実家では何に最も力を注ぎ込んでいらっしゃいますか?」

 ユリアはマックスに領地のことについて尋ねる。


「俺の家は西の国との貿易業だな。主に衣服の輸出入を行ってる。そこまで農業には力入れていないし、魔法石の加工場も少ないぞ…」

 マックスは土魔法士が役に立つ機会は領地では無いかもしれない…と呟いた。


「なるほど…。貿易業ですか…うーん」

 ユリア達は暫く思いつく事をとにかく言いあった。黒板いっぱいに意見を書いては見たが、これだという意見がなく、時間がきてしまった。


「続きは明日にしよう」

 マックスは少し落ち込み気味にテト達と帰っていく。


「ユリア、悪いけど私コノノ先生に用がありますの。先に帰っていて」

 リリアンヌはそういうと職員室に向かっていった。ユリアはまだ調べ物をしようと思い、図書室に向かった。図書室にはいつもの上級生達とリゲルがいた。



 リゲルは帝国地図を読み込んでいるようで、新聞紙ほどの大きさの本を広げていた。艶やかな黒髪は目を覆うほど伸びていて、字が読みづらくないのかとユリアは少し思う。ユリアはリゲルを観察していると、そうだ図書館の推薦について教えようと思い声をかけた。


「こんばんは」

 ユリアがリゲルの正面から挨拶をすると、リゲルは軽くユリアを見て地図に目を戻す。いつも通りの反応であるのでユリアは特に不快にはならなかった。



「リゲルさん、公爵家の図書館の利用について知っていますか?」

 リゲルは図書館という言葉を聞くと片眉を少し動かした。そして、ユリアの方を見上げいつもの無表情で見つめる。


「図書館の利用には推薦書が必要らしいです。司書さんからと先生方4人以上の推薦を貰えば、公爵家の図書館に好きに出入りできるそうです」

 ユリアは司書から教えてもらった話をそのまま伝えた。リゲルは静かに話を聞くと、直ぐに司書のもとに向かっていった。


 リゲルは司書と暫く話していたが、ユリアの元に戻ってきた。手にはユリアが貰った薄紫の書類を持っている。



「教えてくれて、感謝する」

 リゲルはユリアにそういうと軽く頭を下げた。



「リゲルさんも読書家だから、図書館を利用したいだろうなと思ったのです」

 ユリアはリゲルがほんの少し嬉しそうにしているのを見て、安心した。無駄なお節介だろうかと少し考えたからだ。

 

 ユリアはリゲルと分かれて目的の本を探し始める。リゲルは直ぐに推薦書を全て集めそうだなとユリアは本の表紙を眺めていきながら思った。リゲルは基本的に不得意な科目は無いとクルトは言っていたし、経済学も歴史学も高評価を獲得している。リゲルはユリアから見ても本の虫だから、絶対に獲得してほしいなとユリアは思った。

 目的の本は本棚の上の方にあった。ユリアは精一杯取背を伸ばして取ろうとする。しかし、ほんの少し身長が足りず届かない。


「……これ?」

 リゲルがユリアの後ろから本を取った。リゲルはユリアに覆い被さるような体勢になっていたため、ユリアは少しドギマギする。


「あっ、ありがとうございます…」

 ユリアは俯いてお礼を伝えた。まだ心臓がバクバクしている。普段パトリック達と過ごしているとはいえ、これほど男の子と近距離になったことはないのだ。ユリアは上目遣いでリゲルをおずおずと見ると、燃えるような紅の瞳と目があった。


「……体調が悪いのか?」

 リゲルは顔が真っ赤になったユリアを心配する。リゲルはユリアの頬に触れ、熱があるのかと首を傾げた。ユリアはあまりの緊張で石のように固まってしまい、どうすることもできなかった。


(……リリアンヌ様!こんな時どうしたらいいのですか)

 ユリアは頼れるリリアンヌお姉さんを思い浮かべ、必死にどうするか考えた。


「あっ、あのぉ!本、これです。あ、ありがとうございましたっ」

 ユリアはリゲルから本を受け取るとバッと走って本棚の間から抜け出した。少し離れたところまで行くと、立ち止まって振り返る。リゲルは怪訝そうにユリアを見ているようだったので、急いで本を借りて寮に戻った。



(びっくりした…綺麗すぎると緊張する…!)

 ユリアは先程の自分を思い返して、恥ずかしくなりわぁぁと頭を振りながら部屋に入っていくのであった。

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