推薦書集め
「わかりました。直ぐに推薦状の用意をしましょう」
ネクシア先生は無表情でユリアの話を聞き終えると、すぐに薄紫色の紙を取り出した。ユリアは図書館の利用のために、推薦書をもらうお願いをしたのである。ネクシア先生は、推薦書が欲しい理由は特に聞かず、書類を用意してくれた。ユリアに推薦書を渡すと、今後も精進するようにとだけ告げ、仕事に戻っていく。
ユリアはありがとうございます!と大きな声で感謝の気持ちを伝え、ポポラ先生の元に向かった。ポポラ先生もネクシア先生同様、直ぐに推薦書を書いてくれた。図書館の利用を2年で申し出るとは優秀じゃのぉと嬉しそうにサインを書いていく。ポポラ先生に礼を告げ、ボラム先生のもとに向かった。
「推薦書ですかな?ほうほう。ユリアさんなら直ぐにでも用意が出来ますな!少々お待ちを」
ボラム先生はお腹を摩りながら、快く承諾してくれた。図書館の利用によってまた知識の幅が広がって良いことだとボラム先生は笑って、推薦書を渡してくれる。
ユリアは順調に推薦書を貰うことが出来て拍子抜けする。司書さんは推薦書を貰うのは厳しい条件があると言っていたのに…とユリアは考え込んだ。
(よし…!あと一人先生から貰えたら終わりだ)
ユリアは少し悩んで、政治学の先生のもとに向かった。休憩中のコノノ先生に失礼しますと声をかける。コノノ先生は声を聞き、ユリアさんですねと返事をした。ユリアは図書館の利用のための推薦書が欲しいのだという話をすると、コノノ先生はあらまぁと言って、少し考え込んでしまった。
「申し訳ないのだけれど、政治学は大きな試験もまだ行っていないでしょう?ですので、ユリアさんが条件に達しているかの判断が出来ないのです。通常図書館の推薦を貰いに来るのは4年生以上だから、これまでの成績で判断が出来るのだけれど…」
コノノ先生は申し訳ないわねと眉を下げた。ユリアは、こちらこそ申し訳ないですと謝り、どうしようか悩んだ。
期末試験を受けたことがある数学が残っているが、ユリアは正直自信が無い。評価も悪くはなかったが、そこまで良くも無かったのだ。ユリアは駄目素で聞いてみようとペンス先生のもとに向かう。
ペンス先生は忙しそうに分厚い本を巡っては困った顔をしていた。ユリアはお忙しいところ失礼しますと言って、推薦書の説明をした。
「ふむ…図書館利用の推薦書ね。ユリアくんだったね?うーむ」
ペンス先生は分厚い眼鏡を掛け直し、成績表を捲った。ユリアの1年の成績を見ると、少し難しそうな顔をする。
「何人からか推薦書は貰えたかね?」
ユリアは司書さんと3人の講師から既に貰ったと説明した。するとペンス先生は司書から既に貰っているのかと驚きの眼差しでユリアを見る。
「ここだけの話だが、司書から推薦書を貰うのが最も困難なのだ。いくら成績が優秀でも貰えないものなのだよ。…君は正直言うと数学の成績では推薦書をあげることは出来ない。よって、新たに課題を出すことにする。この課題の結果次第で君に推薦書を与えるかの判断をしよう」
ペンス先生はそう言ってユリアに課題を渡した。ユリアは少し緊張しながら課題の確認をする。
「魔法史における数学の重要性」とだけ用紙には書かれていた。ユリアは複雑な数式かとてっきり思っていたので、少し拍子抜けした。
「数式の解き方や公式の成り立ちなどは講義で扱うが、数学の意義は学んでいないだろう?君の思う数学の価値について述べてくれ。それで僕は判断したい」
ユリアはペンス先生にありがとうございますと大きな声で礼を伝える。まさかチャンスをくれるなんて…!とユリアはペンス先生の好意に感謝した。ペンス先生から断られた場合、2年の学期末試験まで待たなければならないと思っていたからだ。
「期限は特に無いから。完成したら持ってきてくれ」
ペンス先生はユリアにそう言うと直ぐに忙しそうに書類に目を通していく。ユリアは深く頭を下げて退出した。
(このチャンスは絶対にものにしなくては…!)
ユリアはメラメラと闘志を燃やすのであった。




