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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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鉄鉱石

 今日のランチは畑の近くでとることになり、ユリア達は敷物を広げた。リリアンヌはユリアの隣に座ると、次の実習が憂鬱だと説明する。どうやらペアでの訓練が始まったようで、大変なようだ。しかし、それよりも頭を悩ませているのは友人達だ。彼女達はユリアと離れて自分たちと一緒にいようと迫ってくるらしい。リリアンヌは放っておいてほしいわとうんざりした表情を浮かべた。


「あれ?エバンス今日は早いね」

 エバンズが林の奥からぴょこりと現れた。大抵実習の時に来るのだが、今日は昼時に余裕があったようだ。リリアンヌは誰ですの?と少し警戒している。エバンズはじっとリリアンヌを見ると、ユリアの隣に座った。


「リリアンヌ様、こちらエバンズさん…えっ、良いのですか?あっはい」

 エバンズとして紹介しようとしたが、エバンズはエルミーと説明するようユリアに囁く。


「改めまして、こちらはエルミー・ビビアンド様です。訳あってローブを着ているのですが…」

 エルミーは顔を見えるように少しだけフードをあげた。リリアンヌは目の前の少女がビビアンドの御令嬢だと分かると勢いよく立ち上がった。


「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。私、リリアンヌ・フィアカートと申しますわ」

 リリアンヌは美しいカーテシーを披露する。エバンズはパトリック達も自分に対して普通に接しているので、気楽にしてと説明した。しかし、リリアンヌは、はいそうですとも言えず、少し緊張気味である。


「エバンズさん、リリアンヌ様はとっても素敵な方なのです!」

 リリアンヌの緊張を解くためにもユリアはリリアンヌの事を紹介する。エバンズは頷いていたが、ユリアがあまりにもリリアンヌを褒めるので嫉妬したのか、ユリアに抱きついた。


「…エバンズ様、ユリアが困っておりますわ」

 リリアンヌはユリアの手を握って、エバンズに離れるようやんわりと言う。しかし、リリアンヌの瞳には強い光が浮かんでいた。


「御令嬢方…もうそろそろ昼休みは終わりますよ」

 困り果てるユリアを見てパトリックが助け舟を出す。リリアンヌはふぅっと息を吐き、湖の方へと向かっていった。エバンズはというと、ユリアをガッチリと包み込んでリリアンヌの姿を見送っている。


「あの…エバンズさん?離れていただけるでしょうか?」

 ユリアはおずおずとエバンズにお願いをする。エバンズは残念そうに離れると、私もユリアに褒められたいと拗ねている。エバンズさんも素敵な方ですよ!とユリアはアンバーの瞳を細めて笑うと、エバンズは嬉しそうにユリアを抱きしめた。


「はぁ…そこイチャイチャしないで早く実習の準備するぞ。ユリアは着替えるんだろう?小屋を使ったらどうだ?」

 マックスはジトっとした目で2人を見て言った。


「マックス殿、ガールズトークの邪魔はだめでございますぞ!」

 テトはマックスの前に立ちぴょんぴょんと跳ねる。マックスは煩いと言って、テトの頭をぐりぐりした。




「林檎の木の様子はどうじゃ?」

 実習が始まり、先生が林檎の木を観察する。加護の力のおかげでユリアの木はかなり背丈は伸びた。まだ幹は太くないが、葉も大きくなった気がする。パトリック達はぼちぼちという感じであった。そこまで成長をしていないが、葉は少し大きくなっているようだ。


「まぁ、気長にじゃの。今日も採掘練習じゃからなぁ。今日取り出す石は、鉄鉱石じゃから慎重にするじゃぞ〜練習だからとはいえ、役に立つ石を無駄にはしとうないからのぉ」

 ポポラ先生の言葉にユリア達はギョッとする。前回までは丸石を取り出す練習だったのに急に鉄鉱石なんて…ポポラ先生は割れても使えるからそこまで気張るなとユリア達の強ばった表情を見て、笑い飛ばした。


 ユリアが渡された石は最も大きな塊であった。ハンマーでまず大まかに割ってみると、さっそく鉄鉱石が一つ表面に出てきた。ユリアは慎重にタガネで周りを削っていく。石目もなんとなく分かるようになり、失敗せずに一つ目を取り除くことが出来た。まだあるかとハンマーで割ってみると、二つ表面に出てくる。集中力を欠くことなく、ユリアは二つ目も挑戦する。

 実習が終わる頃には、なんとか全て取り出すことが出来た。思っていた以上に緊張していたのか作業が終わると肩の力が抜けた。ユリアは取り出した鉄鉱石を眺め、微笑む。どれも割ることなく取り出せたのでユリアは大満足だった。

 パトリックとマックスもどうにか割らずに取り出せたようだ。テトは特に様々な大きさの鉄鉱石が含まれていたようだが、どれも完璧に取り出せていたのでポポラ先生が褒めていた。


「中々良い出来じゃったのぉ。来週の実習では採掘場にいくからのぉ。午前中の講義の申請だしたかのぉ?うむうむ。取っておるな、では解散じゃ」

 


「来週ですかぁ。楽しみですな!わくわくしてきましたぞ」

 テトはパトリックとテトの手を取るとぶんぶんと振り回した。パトリックは楽しみだねと笑っていたが、マックスはやめてくれとテトを睨みつけた。

 ユリアはエバンズに今日の出来を褒めてもらった。エバンズは途中湖の方に偵察に行っていたが、最後の方にユリアの様子を見にきたのだ。ユリアの鉄鉱石をみると、エバンズは小さく拍手してくれた。

 来週の実習は初めての校外学習だ。ユリアは採掘場なんて初めて行くので、どんな場所か事前に図書室で調べる予定だ。鉱物を採掘なんて初めからできないと思うが、まずは楽しもうと意気込んでいた。

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