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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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新たなメンバー

 ユリア達は2年生になった。科目も政治学、応用数学の2つが増え、講義の終わる時間も遅くなった。1年生の時より忙しくなったことや、学期末の評価を受けたことで候補生達は全体的に、少し勉学に励むようになっている。いつも騒がしいベリムス達もほんの気持ちだけ大人しくなったようだ。相変わらずリゲルとクルトなど平民には当たりが強いが。

 新入生達には残念ながら、平民はいないようだ。しかし今年は領地からかなり離れた地域から来た者も多いようで、それだけ公爵家の教育が評価されているとパトリックは推察した。ユリア達はいつも通り、一緒に勉学に励み楽しく過ごしているが、一つ変わったことがある。それはリリアンヌも仲間に増えたということだ。リリアンヌは友人に意見して以来、女の子達に距離を取られている。そこでユリアが一緒に勉学しないかと誘ったところ、渋々隣の席に座るようになった。リリアンヌは内心嬉しくて堪らなかったが、素直に気持ちを伝えることが出来ず、悶々としていた。

 パトリック達はリリアンヌの加入に特に何も言わなかった。マックスは少し訝し気にしていたが、ユリアが嬉しそうに話しかけるのを見ると、いつも通りの態度になった。テトはリリアンヌの綺麗な猫目を見て、猫さんみたいだと褒め称えたのだが、本人は自分のコンプレックスが褒められるとは思わなかったようで、照れ隠しで無視をした。


「リリアンヌ様、次は応用数学ですね。私、数学はあまり得意ではないのですが、リリアンヌ様はどうですか?」

 ユリアはリリアンヌと呼ぶように言われたのが、嬉しくて思わず何回も呼んでしまう。リリアンヌも喜んでいるのだが、照れ隠しで顔を逸らしてしまう。


「わたくしは、あまり数学は得意ではありませんの。応用数学は頭が痛い科目ですわ…」

 リリアンヌは数学でも辛いのにと少し溜息をつく。応用数学は教科書も分厚さが倍で、授業の展開も早く皆追いつくのに必死だった。唯一テトだけは涼しい顔をしてふむふむと先生の言う事に納得をしている。


「ユリア、あなたクマがひどいですわね。少し勉強しすぎではないの。夜更かしは美容に悪くてよ」

 リリアンヌはツンと横を向いた。ユリアはそっと目の下を触る。確かに最近科目が増えたせいで、復習する時間も伸びた。今日は早めに寝ようかなとユリアは呟く。


「お嬢さん達、お喋りもいいけど、授業始まってしまうよ」

 パトリックが苦笑いしながら、講師が来た事を伝えた。リリアンヌはしゅんとして教科書を開く。


(リリアンヌ様、ルワン様に話しかけられて大人しくなってる。やっぱり好きな人の前だと女の子だ…!)


 ユリアはリリアンヌが可愛くて、思わずにやにやしてしまう。リリアンヌはユリアをチラリと見ると、なんですの!と小声で文句を言ってきた。


 リリアンヌとパトリックの仲がこれから良くなればいいなとユリアは密かに思った。


 午前中の講義が終わり、ランチに行く。リリアンヌが参加するようになってから、まだ畑でのランチは行われていない。しかし、今日は午後の水属性の実習は湖の近くであるそうなので、リリアンヌは着替えてから畑に行くと言った。


「では、リリアンヌ様!畑で待っております!」

 ユリアはリリアンヌに手を振り、男子寮にパトリック達と食事を取りに行くことにした。男子寮の食堂は今日は少なかった。天気がいいのでカフェに皆行っているのだろう。ユリア達が列に並んでいると、後ろに並ぶ新入生の会話が耳に入った。


「ほんと俺ら最悪だよな…土属性だなんて。まだみどり属性の方がマシだったわ…もう恥ずかしくて他の人達に話しかけれないわ」

 どうやら土属性の子達のようだ。皆暗い顔をして、ぶつぶつ文句を言っている。


「なんですとっ…むぐぐっ」

 テトが思わず新入生に物申そうとすると、マックスが口を押さえた。やめとけと目で訴えて、前を向かせる。


「新入生もポポラ先生の講義楽しめるようになればいいですね…」

 ユリアは小声で新入生達の話をする。パトリックは、貴族では一般的な反応だから仕方ないとテトを宥める。テトは土属性は凄いんですぞ…ともごもご言うが、マックスが大きな声を出すのは許さなかった。



 テトを落ち着かせ、湖に向かうとリリアンヌが1人で待っている。アイベルはいつも食事の際はリリアンヌの側にいるのだが、今日はそうではないようだ。リリアンヌはユリアから敷物を受け取ると広げて座った。ユリアは机や椅子が無いと食べれないというかもと思っていたが、そうでもないようだ。マックス達も意外そうにリリアンヌを見ていたので、リリアンヌは顔を赤らめながら、アイベルからの助言だと説明する。


「平民のピクニックは地面に座って行うと聞いたもの。わたくしだって、やればできるのよ!」

 ツンとそっぽを向くが耳がほんのり赤い。ユリアはリリアンヌに思わず抱きつき、ありがとうございますと感謝した。


 畑でのランチは問題なさそうだ。ユリア達はいつも通り、おしゃべりをしながら食事をする。リリアンヌは主に話を聴く側なのだが今日は気分も良いようで、積極的に会話に参加した。

 パトリック達もリリアンヌが案外普通に話せる子だと分かったようで、ユリアと同じように話を振る。リリアンヌは隣で屈託なく笑うユリアを見て、自分は初めて会った時からこの子に憧れていたんだと振り返った。せっかく仲良くなれた今、ユリアを大切にしようと誓うリリアンヌであった。

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