表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
73/106

男達の目的

「エバンズさんから手を離してください!」


 ユリアはエバンズを男達から引き剥がし、守るように手を広げて立った。パトリック達も急いで駆け寄ってくる。


「誰ですか、貴方たちは!」

 男たちは少し困惑するも、エバンズに手を伸ばそうとする。


「エバンズ殿!ご無事でございますか」

 テトもユリアの横に立ち手を広げた。


「おい、ユリア!テト!一旦話を聞いたほうが…」

 マックスが男たちを見て2人を宥めようとするが、ユリアとテトはエバンズの危機に対応しようと必死で、聞こえていないようだ。


「エバンズさんに何の御用ですか!この方は私たちの友人です」

 ユリアは少し震えながら男たちを睨みつける。


 エバンズはというと焦り気味にユリア達と男たちを交互に見ている。そして迷った結果、ユリアをそっと引っ張った。


「エバンズさん、安心してください!私たちがいます。もう帰りましょう」

 ユリアはエバンズを少しでも安心させるために手を握った。


「申し訳ないのですが、そのお方に私達は用事があるのです。お話をさせてもらえませんか?」

 男の1人がユリアに目線を合わせるために屈んで話しかけてくる。髭を蓄えた屈強な男だ。力も見た目からして強そうなので、ユリアは逃げる算段を頭の中で必死に捻り出す。


「ユリア、テト一旦落ち着け。この人達の話を聞いた方が良さそうだぞ」

 マックスは非常に冷静に状況を判断する。


 しかし、ユリアとテトは話を聞かず、じっと男達を睨みつけた。



「ごめんなさい!」


 状況が変わらないと判断したエバンズがとうとう声を上げた。パトリック達はエバンズが喋ったことに驚き、エバンズを見る。


「皆さんに謝らなければなりません。この人達は人攫いでも、悪人でもありません」


 そう大きな声で言うと、フードを外した。ユリアは思わず振り返って、エルミー様どうしてと呟く。


「その者たちはわたくしの護衛です。ユリア、ごめんなさい。お父様に伝えて、護衛をつけてもらったのは嘘なの…お父様には話す機会が無くて、脱走してきちゃったの…それでこの者達が急遽連れ戻すために街に来ていて…」

 サファイアブルーの瞳を伏せて、エルミーはごめんなさいと再びユリアに言った。ユリアは驚いて思わず護衛達を見ると、そうなんですと男達は大きく頷く。


 パトリックとマックスは、エバンズの正体に口をあんぐりと開けていた。まさか一緒に過ごしていたのが、ビビアンド家のお嬢様だなんて!マックスはエバンズと呼び捨てにしていたことや、今までの馴れ馴れしい態度を振り返り青い顔をしている。一方テトはというと、誰かわからないようでイマイチ状況を掴めていなかった。


「みなさん、ご迷惑おかけして御免なさい。改めて、わたくしエルミー・ビビアンドと申します。エバンズとして皆さんと過ごせて楽しかったですわ…ユリア、私は帰らなければなりません…。皆さんご迷惑おかけして、申し訳ないわ…」

 エルミーはしょんぼりとして、護衛に連れられ馬車に乗り込む。ユリアはエルミーが公爵に怒られないか心配であった。まさか嘘をついて遊びに来ていたとは…エルミーの悲しそうな顔を思い出し、ユリアも少し落ち込んだ。


 エバンズ、いやエルミーが帰った後、パトリック達は押し黙っていた。マックスはぼんやりとして、今のは夢かと呟いている。


「ユリアさん、エバンズさんがビビアンド様って知ってたの?」

 パトリックの言葉にユリアは気不味そうに首を縦に振る。ユリアも申し訳ないと謝ると、仕方ないよねと苦笑いされた。


「ビビアンド様って意外と破天荒なんだな」

 マックスはようやく現実を受け入れられたのか、しみじみと感想を述べる。御令嬢が屋敷から脱走して、街を遊び歩いていたのだ。なかなか肝が据わっていないと出来ないことである。


「エルミー様は、エバンズとして皆んなに気軽に接してもらう事を非常に喜んでおられました。だから今日も誕生祭にどうしても来たかったのだと…」

 ユリアは必死にエルミー様の気持ちを伝える。パトリック達も戸惑ってはいたが、そうだったのかと頷き、怒りはしなかった。


「てっきりポポラ先生のお孫さんだと思ってたからね、びっくりだよ」

 パトリックは苦笑いをして、エバンズを思い出す。


「そうだよ。男だと思ってたからさ…って!俺やばい。御令嬢の手を勝手に握ってしまった…!?」

 わぁぁとマックスが頭を抱えて、再び顔を青くする。ユリアはエルミー様はお優しいので、大丈夫ですよと必死に宥める。テトはというと高貴な人だというのは理解できたようで、エバンズ殿って凄い方!?と呟いていた。


「とりあえず、エバンズさん、いやビビアンド様も帰られたから、僕達も早めに帰ろうか?」

 パトリックはエバンズ行きでこれから遊ぶのは抵抗があると言い提案する。ユリア達も勿論だと同意し、馬車に向かった。


「エバンズさんとしての脱走が公爵様に話が通るとなれば…もう会えないかもしれませんね」

 ポツリとユリアが呟いた。パトリック達もそうかもしれないな…と悲しげに同意する。


 これまではお嬢様の脱走が成功があって、ユリア達と会えたのであって、今後はかなり厳しいだろう。またエルミー様にお会いして、話したい。ユリアは街並みを眺めながら切に願った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ