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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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テトの感動

なんだか食べ物回が多いですよね。申し訳ないのですが、年越しも食べ物回を予定しています…!

「エバンズさん、卵の割り方分かりますか?」

 

 ユリアとエバンズはテトの誕生日ケーキを製作中だ。今回も食堂のおばさんに監修してもらう。おばさんは美味しいカボチャを仕入れたので、カボチャケーキを作ってはどうかと提案した。エバンズはカボチャケーキは知らないというので、是非作りたいと言った。平民では一般的なケーキなので、テトも好きだろうと考えユリアも賛成する。

 カボチャは蒸して、卵と砂糖、溶かしバターと混ぜていく。カボチャが甘いので砂糖は少なめにとおばさんは言った。エバンズはマッシャーで一生懸命潰して混ぜた。それらがなめらかになると、生クリーム、牛乳を入れる。ユリアはエバンズに卵の割り方を教え、溶き卵も加えていった。おばさんはしっかり混ぜるようにとエバンズとユリアに教えてくれた。そして薄力粉をふるいながら、粉っぽさが無くなるまで、ゆっくりかき混ぜていく。そして、バターを薄めに塗った型にそっと流し込み、オーブンで45分焼いていった。

 焼いている間、ユリアはホイップクリームを作る事にした。カボチャケーキが甘めなので、クリームは甘さ控えめにしていく。エバンズが混ぜたいと言うので任せてみた。中々力がいるので、エバンズは苦戦している。

 そうこうしているとケーキが焼けた。おばさんは綺麗にできたわねと焼き目を確認して、頷いた。これはテトも喜んでくれるとエバンズと2人で喜ぶ。





 ケーキも完成したので、待ち合わせの小教室にユリアとエバンズは向かった。教室には既にクルトとリゲル、マックスも居る。3人は飾り付けをしてくれていたようだ。黒板には、テト誕生日おめでとうと綺麗な文字で書かれている。きっとマックスの字だとユリアは思った。マックスの字は、大人びていてバランスが非常に美しいと、いつもユリアは思っていた。テーブルクロスが敷かれた机には、誕生を祝う林檎や林檎の形をした紙飾りが置いてある。中央には蝋燭が置かれ、人数分の食器と綺麗に飾られたペーパーナプキンが用意されていた。テーブルセッティングまでしてくれるなんてとユリアは、部屋を眺めて驚いた。クルトがテーブルセッティングを、リゲルがナプキンでツリーの形を作ったのだと自慢げに説明した。2人ともセンスがあるなぁとマックスは感心している。ユリアはマックスも字がお洒落で素敵ですと伝えると、マックスは少し照れ臭そうにしていた。

 ユリアとエバンズはケーキを硝子のケーキスタンドに乗せ、テーブルの中央にそっと置いた。マックス達は美味しそうだとユリア達を褒めてくれる。クルトが時計を見ると、そろそろだと扉の方を向いた。

 しばらくするとパトリックがテトを連れてやってきた。パトリックはテトが先に入るように促した。テトは単に皆といつものようにお喋りをするのだと思って、パトリックの行動にキョトンとしている。


「テト、誕生日おめでとう!」

 テトが部屋に入ると、みんなは大きな声で出迎えた。テトは直ぐには理解できていなかったようで、はぬ!?とあたふたしていた。


「テト、今日で8歳だろう?」

 クルトの言葉にテトはようやく気づいた。


「わ、わたくしの誕生日パーティー!?」

 テトは教室を見渡し、目を潤ませた。誕生日パーティーをみんなが企画してくれていたなんて…と感極まって泣きそうになっている。


「なんという…わたくし感動しました。もう幸せでございますよ!」

 テトはありがとうございますと一人一人握手していく。まぁ、座れよとテトを中央の席にマックスが案内した。パトリックは何処からかスパークリングアップルを取り出して、グラスに注いでいく。勿論酒ではなく、ただの炭酸リンゴジュースである。その間ユリアはケーキを取り分け、クルトが皆んなに配っていった。勿論主役が1番大きなケーキである。

皆に飲み物とケーキが行き渡ると、パトリックが音頭をとった。


「テトの誕生日を祝って、乾杯!」

「乾杯!」

「僕たちの出会いに、乾杯!」

「乾杯!」

「精霊様の加護に、乾杯!」

「乾杯!」


 乾杯のお決まりは貴族も平民も同じようだ。ユリア達はグラスを合わせ、最初の一杯を飲み干していく。さぁ、テト、ケーキを食べるんだとクルトが促す。テトは大きな口でケーキを頬張った。


「…!なんということ!カボチャの甘みが引き出された魅惑の逸品ですぞ!?素晴らしい!」


「これは私とエバンズで作ったんです。2人からの誕生日プレゼントですよ」

 ユリアとエバンズはテトの喜ぶ顔を見て、やったとハイタッチをした。テトは幸せですぞと2人に握手をして感謝した。


「はい。これ俺とリゲルから」

 クルトはテトにハーブ図鑑大全という分厚い本を渡した。テトはこんな高そうなものを…!?とひどく驚いている。クルトは2人で出し合ったから、大丈夫だと説明した。テトは嬉しそうに本を抱きしめ、ありがとうと2人にハグをした。


「俺からはこれを」

 マックスは綺麗な紙に包まれたハーブだった。テトは北西部のハーブではありませんか!?と目を丸くして、何処で手に入れたかとマックスに詰め寄った。たまたま街で見つけたのだとマックスは説明し、呆れ気味にテトを引き剥がした。


「僕はハーブの保管用の箱を贈るよ」

 パトリックは小瓶が沢山入る仕切りがついた蓋付きの木箱をテトに渡す。テトは乾燥ハーブを瓶に詰めて保存するので、瓶の置き場所に困っていると以前ぼやいていたのだ。テトはありがたやとパトリックを拝んだ。


「なんという幸せ!わたくし、こんなに素敵な友人に恵まれ、言葉も出ませぬ!あぁ、精霊様に感謝を。良き友に祝福を!」

 テトは興奮が冷めないようで、しばらく感謝の言葉を皆んなに伝えた。ユリア達はテトが嬉しそうで良かったと言い合った。しかし、マックスはテトが感動のあまり、空に祈り始めたのを見て、ぷっと吹き出した。それをきっかけにクルト、パトリックも笑い出す。教室には笑いが響き、テトは何で笑うのですぞとポカポカとマックスを叩いている。

 


 ユリアはテトの誕生日が大成功し、良かったとエバンズとこっそり話した。テトの幸せそうな顔を見ながら、ユリアは達成感に包まれたのであった。

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