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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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エバンズの焚き火の会

 次の日早速エバンズはやってきた。テトとクルト、リゲルもユリアに誘われ、畑にやってきていた。クルトとリゲルはエバンズに会うのは初めてなので、テトがポポラ先生のお知り合いの方ですと説明した。ユリアは説明に悩んだので、正直テトが言ってくれてホッとした。

 エルミーがやりたいと言ったのは焼きマシュマロであった。巷で流行っていると叔母さんから聞いたそうだ。しかし、公爵家で出てくるのは既に焼かれたもので、自分で焼くことは出来なかったのだと不満げに説明していた。だから、自分で焼きたいの!とサファイアブルーの目を輝かせてお願いするエルミーを思い出しながら、ユリアは小枝を集める。

 テトとクルトもマシュマロ焼きは食べたことがないそうで、興味津々だった。リゲルはクルトに無理やり連れてこられたのであろう。黙って小枝を集めているも、なんだか眠そうであった。


「ほっほっほ。マシュマロを焼くとは面白い会じゃのぉ〜」

 ポポラ先生は上機嫌で小枝を拾った。エルミーの突然の呼び出しにも関わらず、ポポラ先生は来てくれた。明後日実家に帰るので、丁度暇だったのじゃと言って、マシュマロを串に刺した。

 エバンズは枝拾いから既にルンルンだった。マシュマロを刺す時など、あまりにもご機嫌で、テトはびっくりしていた。エバンズはこれまで感情を出すような事は極力していなかったのだ。ユリアはエルミーだとバレやしないか冷や冷やした。エバンズはユリアの隣に座ると、楽しみねと小声で話しかけてくる。


「エバンズさん、串に刺しすぎですよ」

 ユリアはエバンズの串に6個もマシュマロが刺さっているのを見て、優しく指摘する。エバンズも流石に多すぎると気づき、ユリアの串を見て2個に減らした。


「さぁさぁ、火をつけようかのぉ。ありゃ、黒髪の君。おぬし火属性じゃろ?中々筋が良いとヘモング先生が言っておったような…加護の力は自由に使って良いと言われておるかのぉ?」

 先生の言葉にリゲルは首を横に振った。何もリゲルが言わないので、クルトが僕達まだ許可は貰ってませんと説明した。加護の力は講師の許可が無いとまだ使うことは出来ない。ある程度安定して加護の力を使えるようになれば、自由に使える許可が出るそうだ。

 先生は残念じゃのぉ…とマッチをつけた。先生も噂に聞く火属性の加護を見たかったようだ。火はすぐに大きくなった。乾燥しているからだろうか、いつもより早い。火が丁度いい大きさになると、先生は早速マシュマロを火に近づけた。

 ユリア達も真似してそっと近づける。マシュマロの表面に焼き目がついた。中は蕩けそうなくらい柔らかくなり、今にも落ちそうだ。ユリアは直ぐに口にいれた。


「アッツ!」


 ポポラ先生とユリアが同時に悶える。熱々のマシュマロを口に入れたのだ。しかし、マシュマロの甘みとほんのり焼き目がついて焦げた苦味が混ざり合い、非常に美味しい。ポポラ先生もおぉーと2個目に手を伸ばしている。

 エバンズはと言うと、ユリアの様子を見て熱いと分かったのか、フーフーしている。そしてパクリと食べると、拍手し始めた。ユリアに家で食べたのより格段に美味しいと囁いた。ユリアはエバンズが喜んでいるのを見て、可愛いなぁと眺める。

 テトとクルトはマシュマロ自体初めてだったようで、何だこのふわふわは…と驚いている。焼くととろけるのを知ると、テトはどうしてこうなるのだろうと考え込み始めた。クルトは美味いぞとリゲルに食べるように促す。リゲルは甘いものは得意で無いのか、一個食べると焚き火を眺め始めた。


「やはり焚き火の会は最高じゃのぉ〜今日は寒いから余計にホカホカする。エバンズ誘ってくれて感謝するぞよ」

 ポポラ先生は既に10個は食べたようだ。満足そうにお腹をさすり、エバンズに拍手をと言った。ユリアも楽しい会をありがとうと大きな拍手をする。エバンズは皆んなから拍手をもらって、嬉しそうだ。ぴょんっと跳ねて、お辞儀をした。


 まだまだマシュマロはある。お喋りをしながら、焼き目をつけていく。そこにグレンがやって来た。


「いい匂いがすると思ったら、焼きマシュマロですか!ポポラ先生どうして私に声をかけてくださらないのです。わぁー美味しそうだなぁ。え、エバンズ!?どうしてここに…」

 グレンはエバンズを知っているようだ。少し焦ったようにエバンズとポポラ先生を交互に見た。ポポラ先生は気にするなと笑う。エバンズもグレンにさっと近づくと、何か囁いた。グレンがなるほどと顔をしたので、状況を説明したのであろう。


「私もマシュマロいただいても?」

 グレンはエバンズを心配そうに見たが、考えても仕方ないと思ったのか、マシュマロを焼き始めた。


「あぁ、ところで君達、経済学の発表凄かったじゃないか」

 グレンが講師達の間でも話題になっていたぞと教えてくれる。ポポラ先生は、あのレポートはおぬしらじゃったのか!?と驚いていた。

 クルトがパトリックとマックスもですよとポポラ先生に伝える。ポポラ先生は、土属性組全員が高評価を得たと聞いて喜んだ。


「おぬしら優秀じゃのぉ。しかし、あのレポートは非常に素晴らしかった」

 改めてポポラ先生はユリア達を褒める。グレンも凄いよと拍手してくれる。


 焚き火を囲み、皆んなでマシュマロを食べながら、ユリア達のレポートの発想のきっかけや情報整理が大変だったかを話した。こんなに褒められて皆んな頑張った甲斐があったと互いを労った。エバンズもユリアがすごいと褒められるたびに、嬉しそうだ。


 午後の穏やかな時間がゆるりと流れる。マシュマロはまだまだあるので、焚き火の会はまだ続きそうだ。

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