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アウレリアの乙女達  作者: たぬきしっぽ
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合わさるカケラ

 数学の抜き打ちテストが返却された。ユリア、パトリック、マックスは少し落ち込んでいる。点数が思っていたより悪かったのだ。ユリアは間違えたところを見直していき、溜息をつく。計算ミスなどではなく、考え方が根本的に間違えていたようだ。

 テトはというと流石得意とだけあって、満点に近かった。クラスの皆も結果が芳しくなかったのだろう、返却時はいつも騒がしいのに今日は静かだった。しかし、ベリムスは何やらにやついている。周りの友人に解答用紙を見せては自慢げな表情を浮かべていた。

 ペント先生は抜き打ちテストの解説をしていった。今回は案の定平均点は低かったと告げた。今回のテストをきっかけに自分の足りない部分を補う必要があるので頑張るようにとも先生は言う。ユリアはテトに頼んで一から教えて貰おうと決意した。パトリックとマックスも同じ考えのようで、ユリアがテトにこそっと頼み込むと、自分たちも頼むと言ってきた。テトは役に立てるなら!とやる気満々である。テトの迷惑にならなければいいがと思ったが、嬉しそうなので素直に甘えることにした。


「おいおい、お前らテストどうだったんだ?」

 授業終わりにベリムスが近づいてくる。マックスは思わず舌打ちをした。面倒なやつが来たとあからさまに表情に出している。


「僕たちはあまり良くなかったよ。まあ、テトは満点に近かったけど」

 パトリックがそういうとベリムスはテトを睨みつけた。そしてふん!と鼻を鳴らすと、ユリアを見てお前は?と偉そうに聞いてきた。

 ユリアは黙って解答用紙を見せると、ベリムスはにやにやして馬鹿にし始めた。


「こいつ、俺よりも10点も下だぞ!笑えるな。流石平民だなぁ〜?」


「いや、お前テトより低いからそんな威張ることは出来ないだろ」

 マックスが平民を蔑む発言を連発し始めたので静かに指摘するも、ベリムスは完全に無視した。


「あー面白いな、お前ら経済学の課題も頑張って取り組んでるらしいな。この前は偶々評価されたが、今度はどうだろうな?」

 取り巻き達も馬鹿にしたように笑っている。


「あーだるい。お前ら本当幼稚すぎるぞ」

 マックスが本格的に苛々し始めた。パトリックも冷めた目でベリムス達を見据えている。


 そんな2人の様子にベリムスは余計笑い始めると、取り巻き達を連れて上機嫌で去っていった。



「ベリムス本当ガキだよ」

 クルトは数学の時のベリムスと振る舞いを思い出し、やれやれと肩をすくめた。パトリックもユリアに気にしなくていいと言って、その分数学も経済学も共に頑張ろうと言ってくれた。


「じゃあ、誰から報告していく?」

 クルトがまとめてきた資料をトントンと軽く机で揃えながら皆んなを見渡す。では僕からとパトリックが手を挙げた。


「僕は帝国地図と北部の地形に関する本を読んできたんだけど。北部の森って言うのが思っていたより町や村に面していたわけではなかった。てっきり村全体に森が面しているのかと思ったけど、畑の部分が殆どで住人の家や店などは離れていたよ。ここから推測するに、魔物の被害の殆どは作物荒らしじゃないかと思うんだけど…ユリアさんどう思う?」


 パトリックはユリアに視線を向けた。


「ルワン様の言う通りなんです。北部の森の魔物に関する報告書は作物荒らしばかりです。森の奥に探索に入った人達の怪我などの報告も有りましたが、町や村の人々が怪我をしたなどの報告は1年に数件程度でした」


「じゃあ僕たちは作物荒らし対策をすれば良いってことかな?」

 クルトが図鑑を広げ、作物をよく荒らす魔物のページをみんなに見せた。


「あの、報告書を見て気になったことがあります。私たちは魔物が出ると討伐部隊が対処してくれるって考えていましたよね。しかし、報告書には一般人が対処したっていう記述が非常に多かったんです。もしかしたら畑の管理者自身で対応が出来ているのかもしれません」

 ユリアの言葉にそれは知らなかったとメモを取っていく。しかし、リゲルは本をパラパラと捲ると、一つの章をすっと指差しユリアに向けた。


「北部地域の畑作…?」

 ユリアは声に出して読み上げると、これはどういうことでしょうとリゲルを見つめた。リゲルはページのある一文を指さした。


「北部地域では畑作が盛んであるが、農家の平均年齢は70歳と高齢である。しかし、後継者の育成にもここ数年力を入れているため、今後は後継者問題は解消されるだろうと言う見通しだ」

 マックスはその部分を読み上げると、なるほどなと言った。現在の畑の管理者は老人である為、魔物の討伐を行っていたとは考えにくい。後継者の育成対象者も管理者の孫でまだ幼いようなので違うなと判断する。では誰が討伐していたのだろうとユリアは首を傾げた。


「もしかしたら魔物素材目的の方かもしれませぬな」

 テトが自分の住んでいた町ではよくある話なのですが…と説明を始めた。町で力に自信がある大人達は対処できそうな魔物がでると数人で討伐するのだと言う。魔物の素材は様々な用途で取引がされるのでいいお小遣い稼ぎにもなるし、人助けも出来るので積極的に魔物討伐を行う者は一部いたのだという。


「魔物素材というのも報告書に出てきたのですが、どのくらいの価値があるものなのですか?」

 ユリアは報告書に書かれた魔物素材を見せながら尋ねた。


「んー。ピンからキリまでって感じだな。それに魔物素材を買い取る商人っていうのは意地悪な奴も多いらしい。信頼ある商人に依頼しないと、適正価格で取引がされないと書いてあった。そういう一般人で魔物素材を売ってる人は、ツテがないと真っ当な取引をされるのは厳しいんじゃないか?」

 マックスは魔物素材のはじめてという本を片手に持ちながら、ユリアに答えた。


「うーん。とりあえず、今までの話をまとめると…課題文での魔物は主に畑荒らしレベルと仮定する…そして実際の討伐は一般人が多い…魔物素材の価値…」

 クルトが要点を黒板にまとめた。


「ここから何か考えられるアイデアかぁ…難しいね。あっ!あと思ったんだけど、課題分の資金についての説明って、これも上手く活用するべきなんじゃないかな?」

 クルトは資金は貴族の寄付金とするという一文に印をつけた。


 ユリアは黒板にまとめられた要点と課題文を眺めた。魔物、討伐、一般人、魔物素材、商人、寄付金…ぶつぶつと単語を口に出し、考え込む。




「あの!私一つ思いついたんですが、いいですか!」

 ユリアは急に大きな声を出した。クルトとパトリックは何だいと目を輝かせている。


「これらの要因を鑑みて、提案なのですが…」

 ユリアの意見に皆面白い、これは中々良いかもと賛成してくれる。ユリアの意見をきっかけに、この点はどうするか、必要なコストは…と議論が白熱していく。

 一通りまとまったところで、ユリア達は確信した。これはいい発表になる…!と。

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