気になること
49部再び焚き火 を入れていなかったので、急遽挟み込みました。確認不足で申し訳ないです。
ユリアは実習の講義が終わると急いで寮に戻っていった。ベイクン様はいらっしゃるだろうかとユリアは思った。突然の訪問で申し訳ないなとも考えながら階段を登る。植物が沢山飾ってある扉の前に立つと、ユリアは息を吸ってノックした。どうぞと返事があったので、こんにちはと入っていった。
まぁ!とサリーはユリアを見て嬉しそうに立ち上がった。深緑のソファにユリアを座らせると、お茶を用意してくるわと厨房に向かおうとする。すると、控えていた侍女が私がやりますのでとサリーの前に立ちはだかった。私がやりたいのに…とサリーが口を尖らせるが、お客様を1人で待たせるつもりですかと侍女に怒られている。仕方ないわねと渋々サリーもユリアの反対側のソファに腰掛けた。
「今日はどのような相談かしら?」
サリーが瞳をキラキラさせながらユリアに尋ねた。
「植物について知りたいことがあって、ベイクン様の所に伺いました。お忙しい中、突然訪問してすみません」
サリーはパチンと手を合わせて喜んでいる。しかし、ベイクン様じゃなくてサリー先輩と呼んで欲しいし、全然忙しくなかったのよと言ってくれた。
「それでどんな植物について知りたいの?」
「魔物避けになるような植物はありますでしょうか?ハーブでは虫除けの効果があるものが多いですが、他の植物にもあるかと思って…ハーブだと防虫の為に野菜と一緒に栽培するらしいので、似たようなことが出来ないかと考えているんです」
サリーはうんうんと説明を聞くと、大きな本棚から図鑑を取り出した。そしてパラパラとページをしばらく捲ると、ある植物のイラストをユリアに見せた。その植物は根から葉の先まで全て真っ白で、小さな白い実が実るものだった。
「この植物は魔物避けの効果があるそうなの。でもね、昔、ある時期に突然枯れてしまったそうで、ほとんど残っていないらしいのよ。今残っているのもほんの僅かなんだけど、栽培方法も謎らしいわ。以前と同じ栽培方法で増やそうとしても、うまくいかないらしいのよ。先生が以前そう仰っていたわね…」
サリーの説明にユリアは落ち込んだ。そんなユリアを見たサリーは慰めてくれる。
「現状では魔物避けに使うのは難しいんだけれど、国のみどりの属性の魔法士が必死に研究をしているわ。いつか必ず栽培方法が見つかると思う。私はそう信じているわ!」
サリーは拳にぎゅっと力をを入れた。
「お嬢様。お茶のご用意が出来ました」
侍女が戻ってきた。とぽとぽとお茶をカップに注ぎ、そっと2人の前に置いた。紅茶のいい香りがふわりと漂ってきた。ユリアは一口飲むとアンバーの目を見開いた。そんな様子を見たサリーは茶葉を分けてあげると提案してきた。申し訳ないと言ったが、可愛い後輩に喜んで欲しいと言われたので素直に頂くことにした。
「また、いつでも遊びに来て!お茶が飲みたい時でもいいのよ」
サリーは部屋に戻るユリアにそう言って、ウインクした。なんてやさしい先輩なんだろう…ユリアはサリー先輩に頭を下げて、部屋に戻った。
魔物避けの植物は現状厳しそうだと分かったユリアは、別の手段は無いかと考え始めた。しかし、明日の報告会のために報告書を読み終えなければならない。急いで、残りの分に目を通してまとめていく。
あれ?ユリアはまとめた資料を見直して、ふと疑問が浮かんできた。報告書には魔物が出た場所、日付、魔物の種類、被害状況などが書かれている。ユリアは最後のあたりにあった魔物の対処報告に目を止めた。対処者の欄には、国や貴族の名前が書いてあったが、一般人とも書かれてあることがあった。しかも、ユリアの肌感ではあったが一般人の討伐が多い気がする。
イメージ的には国や領地の当主である貴族の討伐部隊ばかりだと思っていたが、意外と一般人も対処をしているようだ。ざっと報告書を見直してみるが一般人の報告が沢山あった。これは…とユリアは考え込む。
もしかしたら、これは掘り下げるべき事実なのかもとユリアは思った。明日の報告会で報告しようとユリアは決めた。他にも何か気になるところは無いかと、繰り返し読んでみる。
ユリアは報告書に添えてあった獲得魔物素材という欄に目を止めた。魔物素材とは何だろう?ユリアはよく分からなかったので、これも明日聞いてみようとメモをする。そして時間の許す限り、魔物素材に目を通す。しかし、どれくらい価値があるのかはわからない。
時計の針は11時を指している。お肉を食べたのでお腹は全く減っていない。今日はもう寝ようと、準備を始めた。一通り用意が終わると、ベットに潜り込んだ。何かいい案はないだろうかとユリアはまだ考え込んでいたが、いつの間にか眠ってしまっていた。




