クソ田舎に泊まってやろう
女の子は大切に
H県某所。舞台は農村の在籍人数僅かしか居ない中学校である。
三年一組は男子三人しか居らず、三人とも悪ガキ盛りの野郎共。しかし今日は何故か教室にテレビカメラが来ており何やら異様な光景に三人は興味津々であった。
「何これ!? テレビけ?」
「テレビか!? テレビに映るのか!?」
「参ったな! 有名人になっちまうべぇ!」
三人がカメラの周りをグルグルと回りカメラマンを困らせていると、そこに担任である増子由美が入ってきた。
「あ! 先生おめかししとる!」
「厚化粧過ぎてバカ殿になってるで!!」
「誰だか分かんねぇべ!」
「はいはい、席についてー!」
いつもと違い気合十分な由美先生。開けっぱなしの扉に向かって手招きすると、トコトコと異国の女の子が入ってきた。
「ふぁっ!?」
「メスだっぺ!!」
「すかも外人だっぺした!!」
突然の女の子に男子達は大興奮! 由美先生はニヤニヤとしながら男子達を眺めている。
「紹介しよう。フランスからお越しのターナちゃんでーす」
「ハジメマシテ、ターナ、モウシマス」
「目が青いべ!!」
「しかも乳があるっぺ!!」
「脚長ぇない!!」
初めて見る同い年の外国人に大興奮の三人。しかもお貧族の由美先生と違い、ターナちゃんは服の上からでもしっかりとそのモンブランが自己主張していた。
「流石フランス人だっぺ!」
「ワインの国だな!」
「巨峰ちゃんだっぺぇ~!」
本人を目の前にしたエロトークが止まらない悪ガキ共。先生は咳払いを一つし、説明を始めた。
「今日から一週間、ターナちゃんは三人の誰かの家に泊まって貰う」
「ふぁっ!?」
「ふぅっ!?」
「ふぉっ!?」
「ジャンケンで決めてくれ」
「「「最初はグー!!!!」」」
男達のジャンケンが始まった。男達は自らの欲望を剥き出しに、全身全霊を賭した渾身のジャンケン。勝者は思い切りガッツポーズをかまし、敗者二人は床に倒れた……。
「ッシャー!! 勝ったっぺー!!!!」
「ぐぉぉぉぉ……!!」
「俺のバカバカ! 何故グーを出した……!!」
「よーし、決まったな。それじゃあターナちゃんはあのアホの隣に座ってね」
喜びの舞を踊るアホの隣にちょこんと座るターナ。アホはターナにペコリと深いお辞儀をすると、こっそり匂いを嗅いだ。
(御フランスの匂いだっぺ~!)
アホは恍惚とした表情でニヤついた。
「それじゃあもう一人入ってきて~」
「ふぁっ!?」
「……!!」
「……!?」
手招きされて入ってきたのは金髪の大人しそうな女の子。先程まで負けて打ち拉がれていた二人も、異国の女の子がまたもや現れ元気を取り戻した。
「紹介しよう。ロシアからお越しのマルコビッチちゃんだ」
「……マルコビッチ……デス……ヨロシク……」
「金髪だっぺー!!」
「御ロシアだない!!」
「プーティンの女だっぺした!!」
立て続けに現れた異国の女の子に男達は再び大興奮! しかもよく見ればチェックの服の上からでもハッキリと分かるエルブレスはターナちゃんよりも大きく自己主張していた。
「マスクメロンだない!!」
「スイカップだっぺ!」
「でっけーピロシキずら!」
言いたい放題の三人を再びニヤニヤと眺める由美先生。
「さて、マルコビッチちゃんも一週間泊まって貰う。」
「ジャンケンか!?」
「ジャンケンなのか!?」
「ジャンケンしかないだろう!?」
「アホにはターナちゃんが居るだろが!」
「一夫多妻制だっぺ」
「却下!!」
「ッシャ!」
「今度こそ勝つぞい!」
再び男達の人生を賭けたジャンケンが始まった。
「ヨッシャー!!!!」
「この世の終わりだ…………」
勝者は喜びのカズダンスを踊り、テレビカメラの周りをグルグルと回った。一方敗者はロッカーの前で体育座りで人生の終わりを悟っていた。
「じゃあ、マルコビッチちゃんはあのバカの隣に座ってね」
由美先生に促され燥ぐバカの隣に座るマルコビッチ。バカはそれまでの燥ぎようがウソのように緊張でガチガチと固まってしまった……。
「じゃあ……最後。入ってきてー」
「!?」
「!?」
「……!!」
手招きされ入ってきたのはチアガール風の異国の女の子。とにかくスカートがやたら短く三人は下半身に釘付けだ。
「アメリカからお越しのベラちゃんだ」
そしてお胸のデナリは前二人を凌ぐ標高を誇っており、その大きさに三人は固唾を呑んだ。
「じ、自由の国過ぎるっぺ……」
「巨乳ファーストだっぺした……」
「ホルスタイン……」
「じゃあベラちゃんは残ったボケの隣ねー」
「お、おおお……!!」
先程まで人生の負け組だったボケは瞬く間にヒエラルキーの頂点に君臨し、人生の勝ち組だった二人は少し悔しそうに胸を見比べている。凄く失礼だ。
「と、言う訳で三人がお前らのハウスに寝泊まりするわけだが、これはテレビの企画だ。だからピ―――とかピ―――は無しだぞ!?」
「お、おおおう……?」
「そんなの殺生だっぺぇ……」
「無理だっぺ」
「あ、あの……あまり過激な発言は…………」
あまりの言葉遣いにカメラマンが先生に釘を刺した。既に三人が失礼千万な上に性的な発言だらけで大幅カットを余儀なくされているため、このままでは取れ高が無くなってしまうのだ……。
「す、すみません……」
思わず謝る由美先生。御年35の独身女は時折見せる下品な発言で婚期を逃しまくって居たのだが、未だにその癖は直らずにいた。
「アノー……」
ターナがスッと手を上げた。
「ピ―――……ッテ ナンデスカ?」
「ターナちゃんピ―――知らんのけ!?」
「ウブだっぺぇ!」
「オイラとするけ!?」
「ア、アノー……」
今度はマルコビッチが怖ず怖ずと手を上げた。
「ピ―――トハ ニンジャガツカウ ニンポウ デスカ?」
「それじゃ妊法だっぺ……」
「流石プーティンの女だな」
「オイラと忍者ごっこするべ!」
「ハイ!!」
ベラが力強く手を上げた。
「ワタシシッテマス!! ニポンノサムライ コヅクリプレスデ オンナノヒト イットリョーダンデース!!」
「流石アメリカ自由だっぺ!」
「発想がフリーダムだない」
「オイラの正宗で試し斬りするかい!?」
「はいはい、お前らピ―――の話は終わり終わり、それじゃあ解散!」
そして各家庭に女の子がお邪魔したのだが…………
「あんれま! おめ大層デケぇメスっ娘連れて! ピ―――すんのけ!?」
「ロスアの女はずめて見たげっじょ、まぁ……デケぇなす!! ピ―――もピ―――でピ―――なのけ!?」
「ピ―――ピ―――ピ―――ピピ―――ピピピピ――――――!!」
それぞれの家での発言が下品すぎて放送出来なくなり、この企画はお蔵入りとなった。しかし三人の女の子達はカブト虫に夢中になり、とても幸せに一週間を過ごした。
読んで頂きましてありがとうございました!