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第4幕


「ここがギルド長の部屋となっております。私は個人のプライバシー遵守の為、外でお待ちしております。」


僕が連れて来られたのはギルド長の部屋の前だ。

他の部屋のやつとは違い扉やその周りがきらびやかな装飾が施されており、それだけでもいかに地位の高い人とこれから接触することとなってしまったことに内心、若干の冷や汗をかいているのは内緒だ。

絶対に【職業付与】の専門職員のあの人に対して無意識だったとはいえシカトを決め込んでしまったことが原因だろう…。


はっ! もしかしたらあの人はとても繊細な心をしていて僕が無視してしまったことが原因でギルドを退社してしまったとかではないだろうか?「私はもうこの仕事はしたくないんです〜」とか間延びしたセリフを残して。


まずい。こんなせっかくの二十歳の誕生日だというのに冒険者ギルドを出入り禁止なんていう誕生日プレゼントを貰ってしまったらたまったもんじゃない。

これは無責任を貫いていてもしょうがないだろうから素直に謝ろう

そう心に決めた僕はギルド長の部屋のドアをノックした。


「入れ」


中からはとても重たくかつ鋭い声が聞こえてきた

だがこんな所で逃げるわけにはいかない!やるんだエデルお前ならできる!


「失礼します!」


中に入ってみて最初に思ったことはあのあったかいマイホームにいますぐ帰りたいということだ


「君が今回【職業付与】を受けた新成人のエデルか?」


僕を睨みつけるような物色するような鋭い声をかけてきたその人物


「紹介が遅れたな 私はこの冒険者ギルドの長を務めているナバスという者だ」


そう言ってきたのは正真正銘この街のギルド長だ。 スキンヘッドで白を基調としたギルド職員より一回り豪華な装飾が施された仕事着を纏いそこから所々見える日焼けした肌なんともが印象的な

…なんというか想像してた感じとは少しどころかかなり違い、失礼ながらギルド長というより海での楽しみ方をよく知ってるというようなザ☆夏男という感じだった。

少し目が鋭くて睨まれると怖いけどそりゃまあ人に信頼されてなおかつこれまで多くの人を見てきて経験、実績共にある人物だからこそ、ここまでのし上がったのだろう。当たり前か。

とにかくしっかり言葉を選んで質問に答えないと大変なことになりそうだ。


「はい、僕がこの度【職業付与】を受けさせていただいたエデルと申します。」


するとギルド長は何かを察したようにとても柔らかな表情となった


「君はひとまず目上の人と話す時の常識はわきまえているようだな安心したぞ。言葉遣い

すら学習しないで20歳を迎えるやつが最近特に多くてな。」


と言いニカっと白い歯を見せて笑ってる

まぁなんとも日焼けしている肌のおかげで白い歯がよく似合う


「それで今回君をここに呼んだのはちょっとしたお願いと【職業付与】での結果についてなのだが」


魔法戦士が来たのではないかこれは!?だってギルド長から直々に発表されるんだもんきっとそうだ!僕はとうとう…


「えっとエデル君?聞いているか?なんでも君は今まで前例のない職業を手に入れたようなのだよ」


あれ?今何て?いやだって魔法戦士だとしたら既に発見されている職業だよ?それに未発見だった職業ってことは…


「まずは君が今回手にした職業は【モンスターテイマー】というものだ」


…なんだそれ。確かに聞いたことがないぞそんなの。なんだよモンスターテイマーとは?

それに未発見職業が見つかったのって最近でも今から20年は前だと聞くぞ。

どうでもいいけど改めて考えると僕が生まれたぐらいのときになるんだね。


「それにさらにこの職業を解析していたら、それに付随して、とある二つの情報が解析されたのだよ。

まず一つ目は戦闘術。これは、この職業の真髄ともいえるモンスターを従わせ一緒に戦わせることができるというものらしいんだよ。

そして二つ目はあらゆる生物の強さが分かるステータス閲覧というものがあるらしいのだ。」


「え…えっと?ステータス閲覧?」


なんだよ!なんだよ!どういうことだよ!聞いたことがない単語の所為で頭がパンクしそうだ。

それに昔からの夢でもあった魔法戦士にならずに得体の知れない職業になってしまうなんて…


だがこれも運命だと受け入れるしかないよね。

ショックだけどまだこの職業がハズレ枠かはわからないのだ。そう悲観することもないではないか!ここは持ち前のポジティブ精神を発揮だー!


「それで君にはギルド長である私から頼みたいことがある」


自分のポジティブさと魔法戦士になれなかった悲観との決着がようやく着いたくらいの時にギルド長がまた話し始めた


「頼みですか?」


「そうだ。なにせ私もそこそこ長くギルド長をやってはいるがこのような未確認職業が見つかることを目の前で見るのは初めてなものでな。

なに、頼みといっても難しいことではない。その職業に慣れ始めたら暇な時でいいからこのギルドに足を運んでいろいろとその能力などについて詳しく教えて欲しいのだよ

なにせこっちもその職業についての情報を集めたくてな」


なんだそんなことか!ギルド長直々だからもっととんでもないこと言ってくると思っちゃったよ。


「はい!分かりました!」


「代わりと言っては何だがこれから君は冒険者登録もするのだろう?だったら初期費用の金貨一枚は私持ち。タダにしておこうじゃないか」


前言撤回! ヤバい。とんでもないこと言ってきた。


「あっ!ありがとうございます!」


僕を含めた家族にとってこれほどありがたい話しはない

この金貨を稼ぐ為にお父さんはここ最近いつもより遅くまで仕事場の鍛冶屋で働いてくれていた。

だからこれは本当にありがたい話しなのだ。

「さて、話しが長くなってしまって申し訳ないが最後に一つだけ聞かせてくれないか?ついさっき泣き目で【職業付与】担当の職員が

『今日は気分が優れないので』と言って早めに帰ってしまったのだが何か知っているか?確か君の【職業付与】をしたすぐ後なのだが。」




あっ!やっぱ?












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