流血ショーと箱庭パントマイム アルカナの33番
強い風が呼吸を揺るがす。ひどい話だと嘆いて煙を吐いて傘を差す。心配、というよりただの不安症。内臓にわけもなく水が溜まって頭から抜けていってさめざめと降り注ぐ雹の空模様。
『お前という奴は』
「黙ってくれないか。」
『そんなだから』
「黙ってくれないか。」
『最初からそんなつもりなかったし』
「黙ってくれないか」
『何もかも演技だったんだ』
「黙ってくれないか」
『騙されやがって』
「うるさい」
賢いくせして後出し以外に有利になる方法を何も知らないのはおかしな話だ。いたずらに乾いた笑いを浴びせられても負の感情しか湧かない。
下手な化粧の木偶人形にピアノ線をつけたところで、同じ手でゴミ捨て場に持っていくのならでたらめを書いた五線紙などもっと不要に違いないのに。
一体何が演者をそうさせるのかを果たして何字以内で書き出せばいいのだろうか。
しかしながらこの後遺症はひらがなの1文字にまで影響を及ぼしている。嫌悪。想起。幻聴。
スポットライトがねばついた笑みに不可解な影を落としているのに。