前途多難な高校生活
祖父も父も一目で異国の血が流れていることがわかる、彫りの深い顔立ちであったり金髪とまではいかずとも色素の薄い髪色ではあったけれども、瞳の色は黒やこげ茶のありふれた色味である。
目立つ容姿のなかでありふれた色合いをもつ二人は、外国のスターよりも親しみやすいと若いころは勿論、今でもモテて大変みたい。
そんな二人とは違って、生まれたときにはふさふさした黒髪がはえていた私を見た母と父は、これでこの子は大変な思いをしないですむ!と喜んだらしいけれども、退院してすぐにまだ存命だった曾祖母が気づいたらしい。
ぼんやりと開くまだそれほど見えていない瞳が、蒼とも碧ともいえない不思議な色合いであることに。
そして、見つめる曾祖母の瞳も同じ色合いをもっており、曾祖母大好きな父と母の喜びはそれはもうすごいものだったと、その場で同じく喜んでいたという祖父が教えてくれた。
踊りだすんじゃないかという雰囲気の室内で、曾祖母だけがしばらくの間私を見つめて動かなかったらしい。
祖父はそんな曾祖母が気になりどうかしたのかと尋ねたそうだが、曾祖母は何も言わずに私の頭をなでていたという。
年を重ねると色素沈着によって虹彩の色が濃く変わることも多いらしいけれども、いまだによくわからない(父はピーコックアイと言っている)色合いで、祖父たちとは違って近寄りがたい雰囲気を醸し出しているらしい。
おかげで親しい友人ができたこともなく、話しかければ多少話すことはあっても放課後に遊びに出かけたり、休日に誘われたりされることもなく小、中学校生活を終えてしまった。
カラコンは曾祖母大好きな家族が悲しむし私も抵抗があってしないと決めている。
高校生くらいになればおしゃれでカラコンしている人もいるだろうし、そんなに浮くこともないはず!たくさんとは言わないけれど、一緒に遊びに出かけられる友達が何人かできるといいな…。
そんな願いをこめた入学式から一週間。
見事に、ぼっちの名をほしいままにしている私がいました。
入学式が無事に終わり発表されたばかりのクラスに入ると、何故かしーんとする教室内。
過去にも感じたイヤな予感に冷や汗が出ましたが、宛がわれた自分の席をさがすと窓際の一番後ろで、なんとも友人作りに不利な状況。それでも席について近くの生徒に話かけようと顔を上げると、一瞬目が合ったもののそらされる顔、顔、顔…。
この状況には覚えがあります。ええ、間違いなく中学校の入学式と同じですよ!
こうして一週間経った今も、目が合うとそらされるという友人作り以前の問題に悩まされているのでありました。