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感性を養う

経営学の授業が始まったことを父さんに手紙で書くと、お店の商品の価格設定を自分でやってみるように言われるようになった。

原価と、作る手間と、輸送費と、人件費と、利益その他諸々を考えながらいくらで売るか、いくらで売れるか決めていく。


今まで売っていたクッキーとかのおやつは比較的簡単だったけれど、新商品は難しい。

そういう時は価格調査と称して王都のお店を回ってみたり、寮で友人にいくらなら買うかを聞いてみたりした。


商品の価値をちゃんと理解しないと、と思ったのはそれがきっかけだった。






アビントン商会は、生モノ以外何でも扱う。職人さんだけではなく、画家さんとかも街にはいたから美術品も取り扱っていた。

それを売るのに、今の私では知識が足りない。都合の良いことに、学院にはそれを補う授業もちゃんとあるのだ。


『美術』と呼ばれる授業がある。音楽、絵画、芸術など分野は多岐にわたっていて、とにかく良いものを鑑賞して感性を養いましょう、と言う授業だった。

講師は月代わりで、学院の卒業生が自分の技能を披露してくれる。年単位での選択制ではなく、月単位で申し込む事が出来る特別な授業だった。


劇場で演劇を見るとかになるとお金がかかることもあるけれど、ちゃんと事前に告知されるし、父さんは気にしなくていいと言ってくれるので甘えている。

ルカを誘ったこともあるけれど、絶対寝るから行かないと言われてしまった。


ゲームのステータス的にはその月の分野によって音楽とか美術とかが上がる。

テオドールとシャルルを落とすのに必要なので、ヒロインのレティシアをたまに見かけた。まぁ、そのテオドールとシャルルはわりと常連なのだけれど。


作る方もちょっとやってみたけれど、才能がないのはすぐにわかったので次の回からは受けていない。私は商人になりたいのであって、職人になりたいわけではないのだ。負け惜しみなんかじゃない、絶対。

テオドールと仲良くなって、彼の描いた絵をうちで買わせてもらえないかな、と一瞬思ったけれどやめておいたのは正しいことだったと思う。


必要な授業が好きな授業になると、勉強はとても楽しい。前世で勉強嫌いだったのが嘘みたいだ。

生活に必要なものが全部保証されて、それだけをしていればいい生活のなんと贅沢なことか!

こういうことに感謝できると言うのも、記憶があることので得られる『良い事』だと思った。






ヒロインはとても忙しそうだ。手当たり次第に授業に申し込み、順番に授業に出ている。重なっている講義は勿論受けられないから、誰かにノートを借りているのをよく見かけた。

ルカに聞いてみても、彼女はそんな感じらしい。幾つ選択しようと基本的な授業料は変わらないので大丈夫ではあるようだけれど。


倒れないか、ちょっと心配だ。

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