表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/44

選択授業の始まり

私が学院に入学して、3年が経った。振り返ればあっという間だ。



学院の授業は4年目から専門的なものになり、今までのように全てが必須ではなく選択制のものが増える。何人かの生徒はここで卒業だ。村に帰って村長の手伝いをするくらいなら、3年間で十分だから。

私は勿論あと7年は学院へ通うつもりで、商人のお手伝いをするために経営学や商品知識に必要なことを学ぼうと思っている。

専門分野は多岐にわたって、何でも学べるけれど、全てを学ぶには時間が足りない。

私とルカは一般教養の必須授業と、礼儀作法の他は別々の授業を受けることになった。






今まで同室だった子が卒業してしまったので、私は部屋を変わることになった。

今度の部屋は3階にあって、階段を上るのは大変だけれどその分眺めは良い。2人部屋なのは変わらないけれど、少し広くなった。


今度の同室者はマリエルと言って、街の教師になりたいのだと言う。

10歳までの子を教える街の教師は全ての分野をある程度網羅していなければいけないし、学院への推薦をするのも仕事だから大事な職業だ。

春の日溜りのような彼女は、父親のような素晴らしい教師になるのだと夢を語ってくれた。






専門分野に分かれるだけあって、教室も狭くなった。受ける生徒が少なくなるからだ。

経営学の教室に入って待っていると教師が来て、皆で自己紹介をしましょう、と言う。学年が上がった最初の授業でよくやるような奴だ。


「フローラです。よろしくお願いします」


それだけ言ってぺこりと頭を下げて、着席。他の人の自己紹介を聞く。

……うん、まぁ、やっぱりいるよね。


「シャルルと言います。よろしくお願いしますね」

「ラウルと申します。よろしくお願いします」


思わず半眼になってしまったけれど、うん、大丈夫。ただ同じ講義を取っただけの他人だ他人。大丈夫大丈夫。

接点はなくすよう努めて来たし、何とかなるだろう。授業中は私語厳禁だし、いけるいける。

でもそうか、これからはそういう危険が増えるのか。ルカと少し作戦会議をする必要があるかもしれないな。


そんなことを頭の片隅で考えながら、私はガラスペンをインクに浸した。






ルカは、背が伸びた。切るのが面倒くさいと伸ばしっぱなしの紺の髪は、夜に溶けるよう。

相変わらず護衛と称して傍にいてくれて、一番の友達だ。

日曜日の王都探索はひと段落ついて、行かないこともあるようになった。私は寮でのんびりする間、ルカが何をしているかは知らない。聞けば教えてくれそうな気はしているから、それで良かった。


季節ごとにヒロインちゃんはお店に来て、10回買い物をして、追加商品を全部買っていく。噂では冒険者ギルドに出入りしているらしい。確か『魔王城探索』もギルドで受けられるアルバイトのはずだ。

そのまで行くともうアルバイトと言っていいか分からないけれど。


ヒロインが買っていった商品は、その次の季節くらいに改良されてうちの商会の商品になって、私とルカは結構な頻度でそれを貰っていた。

ルカは何か効果があるかもしれないと言っていたけれど、使えるものは使おうと言う事になった。

書き味の良いペンやノートは慣れてしまうともう戻れない。



少し夜更かしが出来るようになって、後輩も出来た。卒業した友人とは、文通を続けている。

『アビントン商会出張所』は、今週も開店します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ