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俺と彼女の日常につき  作者: 寺本 ひろ
3/10

とりあえず放課後です

こんにちは。こんばんは?おはようございます。

これからこの章というか今回のお話を読んでいただく方へ先にひとつだけ・・・いや、これはあとがきに残しておくとします。

よし、今回もがんばろうね、夢くん。

夕日が少し寂しく差し込む午後五時の教室。


「うわ・・・めんどくせぇ」


下校途中ある忘れものに気づいた俺は教室へと踵を返した。

ま、忘れ物といっても読みかけの小説なんだけどね。

ちなみに春からアニメ化が決定の人気ラノベね。

基本的に読むのは昼休みしかない。

学校では教室から持ち出すことはないので探す場所もここしかない。

もしかして無くなっているんじゃ・・・とかそんな心配はなくのんびり戻ってきたんだが・・・。


「どこかで落としたのか・・・」

「いやでもここくらいか・・・」

「・・・・・・だる」

あーもう・・・。

「戻ってくる最中も見かけなかったよな・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜだ。


俺の心の中だけでなく教室の中も俺の独り言のオンパレードだった。

そう、窓際から二列目の一番後ろ・・・俺の机の中には教科書しか入っていなかった。

一応教室と廊下を見渡したが見つけることはできず、ひとまず机の上に腰をかけた。


「しゃあねえ・・・最悪見つからなかったら夜に散歩がてら本屋でも行くか」

と頭の中はもうすでに諦めモード。


もういいや・・・帰るか。

そして実際に諦めるという選択肢を選ぶまでにはそう時間を費やさなかった。


とりあえず思考が落ち着き帰る前に一息つこうとグラウンドを眺めると、陸上部がどうやらメイン練習の真っ最中のようだった。

 

「今日はペーランか・・・」

・・・冴希のやつ相変わらずだな。

練習では常に先頭を引っ張る我が妹が目に入った。

あ、因みにペーランってのはペースランニング(設定ペースを守りながらトラックを決められた距離をぐるぐると走る練習)の略。


しかしまぁ・・・懐かしいな。

というのも実は俺も中1の秋までは・・・まぁこのことについては後に触れよう。

そんでもってあの頃だ・・・俺とあいつが一緒に・・・。


眼はグラウンドに向きながらも、俺の思考が過去へとタイムスリップしかけていた・・・とその時。


「夢くん?」

「うわぁっ・・・?!

「あ、ごめん、驚かせちゃって」

そこに立っていたのはクスッと笑うショートボブの女の子・・・というかクラスメイトだった。

「あぁ・・・中瀬か・・・マジびびったよ」

「ごめん、なんかちょっとおもしろかったかも」


そういってまたクスッと笑うのは中瀬志歩。

こいつとは高校からだけど、一年の時から同じクラスで普段からそこそこ絡みのある女子。

というより俺のことをあだ名で呼び、俺が唯一気兼ねなく話せる女子といったら中瀬くらいだろうか?

席替えしても何故かとなりの席になるとこが多く、それがきっかけで自然によく話すようになったんだっけ。

因みに容姿はといえば、これまた言っちゃぁなんだが、普通に結構可愛いいほうだとおもう。

ただ何故か今までこいつに友達として以上の特別な感情が生まれたことは一度もない。


「おもしろかったってお前、こっちはまじでびっくりしたっつーのにぃ」

「まぁまぁ、それはともかく夢くん、何してたの?」

「ん?あぁ、ちょっと忘れ物してさ・・・取りに来たんだけどなくてさ」

「で、落ち込んで途方にくれてたの?そんなに大切なものだったんだ?」

いやちょっとまて中瀬、俺はまだそんなこと一言もいっとらんぞ。

「いや、別にそんな落ち込んでたとかじゃないんだけど、まぁちょっと一息つきたくてさ」

「あーなるほどね」

といつも中瀬はこんな感じで流してくれる。

そう、こういうところが俺にとって接しやすいポイントだったのかな。

ほんとこいつといるのはいつも気が楽でいい。

「で、中瀬のほうは?」

「私もちょっと忘れ物してさ・・・えっと、これ」

と中瀬が自分の机(今は俺の席の二つ前)から取り出したのは1枚のCD 。

「お、それってこの前言ってたあのグループのアルバムじゃねーの?!」

「うん、そうだよ。夢くんもはつばいしたら買うかもっていってたよね」

「そうそう、てか昨日発売じゃねーの?お前、相変わらずそーゆーの早いよな」

中瀬はいつも好きなアーティストのCDは発売と同時に購入することにこだわっているらしい。

「まぁね、これくらいしか楽しみないしね」

な、なんか意外と寂しいことさらっといいやがるなこいつ・・・。

「お・・・おう」

「てことで、はい」

と、そのCDを俺にとって差し出す中瀬。

「え、まじで!?まじでいいの?」 「まぁどうせ夢くんも買うんだろうけど」

「まぁな。俺も好きなアーティストのCDは集めるタイプだし」

でも、すぐ聴きたかったんだよな、マジありがとう中瀬。

「はは、だとおもったよ」

「ありがとな」

「どーいたしましてー」


そんなこんなで気づけば午後5時45分。

あたりもそこそこ薄暗くなってきた。

「おっと・・・もうこんな時間か。帰るとするか」

「あー、そうだね。帰ろっか」


てな感じで端から放課後の教室でイチャつくカップルにみえないでもない・・・かもしれない俺達が教室を出ようとしたときだった。


「・・・・・・あ」

「・・・・・・っ」


教室の入り口にはいつの間にかもう一人・・・クラスメイトがたっていた。

そう、今日からクラスメイトとなった一人の女の子(転校生)が。

「佐山・・・じゃくて佐々山・・・?」

「・・・そっか・・・そうなんだ」

佐々山がなにか呟いたが俺には聞き取れなかった。

「ん・・・どうした?てかお前までなんでここに・・・」

そこまで俺が言いかけたところで彼女はいきなり廊下を走っていってしまった。

「ちょ、え・・・なんで逃げるんだよ」

「それより夢くん、さっき佐々山さんが持ってた本のブックカバーってどこのだっけ?」

「なんでこのタイミングでお前の視点はそこ・・・って・・・本?ブックカバー?どこのって?」

「え、だから、うん、大久野駅の近くにそこそこ大きい本屋さんがあるじゃん?えっと確か藤・・・」

中瀬の説明の序盤ですぐに分かった。

それもそのはず、だって昨日の夜にも行ったのだから。

「藤川書店・・・」

「あ、そうそう。あそこ結構品揃えもいいんだよね」

「・・・あ、あぁ・・・うん」

「ん?夢くん?」

「・・・・・・・・・」

店の品揃えのよさとか、今度こそどーでもいい話をしだした中瀬だったが、俺の思考は別のところにとんでいた。


「あれ?ねぇ、夢くん」

「・・・・・・」

「夢くん?ね、夢くんってば!」

とさっきまでその気の抜けた表情を変えずに淡々としゃべっていた中瀬が今度はちょっと膨れっ面で俺の服の裾を引っ張ってきた。

中瀬を普段から女の子として意識していればちょっとはその可愛いさが嬉しかったもしれないが、生憎俺は女の子として認識はしていても意識はしてないわけで・・・。

「あ、わりぃ、どうした中瀬?」

むすっと少しふくれていた中瀬だったがすぐに表情をもどした。

「あー、うん、これ」

中瀬が廊下においていたものを拾い俺にそれを見せた。


屈んでそれを拾う瞬間別のものが見えそうになったがそこはまぁおいといてだ、そうだスルーだ。

ましてや少しそれがみえるか期待してしまった事なんてここでは言えるわけもないだろ・・・そうだろ?

それよりも俺の視線を奪ったのは中瀬が見せてきたそのメインのほう。

「あーっ!」

思わず声が出てしまった。

がしかし中瀬はその大声にツッコミを入れるわけでもなく、おちついてこういった。

「うん。これ、夢くんが愛用してる本の栞だよね。」

「てことは・・・なぁ中瀬、さっきあいつが持っていた本のサイズは?」

「んー、多分だけど、文庫本」

もうここまできたらほぼ確信してもよいだろう。

そう、あいつが持っていた本は・・・。

でもなんでであいつ・・・佐々山結衣が俺の本を持ってるんだ?





 というわけで、どうも比呂太です。

 まず今回も読んでいただいた方へ感謝を。

 まだ3話目になりますが、お付き合いいただきありがとうございます。

 そして今回は少し謝罪を・・・結構だらだらと書いた割には物語はゆったりとしか進行いたしませんでした。

 辛うじて、新キャラの登場と、次回こそやっと何かがありそうで起こりそうな感じで終えることができました。

 まだ3回目の更新ですが、こんかいもここまで書けたのは少しでも目を通してくださる方がいるからこそです。

 こんな僕の作品にアクセスしてくださる方、そしてブックマークを付けてくださる方へ重ね重ね感謝申し上げます。

 ではこんな調子ですが、この先も精進していきますゆえ、どうぞ次回も本作品に触れていただければこの上なく幸いでございます。

 2015年4月10日。比呂太。

 

 

 

 

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