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第2章-5

二人が観た映画『二人の旋律』。

暴走族に属し、喧嘩や族同士の扮装内では完全無欠であり無敗の男子高生『動木(とどろき) 久司(くじ)』が主人公。

盲目であり、聴力も微かに物事が聞こえるくらいしかないがバイオリニストを目指す女子高生『蛍沢(けいざわ) (あかり)』がヒロイン。

そんな二人が唐突な出会い――と、言うか動木が蛍沢のことを轢きかけそうになったという危ない出会いから物語りは始まる。

その後、二人がともにいる時間が徐々に増えていき、動木に大きな変化をもたらした。

今まで、暴走族という世間から軽蔑さている存在にいたのが、そこから抜けることを自ら決意した。その結果が、自分の身がただでは済まないことを知りながらも――

そして――そこから抜けた彼は、普通の生活を送り出した。

螢沢と共に、生きていくと約束しあい――

その途中で、いろんなことを経験してきた。

昔の仲間からの喧嘩や、二人の仲違い――などなど。

それらを経験し、二人は成長していった。

だが、二人の幸せは長く保たれるものではなかった。

螢沢の様態が悪化した……。

僅かに残されていた聴力が完全に失われたことによって、彼女の耳はただそこにある飾り物になり――歩くと言う動作が出来ていた脚が、突然その動作が失われた。

それでも、彼女は自分の夢を諦める気など微塵たりともなかった。

全盲になってしまった為、今まで彼女がバイオリンを通して轢いていた美音は、音として成り立つことが出来ない醜い音になってしまった。

だが、耳から何も通すことが出来ない螢沢には、それが聞こえなかった。

そして、それが聴こえている観衆は、誰一人として穏やかな表情をする者はいなかった。

そこに浮かぶのは、軽蔑。嫌味。邪魔。目障り。

だが……それらも螢沢には見ることが出来なかった。

例え、自分の隣で自分の嫌味や陰口を叩かれても――

だが、それらとは違う反応を示している人がいた。

それが、動木であった。

その後、動木は死ぬ物狂いで勉学に励み、不可能に近かった医学専門大学に合格し、更にその中で螢沢に『視力』だけでも取り戻させたいという気持ちで、研究や勉学に励んだ。

そして、それがカタチになった。

幾重もの手術の結果……螢沢の視力が回復した。

あの何も見えなかった彼女の瞳が、世界を見ることが出来た。

だが――その瞳で、動木を見ることは出来なかった。

動木が螢沢のもとに向かう途中にそれは起きた。

幼児の少女が車に轢かれる瞬間――動木は少女を救った。

が……それは彼の命と引き換えだった。


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