第2章-4
「んも~、どこ行ってたの~」
戻ってきた遙を見るやいなや、こよみの開口一番は不満の声だった。
「心配したんだからね~」
「ごめん。ちょっと、トイレに行ってたんだ」
「んも~、三十分も待ったんだからね~」
「そ……そうか。ごめん」
そこで改めて知った時間。
遙は、あの苦しみと三十分もの間戦っていたのだ。
そして、今、こよみには心配させないように平然とした態度でいた。
「それじゃ~……次はね~」
「どこ行くんだ?」
「映画観に行こうよ~。まだ午後の一時前だからね」
「了解」
前のときと同じように、二人は腕を組みながら、このデパートの中にある映画館へ向かった。
そして、二人はデパート内に催されている映画館の前にやって来た。
「ん~」
今現在、その中で公開されている映画のポスターを見ながらこよみは迷っていた。
「あっ」
「どうした?」
「これ見ようよ、これ」
「ん?『二人の旋律』か」
その映画は、今一番の人気と話題で名が売れている作品だった。
「へぇ~。僕も見たかったんだよな」
「ホント!?私もなの」
そして、二人ともが今観たいものであった為、それに決定した。
勿論、料金は無条件で遙持ちだったのは言うまでもない。




