表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
第22章|個の回収
98/190

(1)リエルの影

森の小道を、少女が歩いている。


足音は軽い。

重さも、迷いもない。


何かを失ったという自覚もない。


視線の先、土の中に淡い光。


少女はしゃがみこみ、それを拾い上げる。


小さな龍鱗。


掌に乗せた瞬間、

胸の奥が、わずかに震えた。


理由はわからない。


悲しいわけでもない。

嬉しいわけでもない。


ただ、手放したくないと思った。


少女は首をかしげる。


どうしてだろう。


答えは出ない。


それでも、龍鱗を胸元にしまう。


そこがいちばん安全だと、

身体が自然に判断していた。


胸の奥が、ほんのりと熱を持つ。

小さな、確かな温もり。



風が吹く。


森は静かだ。


少女は立ち上がる。


真っ直ぐに前だけを見つめる瞳。


名前も、過去も、幸せも、

まだ何も持っていない。


けれど、


その小さな欠片だけが、

彼女の“最初の一歩”だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ