(3)星の息吹
夜は深い。
森は眠り、空だけが澄んでいる。
この夜が、いつまでも続くとは、
誰も言わない。
少年は仰向けに寝転び、星を見ている。
その胸の上に、猫がいる。
当然のように居座り、前脚を揃えている。
重みはある。
けれど少年は退かさない。
指先が、無意識に背を撫でている。
星は遠い。
けれど、冷たくはない。
少年が息を吸う。
猫の体も、同じ速さで上下する。
呼吸が揃う。
木々の隙間。
星層の輝きが、一瞬だけ揺れた。
少年は気づかない。
ただ目を細める。
猫だけが、見ている。
その首には、赤に近いオレンジ色のリボンが結ばれている。
夜の中でも、わずかに温度を持つ色。
結び目は丁寧で、少し不器用だ。
ほどけないように、
強く結ばれている。
少年は、それを見ない。
もう、確かめる必要がないからだ。
「……静かだな」
返事はない。
代わりに、猫の尾が少年の喉元をかすめる。
温度がある。
少年は目を閉じる。
安心しきった呼吸。
猫は目を閉じない。
リボンが、わずかに揺れる。
星明かりを受けて、ほんの一瞬、
火のように光る。
夜は深い。
星は静かに瞬く。
遥か、遠くで。
風が葉を鳴らす。
猫は、そっと少年の胸に顔を埋めた。
鼓動が規則正しく響く。
それでも、
赤橙の結び目だけが、確かにそこにあった。
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