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(2) 力の行方

丘の上に、三つの小さな影がある。

声は低く、笑い方も控えめだ。


草の間に、薄い欠片が光っている。

淡く、乾いた光沢。

龍鱗。


一番小さな子が、それを拾い上げる。

指先の動きは、自然に慎重だ。


後ろの二つの影は、止めない。

急がせない。

ただ、近くで見ている。


龍鱗は、処理されるものではない。

数えられるものでもない。


それは、母が残したもの。

父のために。


子供たちは知っている。

父がそれを保管棚へ収めるとき、

ほんの少しだけ呼吸が変わることを。


疲れているのではない。

壊れているのでもない。

ただ——静かになる。


小さな手の中で、龍鱗がわずかに光を返す。

強くはない。

鼓動でもない。


温度の名残のようなもの。


その子は、少しだけ口元をゆるめる。

嬉しそうだった。


奪うためではない。

継ぐためでもない。


“知っている”から。


やがて、そっと屈み、

龍鱗を布で包む。


持ち帰るのは父だ。

収めるのも父だ。


それが、この家族の形だから。


丘の端に、もう一つの影がある。

近づかない。

干渉しない。

ただ、静かに見ている。


子供たちは立ち上がり、並んで歩き出す。

龍鱗は、丁寧に抱えられている。


力は誇示されない。

継承も宣言されない。


けれど。


大切にする、という選択だけは、

すでに受け継がれていた。



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