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(3)小さな犠牲の上に成り立つ世界
夜空に一瞬、星が瞬く。
光は遠く、微かで、誰もその存在をはっきりとは見ない。
だが、そこに確かな温度があることを、誰かが感じるかもしれない。
小さな子供が空を見上げ、光を探している。
手を伸ばすでもなく、
ただ目を閉じ、光を感じようとしている。
その胸の奥には、無意識のうちに“終わったのだ”という感覚が宿る。
終わった。
大きな痛みは消え、世界は光を取り戻す。
でも、欠けたものはある。
誰も言わないけれど、確かにそこに存在する。
それを、世界は柔らかく包むだけで、補おうとはしない。
そして誰も気づかないうちに、静かに、確かに何かが継がれていく。
大地が脈打つ。
星が一瞬またたくと、
人々の瞳に光が映る。
空は高く、風は静かに吹き抜ける。
光が差し込み、揺れる影がひとつひとつの空白を照らす。
今日も風は澄んでいた。
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