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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
第18章|惟神の道
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(2)惟神の道

(視点:直)


夜は、思考がまとまらない。


頭では分かっている。

時間の長さじゃないことくらい。


それでも、

身体が追いつかない瞬間がある。


感情が、遅れる。


藤紫の背を思い出す。


あの静けさ。

あの揺るがなさ。


隣に立つと決めたのに、


自分の足取りは、まだ不安定だ。


軽い。


力ではない。


覚悟の重さが、足りない気がする。


今日も、判断を誤りかけた。


言葉を選びすぎた。


感情に反応しそうになった。


抑えられたのは、偶然だ。


もしあの瞬間、

藤紫が見ていなかったら?


自分は本当に越えなかったと言えるのか。


「……未熟だな」


呟きは、夜に溶ける。


未熟であることは知っている。



だが、


未熟だから退くのか。


未熟だから近づかないのか。


それは違う気がする。


中庭で見た、あの幼い龍人の姿が浮かぶ。


あれは生まれながらに龍――


自分は違う。


ただの人間だ。


選ばなければ、

いずれ離れる。


その未来が、胸を締める。


怖いのは、力ではない。


拒まれることでもない。


置いていかれることだ。


藤紫が龍人であるいじょう

自分だけが人として取り残される。


それを想像した瞬間、


息が浅くなる。


未熟なのは分かっている。


足りないのも分かっている。


けれど――


それでも隣に立ちたいと願うことは、

間違いか?


答えはまだ出ない。


だが、


迷いながらも、

退きたくないと思っている自分がいる。


夜風が吹く。


冷たい。


胸の奥の揺れを、隠すように。



―――――――――――――――――――


夜風が吹く。

冷たい。

胸の奥の揺れを、隠すように。

――その背を、静かに見つめる影があったことを、直は知らない。


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