前へ目次 次へ 8/31 (3) 理解者 空の境界で、ほんの少し風が揺れた 「やっぱり、そうするよね」 風のように軽い声 それでいて、すべてを知っている声。 振り向かずとも分かる そこにいるのは、ヘルメスだ 「止めないの?」と リーブラは声に出して尋ねはしない 「止めないよ」 ヘルメスは肩をすくめてみせる。 「だって、もう秤では測れなくなってる」 その言葉に、リーブラは初めて、ほんの僅かに悲しそうに笑った。 理解しているのは、 この世界で―― ただひとりだけだった。